「未来の教室」とは?【知っておきたい教育用語】
新しい学習指導要領のもと、2018年度から進められてきた「未来の教室」事業がめざす学びの姿とは、どのようなものなのでしょうか。
執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム
目次
学校現場のデジタル環境を整備
人口構成や産業構造、技術革新など、目まぐるしく社会が変化するなか、一人ひとりが未来を創る当事者(チェンジ・メイカー)に育つことが求められる時代に入ってきています。新時代を生き抜くために重視されているのは、創造的な課題発見・解決力。こうした実態を踏まえ、政府は関係省庁を挙げて学校現場のデジタル環境を整備しています。経済産業省は「未来の教室」とEdTech研究会を立ち上げ、デジタル技術を活用した新たな教育の提言として、「未来の教室」ビジョンをまとめています。
つまり、未来の教室とは、これからを担う子どもたちの能力育成のため、EdTechなどを活用した教育を模索する取り組みのことなのです。
デジタルによる教育改革の三本柱
「未来の教室」の構築に向けては、①「学びのSTEAM化」、②「学びの自立化・個別最適化」、③「新しい学習基盤づくり」を柱としています。
①学びのSTEAM化
STEAMとは、Science(=科学)、Technology(=技術)、Engineering(=工学)、Art=(芸術・リベラルアーツ)、Mathmatics(=数学)の頭文字からなる言葉です。カリキュラム・マネジメントを通じて一人ひとりのワクワクする感覚を呼び覚まし、文理を問わず教科知識や専門知識を習得することと、探究・プロジェクト型学習で未知の課題やその解決策を見出すことが循環する学びを実現していくことをめざします。
【必要なアクション】
●STEAM学習プログラムの構築
●知識はEdTechで効率的に獲得し、探究活動の時間を捻出
●幼児期から基礎的なライフスキルや思考法を育成
②学びの自立化・個別最適化
一人ひとり違う認知特性や学習到達度等をもとに、学び方を選べる学びにしていくこととしています。
【必要なアクション】
●一律・一斉・一方向授業から「自学自習と学び合い」へと移行
●一人ひとりの個性に対応した学習計画と学習ログによる改善
●ネット、リアルなどの多様な学び方の保障
③新しい学習基盤づくり
学習者中心、デジタル・ファースト、社会とシームレスな学校を実現することをめざします。
【必要なアクション】
●1人1台端末といったICT環境の整備
●業務構造の改革、部活動に縛られない放課後の充実
●教師が学校外の人材と協働し続けられる環境づくり
実現可能なことはすぐに始める
経済産業省は「実現可能なことは明日からでも始めるべき」とする超短期でのアクションに加えて、コンテンツの開発といった、改革の成果を最大化させる施策の実行に関しては短期(3年程度)での工程を見込んでいます。データの相互運用性やデータの蓄積の開始などの環境整備は中長期での行程としていますが、時間を要する取り組みであるからこそ、早急に取り組みを開始することとしています。
同省が配信する「未来の教室」通信では、実証事業や実施したイベントなどの事例紹介を更新。全国の先生と生徒たちがEdTechを使って創る「新しい学び方」のモデルを発信しています。
▼参考資料
経済産業省(ウェブサイト)「「未来の教室」」
経済産業省(ウェブサイト)「「未来の教室」とEdTech研究会」