授業でGoogle Workspaceを使うときのポイント|樋口綾香のGIGAスクールICT活用術⑭
Instagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 今回は、授業でGoogle Workspace for Educationを活用するためのポイントについて教えてくれました。
執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香
使用タブレット:iPad
使用アプリ:Classroom
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目次
Google Workspace for Educationの導入
私の勤務する自治体では、Googleアカウントがすべての児童と教職員に付与されました。そのため、子供たちには、ロイロノートやコラボノートだけでなく、Googleのアプリも必要に応じて使えるように指導していきたいと考えました。
しかし、何から始めればいいか、正直分からないことだらけでした。私自身がGoogleにあまり馴染みがなかったのです。
使っている方の実践を調べたり、YouTubeを見たりしましたが、いまいち「これ!」と思うものに出合えずにいました。
そんな私が、勤務する小学校で、どのようにGoogle Workspace for Educationを導入していったかをお伝えします。
Classroomとは?
Google Workspace for Educationは、Googleが提供する教育向けオンラインサービスのセットです。
Google Workspace for Educationには次のようなものが含まれています。
- Classroom、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォームなどのコラボレーションツール
- Google Meet、Chatなどのコミュニケーションツール
今回取り上げるClassroomでは、オンライン上で作成した「クラス」ごとに、プリントの配付や課題の出題・回収などを行うことができます。
Classroomは、様々な学習活動をするための拠点となります。
Classroomを使用する際のポイント
Classroomを実際に使用してみた後でいろいろと分かったこともあるので、その経験を注意点としてご紹介します。
①担任がオーナーになる
Classroom上での「クラス」は担任がつくり、オーナーになるようにしましょう。
担任以外の人がクラスをつくると、あとあと権限を移したりするのが難しく、おすすめできません。 副担任にだけ担任の権限を移譲できる仕組みになっているので、面倒でも、それぞれの担任にオーナーになってもらって、クラスをつくるようにしましょう。
例えば、うっかり担任ではない人が、6クラス分の Classroomでのクラスをつくってオーナーになったとします。すると、Classroom上に書き込まれた内容がすべてメールで届き、児童が提出したり、授業で使ったりしたファイルはすべてその人のGoogleドライブに保存されます。量が多くて大変なことになってしまいます。
②「ストリーム」は節度をもって使う
「ストリーム」は、学級の掲示板のようなものです。連絡事項を書き込んだり、授業に使用するワークシートを添付したり、使いたいWEBサイトのURLを貼るなど、とても便利です。
書き込んだ内容にコメントすることができるため、朝の会や帰りの会で目標を書いたり、振り返りをしたりするのにもおすすめです。
しかし、コメント欄は放っておくと、児童同士の言葉が雑になったり、意味のないことが書き込まれたりする可能性もあります。
はじめに何ができるのかを知るとともに、どう使いたいか、安心して使うためにはどんなことに気をつければよいかを考える時間をもつとよいでしょう。
私は、相手意識をもって丁寧な言葉で書き込むことや、夜9時以降に書き込みをしないことを伝えました。
③課題は「トピック」ごとに管理する
「授業」では、課題を出すことができます。
その際、各教科の「トピック」をつくり、それぞれの課題を割り振ると、管理しやすくなります。
④提出したものは学級で共有できないので注意
ロイロノートのように提出箱に入ったものを皆で共有することは、Classroomではできません。
そのため、「課題の途中経過をクラスで共有して、さらに推敲する」などの活動には向いていません。提出は、課題が仕上がってから行うことになります。
⑤共同編集するために「編集可能」に設定しておく
Classroomの一番の魅力は、なんといっても、共同編集をするためのファイルをすぐに添付して子供たちに送れることです。
タブレットの画面上で、友達と同時に文字を打ち込んだり絵や図を描いたりできることは、とてもワクワクするようです。
個人の思考を可視化するロイロノートとは違い、Classroomでは、協働で学習する様子を可視化できます。
共同編集をするためには、編集モードを操作しておく必要があります。
「児童生徒は閲覧可能」と「児童生徒は編集可能」から「編集可能」を選んでおきましょう。
⑥タブレットよりもパソコンの方が見やすい
授業中は機動性が高いタブレットで操作するほうが使いやすいものですが、児童の課題を確認するときにはパソコンで開くことをおすすめします。課題の一部が写真のように表示されていたり、課題ごとの採点が一目で分かるようになっているため、作業しやすくなります。
また、タブレット版のClassroomでは表示されないボタン等もあるので、困ったときは一度、パソコンで開いてみてください。
Classroomのここがいい!
Classroomのメンバーに専科の先生も入ってもらえる
- 次の授業の持ち物やテストの日程などの連絡事項が届く。
提出期限はGoogleカレンダーに連動される
- 児童のGoogleカレンダーにも連動されるため、提出期限を忘れない。
→ 自分でスケジュールやタスク管理をできる子が育つ。
提出された課題を採点できる
- 採点は表になって蓄積されるため、通知表に生かすことができる。
- 課題がルーブリック(学習の到達状況を示す判断基準を観点と尺度で示したもの)によって点数化されるため、児童の得意不得意が一目で分かる。
- 児童にとっても評価が分かりやすい。
- 提出・未提出がすぐに分かるため、支援しやすい。
新しいことを始めようとすると、うまくいかないことに多々出合います。その時間も児童と試行錯誤し、対話しながら進めていくことで、意味のない時間ではなく、ツールの仕組みを理解しながら、学びをつなげる時間にできるでしょう。
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樋口 綾香
ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。
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