小2体育「ボール投げゲーム」指導アイデア

執筆/新潟県公立小学校教諭・鈴木亨
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・塩見英樹、新潟県公立小学校校長・長谷川智

授業づくりのポイント

低学年のボールゲームは、簡単なボール操作と簡単な攻めや守りの動きなどで易しいゲームをすることをねらいとしています。

規則が分かりやすく、ボール投げが苦手な子供でも楽しめるゲームにすることがポイントです。今回の「ボール投げゲーム」では、感染症対策を踏まえ、子供同士の接触が少なくなるように、ボールを取り合わないゲームとしました。

単元前半では、箱出しゲームで力いっぱいボールを投げる楽しさを存分に味わいます。子供の困り感に合わせて規則を変えていくとよいでしょう。後半は、攻守が分かれた箱当てゲームを行います。守りの人数を徐々に増やすことで、空いているゴールを狙って思い切りボールを投げる楽しさを味わえるようにします。

感染予防対策として、子供同士の接触をなるべく少なくした実践を紹介します。

単元計画(例)

単元計画(例)

※単元前半は、力いっぱいボールを投げる楽しさに触れ、単元後半では空いているところを狙ってゴール数を増やす楽しさに触れることを想定しています。

楽しむ① 力いっぱいボールを投げて楽しもう

まず、ボールを投げることをたくさん経験できるように、壁当てリレーや的当てゲームなどのボール投げ遊びを行います。そのなかで、子供のボールの投げ方を確認しましょう。

「箱出しゲーム」では、力いっぱいボールを投げる力を高めるために、1人1個ボールを持ち、段ボール箱に向かってボールを投げます。たくさん当てられるようになったら、箱までの距離を長くしたり、箱の中に重りを入れたりすることで、1つのコートに難易度の違う場を設けることができます。苦手な子供は安心して、得意な子供は意欲的に、力いっぱいボールを投げて楽しむことができます。

ボール投げ遊び

壁当てリレー

壁当てリレー
投げた人は後ろへ

・チームが1列に並ぶ。
・先頭の子供がボールを持つ。
・壁から3m離れたところから壁にボールを投げ、跳ね返ったボールを後ろの人がキャッチする。

的当てゲーム

的当てゲーム
グラウンドや体育館のラインを使うと準備がしやすいです

・壁に的を貼ったり、段ボール箱を置いたりする。
・的までの距離や的の大きさに応じて点数を変える。

箱出しゲーム「力いっぱいボールを投げる力」を高める運動

主な規制
(コートについて)
・真ん中に大きな段ボール箱を5個置く。
・投げる線の設定(3~5m)。
・ボールはソフトドッジボールがよい。
(規則)
・3~4人1チーム。
・チームの全員がボールを1個ずつ持つ。
・ボールを投げ当てて箱を動かす。
・投げたボールは自分で取りに行く(相手や見ているチームが拾ってもよい)。
・制限時間は2分間。相手のコートに動かした箱が多いほうが勝ち。

左足をふみ出し、右手で押し出すように投げる

左足をふみ出し、右手で押し出すように投げる(右手で投げるとき)。

箱出しゲーム「力いっぱいボールを投げる力」を高める運動

ボールをうまく投げられない子には、上手な子の足の位置や投げ方について、一緒に確認しましょう。

箱出しゲーム「力いっぱいボールを投げる力」を高める運動

場所によって箱までの距離を変えたり、箱の中に重りを入れたりすると、難しくなります。

苦手な子供も当てやすいように、大きい箱を用意しましょう。

楽しむ② 狙って投げて楽しもう

「箱当てゲーム」では、狙ったところにボールを投げる力を高めるために、1人1個ボールを持ち、ゴールの段ボールを狙ってボールを投げます。ゴールを守る人数を0人から2人へと徐々に増やして、空いている空間を狭くしていきます。相手がいるときや相手が増えたときはどうするかを子供に問いかけることで、相手の位置を見ながら、広く空いている空間を狙ってボールを投げている友達のよい動きに気付いていきます。

単元が進むと、子供のなかから「友達が投げた後に投げる」「全員一緒に投げる」など、チームの友達を意識した工夫が出ます。相手の位置だけでなく、チームの友達を意識することで、狙いやすくなることに気付いていきます。

基本は1対1ですが、友達と協力して成功につながった喜びやゴールが増えたことへのうれしさを味わいながら、さらに運動への意欲をわかせます。

箱当てゲーム「空いているところを狙って投げる力」を高める運動

イラスト/たなかあさこ、横井智美

『教育技術 小一小二』2020年11月号より

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