【相談募集中】「境界性パーソナリティ障害」と診断され休職中です
新任2年目で休職中の先生から「みん教相談室」に相談が寄せられました。「境界性パーソナリティ障害」と診断され、復帰できるかどうか不安を抱えているとのこと。教員向け法定研修でメンタルヘルス研修の講師をされている臨床心理士・公認心理師の大多和二郎先生の回答をこちらでシェアします。
目次
Q. 境界性パーソナリティ障害でも教職を続けるのは可能?
昨年度新任として採用されました。社会人1年目ということもあり、仕事がうまくいかないことも多いのですが、周りの先生方とも関係が上手くいかない日々が増え、体調を崩し休職することとなりました。
その際、病院から「境界性パーソナリティ障害」と診断されました。自分はこれまで生きづらさを感じていたものの、そこまでではないなと思い、耐えていた部分がありました。今回の休職を機に、これまで自分に精神障害があったこと、この障害が原因で周りとも上手く関係を築けなかったのだと気づきました。
そこで、これから先こういった障害を抱えながらでも、教壇に立ってよいのかと不安になりました。子供たちだけでなく、保護者や他の先生方が病気のことを知ったら、子供に悪影響と思われるのではないか、迷惑をかけてしまうのではないかと思い、復帰に対して不安を抱いています。
こういった障害を抱えていても、職場や保護者の方に理解をいただきながら仕事をすることは可能なのでしょうか。(あ先生・20代)
A. まずは心身の回復から。職場や医師のサポートを受けながら、復帰への調整を
体調を崩して病院を受診したところ、「境界性パーソナリティー障害」と診断されて休職に入り、今までも生きづらさを感じていた原因が障害だったと気づいたのですね。
そして今後、自分が教壇に立ってよいのかと不安を感じているというご相談ですね。診断名に「障害」という文字があると、「精神的な障害があるんだな」と心配になりますよね。身体的な病気や怪我と比べて目に見えないところがあるので、診断されると不安を感じやすいのが精神的な病気です。
体調を整え、心身の状態を回復させることが第一ですので、まずはゆっくり療養してください。そして、主治医の判断で職場復帰してよいとのことになりましたら、学校と連絡をとりながら、復帰に向けての調整になると思います。
社会人1年目ということで、教員としてスタートを切ったばかりのときですから、まだ職場に十分慣れていないし、業務の内容もこれから学んでいくことが多いと思います。新任ですと初めは研修も多く、先輩も助言してくれると思いますので、その中で教師としての仕事を学びつつ、先輩に相談しながら今後のことを考えていくとよいかと思います。
病気のことについては、まわりの人すべてに言う必要はないでしょう。ただ、復帰にあたっては医師の診断書が学校側に提出されますので、管理職は診断名を知ることになるでしょう。
職場復帰にあたっては、医師が今後のことについてアドバイスしてくれると思いますので、業務について、日常生活での注意について気になる点は確認しておきましょう。また、医師からの助言は管理職にも伝えておき、学校での職務について見守ってもらうようにしましょう。
子供たちとの関係も、保護者との関係も、職員との関係も人間関係です。関係のとり方については、学年主任や管理職などに相談しながら、時にはフォローしてもらえるようお願いしておくとよいでしょう。
臨床心理士などのカウンセラーを利用して、自分を見つめながら人との関係のとり方を考えていく場を持つというのも一つの方法だと思います。苦手なことやわからないことを抱え込まず、周りにフォローしてもらい、自分でも苦手なところをどうすればよいか、少しずつ学んでいく心がけが大切だと思います。
せっかく志を持ってスタートを切った教員の仕事です。まずは以上のようなことに注意して、しばらくやってみてください。その上で、今後もやっていけるか、改めて考えていくとよいでしょう。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。