困ったときの場面別ー特別支援教育のチェックポイント
学校では、さまざまな特性を持った子供たちがともに生活しています。どの子のこともよりよく理解し、どの子にも適切に指導や支援をしていくには、先生方一人一人のかかわりがとても大切です。
執筆/福岡県公立小学校教諭・村上暢崇
目次
たくさんの職員がかかわると……
子供の「困った」を支援するアイデア
学習の「困った」
わからないといらいらする
できないことやわからないことは、悪いことではありません。どう表出、発散したらよいかを教えます。気持ちを切り替える空間を用意するのもよいでしょう。
人間関係の「困った」
勝敗を受け入れきれない
受け入れることができた、または、できなかった状況を、その理由も含めて振り返ることができるように一緒に考えてあげることが大切です。
自己表現の「困った」
自分の気持ちを表現できない
カード等による意思表示の段階からスタートして、徐々に表現のスキルを高めていきます。表現モデルの提示が有効です。
当番活動の「困った」
当番の仕事を忘れてしまう
仲のよい子をペアにして声をかけてもらうなどして、成功体験を積み重ねていきます。できたときに感謝の言葉をかけられる経験も重要です。
担任の私にできること、やるべきこと
支援の記録を残し、次の計画に生かす
いつ支援した?
「何の時間に、どんなタイミングで」等
誰が支援した?
「担任や支援員」等
どのような支援を行った?
「声かけ、道具の提供、個別対応」等
どの程度の支援を行った?
「継続的に、〇回程度、厳しめに」等
※支援の結果
「効果的だった、効果がなかった」等
今後のために残して、引き継いでおくべき事柄は「支援の記録」です。その子が、何ができて、何ができないといった「実態の記録」だけでなく、あまり効果がなかったことも含めた「支援の記録」を残し、次の支援に生かします。
その子の教育に責任を持つ
特性は「変わる」ことはありますが、「治る」ものではありません。指導して改善させるという意識ではなく、学びを支援するという意識で、継続的にかかわります。
多くの人と連携して支援を行っていきますが、主たる支援の提供者は担任です。連携する大学の先生やドクター、カウンセラー等は、アイデアやアドバイスを提供してくれますが、何かを解決してくれるわけではありません。最後までその子に寄り添い、粘り強く支援していきましょう。
困っているのは「先生」ではなく「子供」です。心や体を上手にコントロールできずに困っている子供の心情に寄り添い、受け入れることを心がけましょう。
イラスト/種田瑞子
『教育技術 小五小六』2021年6/7月号より