本を書きたい先生必見!令和の受験生に学ぶ仕事術【鈴木るりかさんインタビュー】
小学館が主催する「12歳の文学賞」史上初3年連続で大賞を受賞し、中学生で作家デビューを果たした鈴木るりかさん。2月4日に発売となった新作『落花流水』(小学館刊)は、高校三年生の受験生でありながら取り組んだ初の長編小説ということもあり、早くも話題になっています。今回は受験勉強として並行して小説執筆に取り組み、見事志望校合格も掴んだ鈴木さんに、「やるべきこと」と「やりたいこと」をどのように両立されたのか、その仕事術をうかがいました。

目次
「やりたいこと」と「やるべきこと」両方あるのはいいこと
――受験生にも関わらず小説を書こうと思った理由は何ですか?
鈴木さん 高3は受験があるので小説の執筆は難しいだろうと、私も担当編集者の方も思っていました。ただ、私は「書くこと」が本当に好きで、受験勉強だけではかえってツラくなってしまうかもしれないという不安もありました。
それで、担当編集者の方から、「小説は無理でも、ストレス発散を兼ねてエッセイや日記を書いてみたら?」とアドバイスされて、いくつかエッセイを書いてみたんです。でも、結局「これは絶対に小説にしたほうが面白い」と思ってしまって、「やっぱり小説を書きたいです」と伝えました。
たしかに勉強との両立は簡単ではありませんでしたが、「やりたいこと」だけではなく、「やるべきこと」があるのはいいことだと私は思っています。「やるべきこと」があるからこそ、「やりたいこと」に活かされることも多く、できたときの達成感も大きくなります。
1年間の見通しを立てつつ、1日の計画はゆるやかに
――どのように受験勉強と執筆活動を両立したのですか?
鈴木さん 秋からはさすがに執筆の時間を確保するのは厳しいと思ったので、4月ごろから少しずつ書き始め、土日や夏休みなど、まとまった時間が取れるときに一気に書き上げました。
二学期以降は受験勉強に専念し、その後12月に推薦入試で合格をいただいたので、そこからは推敲や仕上げの作業に入りました。もし推薦試験で合格できなかったら、この作品を2月に発行することは難しかったかもしれません。
私は、一日の中で「何時から何時まで書く」といったルールはつくっていなくて、「書いてみようかな」と気分が乗ってきたときに書くようにしています。
一日書いてもあまり進まないこともあれば、書きたいことがどんどん溢れてきて、深夜まで書き続けられることもあります。
なかなか筆が進まない時は、いままで書いたものを何度も書き直したり、表現を見直したりします。そうすることで、次のストーリーへの手がかりがつかめたりするからです。