小4理科「季節と生き物 秋」指導アイデア
執筆/埼玉大学教育学部附属小学校教諭・肥田幸則
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、埼玉県公立小学校校長・引間和彦
目次
単元のねらい
動物を探したり植物を育てたりしながら、動物の活動や植物の成長の様子と季節の変化に着目して、それらを関係付けて、身近な動物の活動や植物の成長と環境との関わりを調べることを通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想する力や生物を愛する態度、主体的に問題解決しようとする態度を育成する。
単元の流れ(三次 総時数5時間)
一次 植物の成長(2時間)
① 秋の自然のようす
② 秋の植物のようす
二次 動物の活動(1時間)
③ 秋の動物のようす
三次 記録の整理(2時間)
④ 植物や動物のようすと気温との関係
⑤ これからの変化
単元デザインのポイント
観察の視点をもつ
春から継続的に観察している生き物の様子が、秋になってどのように変化したのか予想し、この予想を基に、観察の視点を決め、何を調べるのか明らかにしてから観察しましょう。
季節ごとの変化を捉える
秋の季節だけでなく、これまでの記録を整理しながら季節の変化に着目できるようにします。このとき、記録カードだけでなく、グラフや表を用いながら整理すると、植物や動物の様子と気温との関係が捉えやすくなります。
単元の導入
① 二枚の写真を提示する。

夏の頃の様子と比べて、どんな変化がありますか。
夏は葉の色が緑色だったけど、秋になると赤っぽい色になっているね。
② 自分が観察している生き物の変化を予想する。
ほかにも、どんな変化がありそうですか。身の回りの自然を調べてみましょう。
僕の観察している木も、葉の色が変わったり、枚数が減ったりしていると思います。
活動アイデア
これまでの観察記録をふり返り、夏と比べてどのような変化が見られそうか予想してから観察を行うことで、観察する視点を明確にもって取り組むことができます。
季節による気温の変化や、動植物の様子が分かるような観察記録を取ることで、気温と動物の活動や植物の成長の変化を関係付けて考えやすくなり、これがこれから冬になるとどのように変化していくのか、根拠のある予想を発想する力の育成にもつながります。
授業の展開例
これまでの観察記録を基に、秋の植物の様子を予想し、観察します。
【問題】
涼しくなって、植物の様子は、どのように変わっているのだろうか。
予想
秋になって、植物の様子は夏の頃と比べてどのように変わっていると思いますか。
僕の観察しているサクラの木は、夏は葉の色が緑色だったけど、秋は気温も下がっていると思うから、色も変化して赤色になっているんじゃないかな。
私の観察しているヘチマは、春から夏にかけて茎がよく伸びていたから、秋になってもそのままさらに伸びていると思うな。
解決方法の立案
みなさんの予想を確かめるためには、植物のどんなところをくわしく観察するとよいですか。
・夏の頃と同じように、ヘチマの茎の長さを調べてみよう。
・三年生のときに、花が枯れると実ができるって学習したから、夏との違いを見付けて、どんな実ができているか観察したい。
観察

よく見ると、サクラの葉の色は赤色だけでなく、茶色の部分もあるぞ。気温が下がるにつれて、だんだん枯れてきているのかなあ。
ヘチマの茎は、あまり伸びていないよ。実の中に種ができて、枯れているよ。サクラの木と比べて、枯れていく様子に違いはあるのかな。
指導のポイント
夏の様子と比較する
これまでの観察記録を基に、秋になってどのような変化が見られるか予想することで、自分の予想に根拠をもちやすくなります。

観察の視点を決める
→色、形、大きさを中心に
① これまでと同じ視点で
・茎の長さを調べよう
・葉の色や数を調べよう など
② 夏と別の視点で
・実ができているから実を観察してみよう など
記録の取り方を工夫する
植物の様子だけでなく、年間を通して観察する植物と一緒に写真を撮っておくと、服装の変化と気温の変化を結び付けて考えやすくなります。

差異点や共通点を話し合う
お互いの観察記録を見合うことで、友達の観察の視点でもう一度自分の植物を見直すようになり、これが共通性や多様性の見方を働かせることにつながります。
※学習活動の実施に当たっては、新型コロナウイルス感染症に関わる各自治体の対応方針を踏まえるなど、子供の安全確保に向けて十分配慮することが必要です。
イラスト/たなかあさこ、横井智美
『教育技術 小三小四』2020年11月号より