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4年3組学級経営物語(11)

2019/8/4

学級経営物語タイトル

8月②「具体的な支援」にレッツ・トライだ!

4年3組担任の新任教師・渡来勉先生……通称「トライだ先生」の学級経営ストーリー。アンテナを張り、子ども達の悩みに寄り添う大切さを知った渡来先生。泳げないことに悩むハジメを支えるため、個に応じた支援をしっかりと実践し、悩みの解決へ一歩一歩進んで行きます。

文/濱川昌人(よりよい学級経営を考える大阪教師の会)
絵/伊原シゲカツ

<登場人物>

トライ先生
トライだ先生(渡来勉/わたらいつとむ)
主人公。教職1年目。教師になる熱意に燃えて、西華小学校に赴任。 やる気とパワーは人一倍あるものの、時には突っ走り過ぎるのが玉にキズ。しばしば飛び出す口癖から「トライだ先生」と 呼ばれるようになる。4年3組担任。
イワオジ
イワオジ先生(大河内巌/おおこうちいわお)
教職20年の経験豊富な学年主任。4年1組担任。一見いかついが、 温かく見守りながら的確なアドバイスをしてくれ、 頼れる存在。ジャグリングなど意外な特技も。
ゆめ先生
ゆめ先生(葵ゆめ/あおいゆめ)
教職3年目。4年2組担任。新採のトライだ先生を励ましつつも一 歩リード。きまじめな性格で、ドライな印象を与えてしまうことも。音楽好きでピアノが得意。

トラウマ脱出大作戦、開始!

「えっ、洗面器で練習するの それも屋上で」

校舎屋上に、水を満たした洗面器が二つ。

海パン姿の二人が、その前に座ります。

「今日の課題は基本中の基本の体得。水中では絶対に息を吸わない、吐くだけ。…それだけ」

学級経営物語イラスト

思い切り息を吸い込んだ渡来先生が、洗面器に顔を突っ込みブクブクと泡を吹き出します。

「水の中では息を吸い込まなきゃいい。横にいるから安心して」

うん、と頷き洗面器に顔を入れるハジメ。

最初は恐々。でも暫くして慣れてきました。

勢いを増していく泡を、先生は見守り続けます。

「吸うのは空気だけ…、それを守れば大丈夫

ハジメが納得できた時、暑さでフラフラになりながらも先生はニッコリ微笑みました。

「よし明日から浮く練習だ。プールに入るぞ!」

「俯せの姿勢で、お腹の下にビート板を入れると絶対浮く。フロートも増やすから大丈夫だ」

プール開放後の二人だけの秘密練習。

最初はしがみついていたハジメが、徐々に水平な姿勢になってきた時、新たな課題が示されました。

「今度は重心のコントロール。頭を上げればお尻が沈む。下げれば浮く。…見本を見せるから」

浮いたり、沈んだりして見せる渡来先生。

「頭を下げると体は浮く。これは泳ぐ姿勢の基本だ」

頭を上げ下げする練習を続け、浮く姿勢を実感します。

それから数日後、フロートの数も怖さも減少したハジメ。

「人の体は浮くことが納得できれば、もう怖くない。明日からいよいよ壁キックにトライだ」

個に応じた支援の大切さを学ぼう

「頭を下げ、両手を前で揃えて、壁キックの姿勢!」

壁際でハジメの体を支え、何度もスタート姿勢を体得させます。次に、壁をキックする練習。

「よ~し、じゃあ実際に壁キック、いってみよう」

両手を伸ばしたハジメが体をクルッと曲げ、壁を両足で蹴ると一筋の航跡が描かれました。

「空を飛んでいるって感じだ。楽しいなぁ!」

よりよい姿勢を考え、何度もキック。

回を重ねる度に、距離が少しずつ伸びます。

十数度目に浮上した時、盛大な拍手が聞こえました。

4年の先生方がプールサイドに揃っていました。

「よくやった、ハジメ。上手に泳げているぞ!」

渡来先生に続き、葵先生の声が響きます。

「もう秘密にしなくて大丈夫よ。明日から、皆と一緒に練習しましょう。待っているからね!」

本当に嬉しそうに微笑むハジメ。

視線を主任に移した渡来先生は、深々と頭を下げました。

「支援方法を教えていただき、ありがとうございました。それにアンテナの感度の低さ、個に応じた支援の未熟さも…。気になる子、まだいます。夏休みは、個に応じた支援を頑張ります」

無言で頷く主任に、さらに決意を述べる先生。

「そして、もう一つトライします。それは…」

そこにいきなり、葵先生の言葉が飛んできました。

「教育書の読破よね。私が貸した本、読んでる?」

「そ、それは…」 と絶句する渡来先生。

教師力向上を目指す夏のぶらり旅の計画、…語る機会は消えました。

(9月①につづく)

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『小四教育技術』2017年8月号増刊より

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