友達と交流しながら楽しく学ぶ!【小2】最初の授業アイデア
学級開きを終え、「最初の授業」はどんなカリキュラムで行えばよいのでしょうか。二年生の子供たちが友達と交流しながら、楽しく学べる最初の授業を、生活科、国語科、算数科別に紹介します。
執筆/神奈川県公立小学校校長・二宮昭夫、神奈川県公立小学校指導教諭・荒木昭人、神奈川県公立小学校教諭・篠原紘子、神奈川県公立小学校教諭・髙田美里
目次
【生活科】達成感や満足感からレベルアップを考える
①一年生の活動をふり返る
まず、一年生での生活科の学習をクラス全体でふり返ります。生活科は体験活動が多く、子供たちは楽しんで取り組んでいたはずです。「一年生のときの生活科では、どんなことをしてきたの?」と子供たちに問いかけ、子供たちの発言に対して…
すごいね、そんなこともしたの?
いろいろなことに挑戦したんだね
と、1年間の子供のがんばりを認め、ほめることから始めます。
活動をふり返る際には、一年生の生活科で活動している写真をモニターで映したり、黒板に貼ったりすることで、子供たちはそのときの様子をより積極的に伝えるようになります。
また、子供たちの発言を黒板にウェビングマップでまとめましょう。学習の内容、その学習で学んだこと、感想などを色分けしながら、まとめていくことで、子供たちは一年生の学習の全体像を視覚的に捉えられるようになります。
②二年生でしてみたいことを出し合う
一年生での学習をふり返った後に…
二年生の生活科では、どんなことをしてみたい? 挑戦してみたい?
と、子供たちに問いかけます。
二年生の生活科は、一年生の内容から発展したものも多く、学校探検した経験や、おもちゃランドや町探検の発表会に招待してもらった経験があれば、二年生の学習をイメージしやすいはずです。「楽しそうだね」「みんなで力を合わせたら大成功しそうだね」など、子供の意見を認めながら、子供たちの思いや願いをより引き出すようにします。
その後、「ミニトマトをそだてる」「むかしのおもちゃづくり」など、子供たちから出た意見を短冊に書き、飼育、栽培、季節のことなどを内容ごとにまとめていきます。そして、活動ごとに1年間のうち、いつごろならできそうかといったことについても話し合えると、見通しをもつことができるようになります。
やりたいことを順序立て、見通しを立てていくことで、学習のワクワク感を高めていくのです。授業開きで子供たちの思いや願いを引き出し、期待感を高めることが、今後の学習の主体的な取り組みへとつながります。子供たちの思いを基に、人や対象とじっくり関わることができるよう、また、合科的・関連的な指導ができるよう配慮をし、年間のカリキュラムを考えていきましょう。
③新一年生の学校探検にお兄さんお姉さんとして意欲的に関わる
学校探検において、二年生の子供たちは、お兄さん、お姉さんとして意欲的に活動します。一年生に自分たちが知っている学校を案内するだけでなく、手洗いのしかたや距離を保つことなど、感染症対策として気を付けるべきことを伝える機会にもなります。
コロナの感染状況によっては、クラスやグループごとに学校探検を実施する時間を変えたり、案内する場所の順序を変えたりすることで、密集する機会を減らすことも可能です。
一年生と二年生で手紙のやり取りを充実させたり、手紙に顔写真や似顔絵を入れたり、動画を撮ってメッセージを送り合ったりするなど、交流のしかたの工夫が考えられます。
一年生、二年生が関われる場面を確保し、お互いに親しみを感じられるようにしましょう。
【国語科】友達とともに楽しみながら、一年生の復習からスタート
①自己紹介の場でクイズなどを行い、聞く力を伸ばす
二年生の子供たちは、初めてのクラス替えが行われ、「クラスには、どんな友達がいるのかな」という不安、そして期待でいっぱいです。4月にはどのクラスでも自己紹介の場を設けると思います。
友達への関心が高まっているこの時期に、自己紹介の時間を使って、よりよい聞き方を定着させる機会としたいものです。
例えば、自己紹介の際には、名前だけでなく、好きな遊び、好きな動物、好きな食べ物なども話すようにします。そして、5〜10人程度終わった後に、「このお友達はだれでしょうクイズ」をします。
「いちごが好きなお友達はだれでしょう?」や、「○○さんの好きな遊びはなんでしょう?」のように全体に問いかけます。このようにクイズ形式にすることによって、子供たちは、友達の発表をより注意深く聞くようになります。
また、発表者をよく見ている子や、反応しながら聞いている子を取り上げ、ほめるようにします。
さすが二年生だね!
おへそビームが出ているね(発表者にへそを向けて聞いている)
などと声をかけるとよいでしょう。
さらに、他の教科の授業において、国語で取り組んだ聞き方が実践できていた場合にもほめることを繰り返し行い、聞く力の定着を図ることが大切です。
②効果的な発問で、一年生の学習のふり返りを行う
国語の最初の時間に、一年生で学習した説明文や物語文をふり返ります。その際に、一年生の教科書教材の一部分の文章を読み、「このお話の題名はなんでしょう?」などと子供たちに聞くことで、楽しみながらどんなお話であったかを思い出すことができるでしょう。
そして、子供たちと一緒に、出てきたお話を説明文と物語文にグループ分けしていきます。
「説明文には、『問い』とあと何が書かれているかな?」や、「物語文を書いた人のことをなんと言うかな?」など、既習事項も確認しておくようにします。
他にも、「話す・聞く」に関する既習事項を確認することも大切です。「みんなの前で上手に話すポイントは?」や、「聞き上手になるには、どんなことに気を付ければよいかな?」などと、問いかけてみましょう。
子供たちが習得してきた話す力や聞く力を再度意識させて、国語だけでなく、さまざまな場面で活用できるようにしていきましょう。
③漢字クイズで楽しく復習する
低学年の子供たちは、漢字でいろいろな言葉を書くことに憧れがあり、自分の名前やアニメの登場人物の名前を漢字で書けるように練習する子もいます。二年生になると画数も多く難しい漢字も増えてきますが、まずは、漢字の学習が楽しいと思えるような授業開きをしましょう。
例えば、「〇画で書ける漢字は?」「口(くち)に〇本の線を足してできる漢字は?」などのクイズをすると、一年生で習った漢字を楽しみながら復習することができます。
また、先生が漢字を空書きして、「この漢字はなんでしょう」という問題にすることもできます。このような工夫をして、子供たちが交流をしながら楽しく活動できるようにしましょう。
【算数科】生活科と関連させて、学びに広がりをもたせる
①導入は計算カードなどを使って、楽しく一年生の復習をする
算数の授業開きでは、たし算、ひき算の学習をゲーム感覚で復習していきます。計算カードがある場合は、「カード取りゲーム」もよいでしょう。式が書かれている面を上にして並べ、「答えが〇になるカード」を探して取るゲームや、カードをシャッフルして持ち、教師と子供や、子供同士で同時にカードを出し、答えが多いほうが勝ちとなるゲームなどもできます。
それ以外にも、「答えが〇になる式づくり」などもできます。その際に、子供たちが考えた式を見ながら、一年生でくり上がりやくり下がりの計算をしたことを再確認します。反対に学習していない計算が出てきた場合には、「これから学習していこう」という意欲を高めるチャンスになります。
②表とグラフの学習は、生活科と関連させる
「表とグラフ」の学習では、子供が必要性を感じながら、表やグラフにまとめていく経験をすることで、そのよさを実感することができます。そこで、生活科の栽培・飼育単元と関連付けて、生活科の時間に、育てたい野菜やお世話をしたい生き物や虫のアンケートを取ります。
算数の時間に、その集計を取っていく活動をするとよいでしょう。どんなときに、表とグラフが役立ち、どんなよさがあるのかを実感する機会になるでしょう。
イラスト/高橋正輝
『教育技術 小一小二』2021年4/5月号より