小6国語「みんなで楽しく過ごすために」指導アイデア
教材名:「みんなで楽しく過ごすために」光村図書
指導事項:〔知識及び技能〕(1)ア 〔思考力、判断力、表現力等〕A(1)ア・オ
言語活動:ウ
執筆/京都府公立小中学校教諭・高田裕宇
編集委員/前・文部科学省初等中等教育局教科調査官・菊池英慈 京都市総合教育センター研修主事・藤本鈴香
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、互いの立場や意図を明確にしながら計画的に話し合い、考えを広げたりまとめたりする力の育成を目指します。計画的に話し合うためには、話合いの内容、順序、時間配分だけではなく、意見を一つにまとめるために話し合うのか、互いの考えを広げるために話し合うのかといった話合いの目的や方向性についても検討するようにします。
そして、話合いを通して様々な視点から検討し、自分の考えを広げたりまとめたりできるようにしましょう。
②言語活動とその特徴
本単元では、「みんなで楽しく過ごすために自分たちが中心となって行う活動について、グループごとに話し合う」という言語活動を位置付けます。活動の目的や条件に合わせ、進行計画に沿って、グループで話し合います。
まず、それぞれの主張の意図や、理由・根拠について尋ね、グループの考えを広げます。次に、互いの意見の共通点や相違点、問題点や改善点を明確にしてグループの考えをまとめ、仮の結論を決めます。一度決めたことを試行することで新たな課題が見付かります。そして、その課題を解決するために再度話し合って改善点を明らかにします。
このように、グループで合意形成を図って終わるのではなく、試行錯誤しながら解決に向かっていく話合いを重ねることで、話合いが実生活に生きていることを実感できるようにしましょう。
単元の展開(6時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)

大まかな流れが書かれた司会カードを基に、話合いの見通しをもち、話合いではどんな意見を出せばいいのか、記録はどう取ればいいかを話し合います。これを受けて司会カードを完成させ、次時の話合いに生かします。
▼大まかな流れが書かれた司会カード
教科書133ページから136ぺージを参考に、具体的に話し合えるようにしましょう。
考えを広げる話合いでは、一人ひとりが考えを話さないといけないね。
主張だけでなく、理由や根拠を話せば、説得力が増すね。
考えをまとめる話合いでは、それぞれの考えの共通点や異なる点、利点や問題点をはっきりさせよう。
問題点から改善点を考えることで考えがまとまっていくんじゃないかな。
▼話合いを受けて完成した司会カード
アイデア2 考えを広げる話合いの記録を話合いに生かす

話合いには、考えを広げるものと、考えを一つにまとめるものとがあります。まず、主張や理由、根拠を一人ずつ話し、考えを広げていきます。そして、広がった意見の共通点や相違点、利点や問題点を明確にし、改善点などを検討して考えをまとめていくようにします。話した言葉は残らないので、記録を基に話し合うようにしましょう。
▼考えを広げる話合い
▼考えをまとめる話合い
どの遊びも一年生はできそうだね。
じゃんけんおにごっこは、本当に足の速さが関係ないのかな。
でも、ボールを使うのは、危険じゃないかな。
じゃんけんおにごっこにルールを加える必要があるね。
アイデア3 一回目の話合いを振り返り、二回目の話合いに生かす

一回目の話合いでは、自分の意見を言おうと思ったけど言えなかったというように、話合いの仕方についての課題も出てきます。そこで、二回目の話合い(決まった仮の結論を実際に試して改善点についてさらに話し合う)の前に、一回目の話合いについて振り返る時間を設定します。話合いの様子を動画で撮るなどして、具体的に振り返ることができるようにしましょう。
▼話合いの様子を撮影

このとき、ドッジボールは危ないと思ったのだけど言えなかったんだ。
伝えにくいことを伝えるときには、表情と口調に注意しなければいけないね。
たしかに、ドッジボールは一年生にとって危ないかもしれないね。
一年生がけがをしたり、「怖い」と思ったりするのはよくないね。「危なくないか」という視点で遊びを試してみよう。
目的に応じて必要な場面を繰り返し視聴することができる動画は、話合いを振り返るときに有効です。動画を見ながら、「このとき、どうすればよかったか」など、具体的に振り返ることができるようにします。また、教科書138ページ、139ページ「伝えにくいことを伝える」も参考にして、二回目の話合いに生かせるようにしましょう。
イラスト/斉木のりこ 横井智美
『教育技術 小五小六』2020年10月号より