「板書」の基本 ~児童の意見を広げるポイント 後編~

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樋口綾香の「すてきやん通信」【毎週水曜20時更新】
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大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

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Instagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生の好評連載! 今回は、「児童の意見を広げたり、深めたりする板書のポイント」の後編です。

執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

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「黒板あるある」と改善点

前回は「児童の意見を広げたり、深めたりする板書のポイント」の前編として、児童の指名の仕方、発言内容の書き方、色チョークの使い方についてお伝えしました。今回は、黒板そのものの使い方についてお話しします。

国語の授業では、右から左に縦書きで板書しながら、1時間の学習を1枚の黒板に残します。授業が終わった後、このような板書になっていないでしょうか。

  1. 字が小さかったり色が薄かったりして見えにくい
  2. 白いチョークだけで書かれている
  3. 囲みや直線に定規を使っていない
  4. 右から左に「題名・めあて・発問・まとめ」のみが書いてある

授業後に板書を撮影して、自分が書いた板書を客観的に見てみたり、児童に板書についてどう思うかを尋ねてみたりすると、他にも細かな点に気づくかもしれません。

上の①〜④の板書には、次のような改善点と対応策があげられます。

字が小さかったり、色が薄かったりして見えにくい

  • 低学年だけでなく、高学年でも字の大きさは大きい方がいい。視力は学年が上がるにつれて低下し、漢字は難しくなるため、見やすく示す必要がある。(私は低学年は一辺約10㎝の正方形、高学年は一辺約8㎝の正方形で書いています)。
  • 色の薄さは、チョークの持ち方による。人差し指の腹で上から押さえ、力強く書く。

白いチョークだけで書かれている

  • 授業後振り返るときに、大事なことが分からないため、色チョークで大事な部分を示す。

囲みや直線に定規を使っていない

  • 例えば、めあてやまとめ等、授業の見通しや身につけた知識・技能に関わる部分、算数の問題など、学習全体に関わる部分には定規を使って囲みや直線を引き、見やすく整える。

右から左に『題名・めあて・発問・まとめ』のみが書いてある

  • 児童の考えが授業の中でどのようにつながったのかが分からないため、思考の深まりが分かりにくい。
  • 児童の意見を整理して書くこと、課題やめあてに対して、児童が何をどのように思考し、解決していくかの道筋を意識して授業づくりをする。

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「板書を構造化すること」のよさ

上で示した①〜④の板書が必ずしも悪いわけではなく、学習内容に応じて板書をデザインする意識が必要であると感じています。

そこで、私は黒板そのものの使い方の工夫として、「板書を構造化する」ということを研究してきました(2017年度 科学研究費奨励研究「シンキングツールを取り入れた構造的板書による読解力・対話力と情報活用能力の研究」)。

この研究をしようと思ったきっかけは、二つあります。

一つ目は、ある説明文の授業を参観した時のことでした。

その授業では、本文が拡大印刷された紙を大きく1枚貼り出すのではなく、紙は事例ごと切られており、さらにその紙を縦に3枚貼っていました。

板書を構造化する
(例:2013年の国語の板書)

このような板書にすることで、教師が何かを気づかせようと発問する前に、児童は自然と事例同士を比べ、その共通点や相違点に目を向け、議論を始めたのです。

「本文の書き方一つ、紙の貼り方一つで、こんなにも児童の反応は違うのだ」と私は驚きました。

二つ目は、児童の意見を聞いているときでした。

児童の中には、「◯◯と似ていて」や「△△に付け足して」など、友達の意見とつなげて発言しようとする子がいます。その意見を聞いていた児童から「ああ」や「たしかに」「なるほど」といったつぶやきがあり、思考が整理されたり、納得したり、広がったりする気づきが生まれていくことに気づいたのです。

この気づきを授業の中でもっと多く引き出せないかと考えました。そこで、児童の思考を整理する場を板書の中にデザインしたり、思考のつながりを線や囲みで残したりしようと考えました。

児童同士の意見をつなぐには、できるだけ言葉を残しておく必要があります。だからこそ、前回紹介したように、児童の意見の要点を注意深く聞くことや、教材分析の段階で多くの視点を授業者である私自身が持っておく必要性が生まれました。

児童につけたい力と教材の特性を生かして板書を構造化することは、私にとって新たな授業づくりの方法であり、楽しみな反面、難しいと感じることも多々ありました。

では、どのような板書で児童は自ら気づきを得たり、思考をつないだりしたのでしょうか。

次回は、具体的な板書を示しながら、授業づくりについてお話します。

樋口綾香教諭

樋口 綾香

ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。

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