私たちの町の安全マップをつくろう! 小5「総合的な学習の時間」アイデア

5年生の2学期におすすめの「総合的な学習の時間」の指導アイデアを紹介します。宮城県の齋藤浩平先生が、数年前に実践した「私たちの町の安全マップをつくろう」の学習を例に、活動の質を上げるための事前準備、探究サイクル図の作成による活動の探究化、2種類の振り返りシートの活用などのポイントなどを解説します。

執筆/宮城県公立小学校教諭・齋藤浩平

育成したい資質・能力に照らし合わせた学びどころの設定

二学期は、活動が軌道に乗ってくる時期です。一学期に自分たちの目指す方向性を決め、やるべきことが明確になってくると子供たちも意欲的になります。このまま活動を進めるべきか、一度立ち止まらせるべきか、子供たちの伴走者としては迷うときがあります。そのようなときに立ち返るべきは、育成したい資質・能力です(下図参照)。年度初めに設定したものを再度確認し、どのような活動にしたら資質・能力を効果的に育成することができるかを考えることが肝要です。

育成したい資質・能力を示した探究サイクル図
育成したい資質・能力を示した探究サイクル図

次項からは、地域を安全・安心な町にしたいという思いの下、安全マップを作成した活動を事例とし、授業アイデアを紹介していきます。

活動例①:目的を明確にした情報収集

「安全・安心な町にするために何ができのか」板書写真

安心・安全な町にするために、自分たちがすべきことを整理しました。その中で、まずは地域の現状について調査する必要があると子供たちは考えました。しかし、調査活動をするときには、目的や方法などを明確にしておかないと貴重な時間を無駄にすることになってしまいます。そのため、警察の方を呼んで地域を調査するときのポイントについて教えていただくことになりました。

ゲストティーチャーから話を聞く際には、話していただく内容について打合せをしておきましょう。また、調査活動を行うときには、子供たちと目的と方法について確認しましょう。

警察官をゲストティーチャーに招いて、安心・安全な町にするための地域を調査するときのポイントを教えてもらった。

地域を調査するときに大切な視点は何でしたか?

危険な場所は、「入りやすくて見えにくい」を意識するとよいことが分かりました

安全な場所を見付けるときには、「入りにくくて見えやすい」ところを探すことが大切だと○○さんが言っていました

教えていただいたポイントを押さえて、地域を調査しましょう

ゲストティーチャーから話を聞いた後には、ポイントを振り返り、学びの履歴として残しておきましょう。地域を調査する際には、一人一台端末等を活用して気付いたことをすぐに記録できるようにすると効果的です。

踏切について調査する子供たち。
踏切について調査する子供たち。
お店の方が危険だと感じる場所についてインタビューする子供たち
お店の方が危険だと感じる場所についてインタビューする。
『かけこみ110番の家』について調査する子供たち。
『かけこみ110番の家』について調査する。
地域の方に、住んでいて感じていることをインタビューする子供たち
地域の方に、住んでいて感じていることをインタビューする。

活動例②:地域調査で得た情報を整理・分析

二度の地域調査を終えた子供たちは、集めた情報を拡大した地図に整理しました。しかし、一人の男の子が次のような言葉を漏らしていました。

集めた情報を拡大した地図に整理する子供たち
グループごとに、集めた情報を大きな地図にして情報を整理する。

情報が多すぎる。載せるときの基準が分かればいいのに…

この言葉をきっかけに情報を絞ることの必要性を全体で実感し、質の高い安全マップにするにはどのようなことを残すべきかを考えていく活動へとつながっていきました。

集めた情報を整理・分析していくときには、その先の子供の姿(どのようなことに気付くのか、悩むのか、どんな活動を行いたいと考えるのか等)をイメージしておくと、伴走者として何をしておくべきかがクリアになります。

活動例③:安全マップの改善

情報の精選のためには、安全マップ作りのプロに話を聞く必要があると子供たちは考え、聞いた話を基に安全マップの作成に取りかかりました。

防災マップ作りのプロ(デザイン会社の方)からアドバイスを受けながら、安全マップ作りを行った。
防災マップ作りのプロ(デザイン会社の方)からアドバイスを受けながら、安全マップ作りを行った。

さらに、旧安全マップ作成の中心となった方からアドバイスをいただくことになりましたが、まだ改善の余地があるとダメ出しをもらいました。

旧安全マップを作成した人(学校支援地域本部副本部長)から、子供たちが作成安全マップへの改善点のアドバイスをもらう。
旧安全マップを作成した人(学校支援地域本部副本部長)から、子供たちが作成安全マップへの改善点のアドバイスをもらう。

活動への意欲を高め、学びの質を一段階上げるためには、教師以外の人からのアドバイスやダメ出しが効果的な場合があります。その場合はどのタイミングにするか、どのようなことを話していただくか、入念に打合せをしておくことが大切です。

旧安全マップを作成した人(学校支援地域本部副本部長)から、「頑張って作ったとは思う。でも…、このマップは対象がはっきりしていない。誰に向けて作ったの? 誰に見てもらい、使ってもらいたいの? そこが決まらないと使えるマップにはならないんじゃないのかな?」と、対象を決めることの意味と重要性を教わりました。

自分たちの安全マップを改善しなければならないと考えた子供たちは、全体で話し合う時間を取ることにしました。

「安全マップの改善点を見つけて、改善方法を考えよう」板書例
前半は、安全マップをよりよくするために、どこを変えるべきかを出し合った(左側)。後半は、特に意見が分かれたところを論点とし、どのように改善していくかを議論した(右側)。

学びの履歴
単元の中で、子供の学びにとって重要な活動や授業は、学びの履歴として掲示物に残しておきましょう。1人1台端末を使ってデジタルで残すことも可能です。状況に応じて使い分けていきましょう。

地域を調査するときのポイントについてまとめたものを、学びの履歴として教室に掲示した。
地域を調査するときのポイントについてまとめたものを、学びの履歴として教室に掲示した。
写真なども掲載して、安全マップづくりの活動を掲示。
写真なども掲載して、安全マップづくりの活動を教室に掲示。

○地域と共に子供を育てるためのアイデア
本校では、子供が身に付けるべき力は何なのか、そのために保護者や地域の方からどのような協力をいただきたいのかといったことを共通理解するために、学校支援地域本部との連携を大切にしています。地域調査に出かけたいときに見守りボランティアが必要な場合や、ゲストティーチャーを探しているときなど、随時相談をして支援をいただけるようにしています。

写真なども掲載して、安全マップづくりの活動を掲示。
この学習でどんな資質・能力を育成するのかを基に、そのためにはどのような地域の協力が必要かなどを、事前に話し合う。

学校だけでは実現が難しいことも、地域の力を借りれば可能性が広がります。学校と地域をつなぐ方(スーパーバイザーさん等)と常に情報共有をし、いつでも力を貸していただけるようにしておきましょう。

評価のポイント

子供たちの学習の様子を見取る方法の一つに、振り返りシートがあります。子供の実態によって、罫線のみが書かれた用紙を使う方法、視点を与えて書かせる方法など様々あります。今回は、後者のワークシートについて二つ紹介します。

一つ目は、1時間の学習の最後に書くもの(資料1)です。ここでは、①したこと、②そこから学んだこと・感じたこと・分からなかったこと、③学び方について(思考ツールを使ったり、グループワークをしたりしてどんなよさがあったか等)、④次に何をしたいかについて書きます。

学習の最後に書く振り返りシート
資料1:学習の最後に書く振り返りシート

二つ目は、1時間の学習を通して書くもの(資料2)です。ノートのような使い方をします。書き方については、資料内に示してあるのでご覧ください。

1時間の学習を通して使用する振り返りシート(教師用)
資料2:1時間の学習を通して使用する振り返りシート(教師用)
1時間の学習を通して使用する振り返りシート(子供用)
資料2:1時間の学習を通して使用する振り返りシート(子供用)

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