保護者のタイプ別「保護者対応」事例とヒント
今回は教師が知っておきたい保護者のタイプ別の保護者対応アドバイスを紹介します。 この記事でとりあげた事例やヒントをもとに、ぜひ保護者とのよりよい関係を築いていただければと思います。

目次
①周りを見ない、見えない過保護タイプ
【わが子かわいさゆえにまわりが見えない】
何をするのにも親が先まわりしてやってしまいます。子どもは、やってもらうのを待っている受身タイプが多いようです。
例1:子どもが担任に言えなくて、保護者がかわりに言ってくる

となりの子がいつも授業中に、消しゴムを貸してと言ってくるので、うちの子は貸したくないけれど貸している。となりの子に担任からなんとか言ってほしい。
まず、保護者の話をじっくり聞いたうえで、
〇〇さんは本当は自分で言える子だと思いますので、その自分の気持ちを直接となりの子に言えるように、担任として支援したいと思います。もし、またこのようなことがあったら、自分の気持ちをまず先生に伝えて、先生にも応援してもらって、がんばって自分で相手に言ってごらんと、本人に言ってください。
と、助言してみましょう。このような保護者には、子どもの自立を一緒に支えていくという姿勢で対応します。
例2:子ども同士のトラブルなのに、直接相手に言えないので、学校に文句を言ってくる

昨日学校から帰ってきて、同じクラスの美紀ちゃんと公園で遊んでいたとき、ブランコの順番を抜かされた。うちの子は順番を待っていたのに、美紀ちゃんはいつもズルをする。学校で注意して。
まず、保護者が何を言いたいのか、その思いに共感することが大切です。
お母さんのおっしゃることはよくわかりました。子どもたちによく話を聞いてみます。美紀ちゃんも含めて、クラスの子どもたちがよりよく成長するためのよい機会ととらえて、順番を守って仲よく遊ぶことを指導したいと思います。順番を抜かされたら、順番を守ろうとお友達に言える子どもに育てていけるよう、私もがんばりますので、おうちでもよろしくお願いします。
と、伝えます。
保護者の思いを受けとめつつ、わが子もよその子も、ともに成長してほしいという意識を、少しでも保護者がもってくれるような対応を心がけましょう。
②無責任と紙一重。放任タイプ
このタイプには二通りあります。
子どもの勝手気ままを許し、子どもの自主性を尊重していると勘違いしているタイプと、子どもに関心が薄く、あまり子どものめんどうをみていないタイプがあります。
例1:子どもの自主性とわがままを勘違いしている
友達に、言葉で言うより先に手が出てしまいます。自分が気に入らないからといって、すぐに暴力をふるうのはよくないと、学校でも指導していますので、ご家庭でもよろしくお願いします。
わが家では、自分で考え、自分で責任をもって行動するようにといつも言っています。うちの子ばかりが悪いようにいわれますが、手を出すからにはそれなりの理由があるのだと思います。その理由をちゃんと聞いてやってほしいのです。
おうちの教育方針がそうであることはわかりました。しかし、友好的な人間関係を築き、たくさんのお友達とかかわりながら成長してほしいと、担任として願っていますので、暴力をふるうことはやめさせたいのです。ご協力をお願いします。
この場合は担任が何を言っても、「うちの教育方針だから。と、聞く耳をもたないことがあります。しかし、保護者への共感を示しながら、社会性を身につけて大人になってほしいという担任の思いもあきらめずに言い続けましょう。
例2:しつけなどに関してなかなか協力してもらえない
学習道具の忘れ物が多いので、授業に影響します。もう一度、ご家庭でも声がけをよろしくお願いします。
うちは本人にまかせてありますので、本人に言ってください。本人の責任です。
このような場合は協力は期待できないものと考え、本人の成長と自覚を促す指導をします。しかし、あきらめることなく、保護者と接するたびに、
子どもだけでできるようになるためには、少し手間がかかっても、始めは一緒に学習道具をそろえたり、忘れ物がないか確認したりして、できるようになったら少しずつ手を離していくという方法でやってみましょう。
と、投げかけてみましょう。