【マンガでわかる】日本一ダンス教師の超テク!教師が教えず、子供から引き出す!運動会のダンス指導
ゲーム感覚で楽しみながら、いつの間にか振り付けを覚えてしまう! 全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール全国1位の受賞実績をもつ大阪府公立小学校・松下隼司先生による、大盛り上がりのダンス指導法の紹介です。
指導:大阪府公立小学校教諭・松下隼司
目次
1.大画面で手本映像を見る
ダンス指導で一番大切な準備物は、手本になるダンス映像です。教師が踊って指導するのではなく、手本映像を見せることで生まれるメリットは、以下の3つです。
- プロジェクターに映せば、子供たちが手本を見やすい。
(教師が踊る場合、後方にいる子供は見づらい) - 子供をよく見ることができるので、たくさん褒めることができる。
(教師が踊りながら指導すると、子供を見られない瞬間がある) - 教師が疲れないので、余裕をもって対応できる。
(踊っている子供の間に入っていって指導できる)
1回目の練習が始まるまでに、手本映像を教室で何度も見せるようにします。すると、休み時間に自主的に練習する子供が出てくるので、それを教師は大いに褒めましょう。どんどん踊れる子供が増えていきます。
2.手本映像をチラ見する
ワンパターンの練習方法を繰り返すと、子供がダレてきます。子供がダンスに慣れてきたら、手本映像の見せ方に変化をつけてみましょう。
教師が手本映像の一部を隠す
プロジェクターで映した手本映像を教師が遮って、一部が見えないようにします。
右半分だけ・上半分だけといったように見せる部分を変えたり、見せる時間を次第に減らしていったりと、アレンジしてみましょう。
プロジェクターの前に教師が立ったり、手でキツネやカニなどを形どった影絵を映しても、楽しくなりますよ。
踊る向きを変える
手本映像に対して90度右を向いて踊る子供は、左側にチラっとしか映像が見えません。”見ないで踊れる”という優越感を感じている子供の表情はとても誇らしげで、かわいらしく思えます。
そして、正面を向いている子供も、「自分も見ないで踊れるようになりたい!」と意欲的に踊るようになります。その一生懸命な姿も、とてもかわいらしいものです。
右を向いて踊れるようになったら、今度は映像を背にして踊ります。振り返らなければ、映像は見えません。ダンスの振り付けをしっかり覚えていないと、踊り切ることができません。
子供たちは「あ~、ここがまだ踊れない!」「やった! 踊れた!」と、大盛り上がりです。
教師は、一人ひとりの習熟の違いを一目で知ることができます。
手本映像が見えないからこそ、子供は集中して踊ります。ダンスの振り付けを覚える時期におすすめの、楽しい練習方法です。
3.ダンスサバイバルで完成度を高める
子供がダンスの振り付けを覚えた後、さらにダンスの完成度を引き上げたいときにおすすめなのが、ダンスサバイバルです。
不合格の子供を座らせる際は、子供にも人気のテレビ番組『ぐるぐるナインティナイン』のコーナー『ゴチになります!』を真似してみましょう。シェフが最下位の人の肩に手を置く、あの場面です。
肩を触るところで寸止めするなどのフェイントを入れると、教師が近づくたびに、踊りが良くなりますよ。
あまりに早く不合格を出すと座って見ている時間が長くなってしまうので、ある程度踊らせてから不合格にするようにしましょう。
4.ダンスバトルで向上心を引き出す
ダンスバトルでは、友達とペアになり、「どちらが大きく踊ったか」などを競い合います。
運動会当日は、観客が目の前にいます。ダンスバトルには、間近で見られ続けて踊ることに慣れることができるというメリットもあります。
勝敗の観点は、「大きく」以外に「笑顔」などが考えられます。
5.子供の生歌や無音で踊る
明るい雰囲気になり、とっても盛り上がるのが、子供の生歌で踊る練習! 一人の子供が朝礼台や舞台の上でダンスの曲を歌い、それに合わせて全員で踊ります。
周りの動きを見ながら無音で踊る練習では、一体感が生まれます。また、本番で急に曲が止まることがあっても落ち着いて踊り続けられるような、よい練習にもなります。
松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。
いかがでしたか? 手本映像のチラ見せ、ダンスバトル…楽しい工夫がたくさんありますね。このように、いろいろな仕掛けをちりばめながら、子供の好奇心や向上心を引き出していきましょう。Let’s Dance!!(編集部)
構成/設楽ゆき子 マンガ/したらみ