楽しい思い出いっぱいに!〈小1〉学年末イベント&演出アイデア
学年末には、子供たちに楽しい思い出をたくさんつくってあげたいもの。一年生の学年末におすすめなイベントと演出アイデアを紹介します。一人1台端末の活用術も満載です。
執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁
終わりよければ、すべてよし!
「ピーク・エンドの法則」という法則があります。2002年にノーベル経済学賞を受賞した心理学者・行動経済学者のダニエル・カーネマン氏によって提唱されたものです。カーネマン氏は、ある事柄に対しての記憶や印象は、感情がもっとも高ぶったピークの出来事とその終わりごろの出来事が全体的な影響を決定付けると言っています。
つまり、1年の間、悲しい思い出やつらいことがたくさんあったとしても、めちゃくちゃ楽しいことが一つあって、最後がそれなりに楽しければ、人はその1年間のイメージを「楽しかった!」と認識してしまうということです。
もちろん、逆も言えます。いくら楽しいことがたくさんあったとしても、最後がつまらなければ、その1年間の印象は「つまらなかった」になってしまうのです。
いよいよ本年度のエンドも近付いてきました。最後の最後に「この1年間はつまらなかった」という印象ではなく、子供たちには「1年間、超楽しかった」という思いをもって、笑顔で進級してほしいものです。
終わりよければ、すべてよし。最後に、クラスで楽しいイベントを仕掛けて、子供たちと楽しい時間をお過ごしください。
エンドで楽しいイベントを仕掛けよう
生活科一年の最後の単元(東京書籍)は、「もうすぐ2ねんせい」です。この単元では、入学してからの1年間を振り返ったり、年長児と関わりを深めたりする学習活動を行います。今年度1年間がんばったことを自覚し、4月からは先輩になるという意識をもつことで、進級への期待感や意欲をもって学校生活を過ごしていこうという気持ちを、子供たちにもたせることがねらいです。
教科書をめくると、「あたらしい1ねんせいをしょうたいしよう」という小単元が始まります。
近くの幼稚園などの年長さんを招待する
教科書通り、授業を進めていくだけで一年生の子供たちがワクワクするビッグイベントが成立します。
これを活用しない手はありません。教科とイベントをコラボさせることで、教科の授業時間にもイベントに向けて活動することができるようになります。子供たちにとっては授業という日常にちょっとしたワクワク感を入れることができ、教師にとっては限られた授業時数を有効に使えるようになるという一挙両得の流れになります。……ということで、イベントのスタートは生活科の時間になります。
ただ、コロナ禍の現状では、イラストのように近くの年長児を招待できない学校も多いと思います。また、コロナ禍に関係なくできない学校もあるはずです。
そこで、今回活用するのが一人1台のタブレットです。リモートで学校紹介を行います。
4月になったら、あなたたちは二年生になります。4月には新一年生が入学してきます。あなたたちは、お兄さん、お姉さん、つまり、先輩になるということです
「お~っ」…子供たちから歓喜の声が聞こえてきました。どうやら先輩という言葉に現一年生の子供たちは反応したようです。
そこで、新一年生から頼られるすてきな先輩になるあなたたちにミッションです。〇〇小学校の紹介動画を作りましょう
〇〇小学校の紹介動画を作ろう!
ユーチューバーみたい!
へぇ、ユーチューブ見たことあるの? でも、そんな感じかな。チャンネル登録よろしくね
最近は、ユーチューブを見ている一年生も多いようです。子供たちのテンションは上がります。
〇〇小学校のどんなことを紹介したらいいと思いますか?
4階の展望台!
うさぎのQちゃん
そうですね。おすすめの場所やお気に入りの場所を紹介するといいですね
大きな運動場。たくさんあるボール
私、図書室大好き
やっぱ、給食
……子供たちは口々に発表します。
では、今からタブレットでおすすめの場所の写真を撮りに行きます! 準備はいいですか
「はい!」…子供たちは笑顔で応えてくれます。
ところで、「先輩ってすごい!」って思われたくないですか?
おすすめの場所の撮影の後には、このように問いかけて、今年1年間がんばったことを振り返らせます。もちろん、子供たちの返事はYES。
それでは『〇〇小学校の先輩はすごい!』というコーナーもつくることにします。できるようになったことやがんばったことも動画にしましょう
オープニングとエンディングは教師が作ります。子供たちが撮影した写真や動画を一つにして、BGMを入れればそれっぽい作品に仕上がります。動画を見てもらう前に、あらかじめ幼稚園や保育所の先生に、お礼の手紙を書いてもらうようにお願いしておきます。
年長さんからうれしい手紙が届き、幼稚園や保育所の先生からもほめられて、子供たちは大満足するはずです。完成した動画をタブレットに入れて家に持って帰れば、お家の人からもほめられます。
多くの人から認められ、ほめられることで、一年生の最後の活動は、子供たちにとって、とっても楽しい活動になるはずです。これで、子供たちのエンドの印象はばっちりです。
イラスト/浅羽ピピ
『教育技術 小一小二』2022年2/3月号より