子供の学習意欲を高める、教師の話し方
学級や生活の場面で、教師の子供への働きかけの大半は「話すこと」です。しかし学級には、指示の内容を理解するのに時間がかかる、最後まで話を聞くことが難しい子供たちがいます。何をどうしたらよいか分からない状況は、配慮を要する子供だけでなく、どの子供にも不安が生じ、集中力や意欲の低下を招いてしまいます。子供たちの活動意欲を維持し、さらに高められるような教師の話し方の工夫にはどのようなものがあるでしょうか。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・塚本裕美
目次
受容的な学級の雰囲気づくり
肯定的な表現で話しかける
まずは、学級のすべての子供たちが安心して学習できる雰囲気をつくることが大切です。「間違えても大丈夫」「もう一回やってみよう」と思えるように、日頃から子供たちのがんばりや言動に肯定的な表現で声をかけましょう。教師の発する言葉は子供に大きな影響を与えます。温かい言葉は温かい言葉を生み出します。
どの子にも分かるように話す、短い言葉でゆっくりと話す
一文が長く、そのなかにいくつもの指示が含まれていると、子供たちにとって混乱の要因となり、内容が伝わりにくくなります。子供の表情を見ながら、短い言葉でゆっくりと確認しながら話しましょう。
話す内容を先に伝える、話す内容を板書して視覚化する
はじめに「これから、○○について三つ話します」と前もって伝えると、子供たちは「一つ目……、二つ目……」と整理しながら聞くことができます。
教師も整理してから話すことになるので、簡潔に短い文で伝えられます。指示を板書することでさらに理解がしやすくなります。
話をするタイミング
興味を引く工夫をする
どの子も聞くための準備ができていなければ、話の内容が頭に入らず聞き落としてしまいます。話を聞くきっかけを教師が与えることも工夫の一つです。子供たちと合言葉やリズムを決めて取り組んでも楽しいです。
〈例〉
音を鳴らす(手を3回叩くなど)
ハンドサイン(手をグーで挙げるなど)
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2020年11月号より