理科の指導 “夏休みに向けて” どんな準備が必要なの?【理科の壺】

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理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~
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國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓
【理科の壺】理科の指導“夏休みに向けて”どんな準備が必要なの?

夏休みは子どもたちが自然と関わり、刺激を受けるよい期間です。休みに向けて子どもたちの意識を高めたいと思っても、休み直前にちょっと話をしただけではその意識を高めるには十分ではありません。子どもたちの夏休みに「理科の意識を高める」ためにはちょっとした意識と計画的な準備が必要です。夏休みまで少し早いように思いますが、いまだからこそ夏休みに向けて確認しておきましょう。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような“ツボ”が見られるでしょうか?

執筆/東京学芸大学附属小金井小学校教諭・三井寿哉
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

もうすぐ夏休み

1学期も残りわずかになり、もうすぐ夏休みです。この季節、理科担当の先生として意識して取り組んでほしいことがあります。今回は、夏休み前に子どもたちに伝えておきたいこと。夏休み中に先生が行なっておくとよいことをまとめました。

夏休み前 子どもに伝えておきたい2つのこと

①学びを継続させる先生の一言

先生のちょっとした一言が夏休みの楽しみをさらに高めることができます

3年生では「身近な自然の観察」「昆虫と植物」。
4年生では「季節と生物」「天気の様子」。
5年生では「植物の発芽、成長」「動物の誕生」「天気の変化」。
6年生では「植物の養分と水の通り道」
などを学習しました。これらの学習は夏休み期間も自分で観察することができ、学びを継続させることができます。

例えば、
「旅行に行ったとき、初めて見る虫に出合えるかもしれません。そのとき、その虫は昆虫の仲間かそうでないかを確かめてみてください。わかったら先生にも教えてくださいね!」
「夏休みは暑い日が続きます。おうちの周りで毎日気温を測ったり、庭の植物の様子を毎日見たりして記録するのも面白いですよ」
「夏休みも家庭でメダカの産卵に挑戦したり、水族館に行ってちがう魚の産卵について調べてみたりしましょう」
などなど。

宿題にはしませんが、先生のちょっとした一言が夏休みの楽しみをさらに高めることができます。子どもが主体的に学ぶきっかけをもたせてあげましょう。

②自由研究のすすめ

夏休みに自由研究をすすめる学校も多いと思います。
しかし、ネットや本に掲載された自由研究ネタの完コピは研究とは言い難いです。子ども自身が「この夏、研究できた!」と思える成就感を得るためには、研究課題と目的、研究計画を夏休み前にどれだけ行っているかがポイントとなり、学校での指導が大きな成果を生みます。

夏休みの自由研究を考える子供

研究課題は、自然の事物・現象に関して日頃から疑問に思っていること、学校の授業でさらに調べてみたくなったことなどを想起させてみるとよいでしょう。
「家で一番暑い部屋、涼しい部屋はどこか」
「アサガオが花を咲かせる瞬間を見たい!」
といった身近で素朴な問題でよいのです。子どもの発達に応じた自分の力で解決可能な問題を先生がアドバイスしてあげたいです。また、どのように調べるか、どのような準備物が必要かまで計画を立てさせてあげると研究が具体化し、子ども自らが取り組みやすくなるでしょう。

夏休み中 理科の担当の先生が意識したい2つのこと

①枯らさない・死なせない

夏休みは授業がありませんが、2学期に向けて準備しておかなくてはいけないことがあります。

植物を枯らさないようにしよう

プランターや植木鉢で育てているアサガオや野菜などの植物は夏休み期間に水が足りず、枯らしてしまうことが多いです。定期的に水やりが行なえるよう、学年や学校で配備しましょう。野菜などは鳥に食べられることのないよう対策を取りましょう。草むしりも小まめに行っておくとよいでしょう。

枯れたホウセンカ

水槽の水を多めにしておこう

定期的に水槽の魚にエサをあげることも大事ですが、水槽の水が減ってしまうことがよくあります。水は多めにし、ろ過器を可動しておくようにしましょう。

水槽の水を補充する先生

②遊びながら教材を手に入れよう

夏休み期間は先生も遠出する機会が多いことと思います。いつもと違う土地だからこそ手に入る教材に出合えたり、先生自身が自然と触れ合ったりすることも多いです。例えば、都心部では見ることのできない満天の星空、縞模様の地層、川の流れと川岸の様子、台風の様子など。2学期で学習する教材と出会ったときは写真に記録するだけでも立派な教材になります。2学期の単元を確認しつつ、楽しい休暇をお過ごしください。

イラスト/難波孝

「このようなテーマで書いてほしい!」「こんなことに困っている。どうしたらいいの?」といった皆さんが書いてほしいテーマやお悩みを大募集。先生が楽しめる理科授業を一緒に作っていきましょう!!
※採用された方には、薄謝を進呈いたします。

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三井寿哉先生

〈執筆者プロフィール〉
三井寿哉●みつい・としや 東京学芸大学附属小金井小学校教諭。理科を中心に日々実践研究を行う。本学教育実習をはじめ、東京未来大学非常勤講師、姫路大学非常勤講師の教員養成にも携わる。理科おもしろゼミ研究会代表、NHK Eテレ『ふしぎエンドレス』作成協力委員、共著に『GIGAスクールに対応した小学校理科1人1台端末活用BOOK』(明治図書)、『小学校理科フローチャート型授業ガイド』(東洋館出版)など。

寺本貴啓先生

<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員等を経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。

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