保護者と良好な関係をつくる教師の心がけと対応
「モンスターペアレント」や「我が子ファーストの親」などという言葉が、時折、マスコミ等で聞かれます。そんな保護者をつくらない方法やもしものときの対応の仕方について、日ごろより、気をつけておくことが大切です。
執筆/福岡県公立小学校教諭・藤井龍一
目次
保護者との関係づくりのための教師の対応
保護者の方も、担任がどんな先生なのか、期待と不安でいっぱいです。また、学校生活が見えないこともあり、心配な気持ちが膨らむことが多々あります。保護者の方が安心できる対応を心がけましょう。
日常的に気をつけたいこと
「メラビアンの法則」という言葉を聞いたことがありますか。人は、目と耳から入る情報がその大半を占めるというものです。服装や言葉遣い、表情(笑顔)に気をつけることで、保護者は安心し、信頼を獲得できます。
保護者への連絡で気をつけたいこと
保護者は、子供のことがとても気がかりです。けがや友達とのトラブルに関する連絡などは、こまめに行いましょう。
子供より先に情報があると、保護者は安心して子供の話が聞けるものです。
また、保護者への連絡内容が、子供の情報と違う場合には、保護者とトラブルになることがあります。
子供への聞き取りから、より確かな情報を、しっかり保護者へ伝えられるように、メモなどをとっておくようにしましょう。
連絡帳での対応で気をつけたいこと
保護者との連絡で最も多いのが連絡帳でのやり取りです。
連絡帳でのやり取りは、相手の表情が見えないので、対応には気をつけましょう。
学校や担任への苦情等に対して回答が難しいときは、「お電話でお伝えします」や「お家へ伺って、直接お話しをさせてください」など、文書での回答を避けて、直接会って話すようにしましょう。
子供との関係が親との関係
保護者は、子供の話をもとにして、先生の姿を想像するものです。子供が「優しい」と言えば、保護者は「優しい先生」と感じ、「遊んでくれる」と言えば、「子供想いの先生」と感じます。
子供たちとのよりよい関係づくりが親との関係づくりにつながります。
苦慮する場面の対応について
信頼関係づくりに努めていても、保護者とのトラブルは起きるものです。そんなとき、どのように対応するか考えておきましょう。
場合(起きた事象)や相手(保護者の性格)によっては、対応に苦慮する場面があります。
ここでは、次のような事例をもとに、保護者とのいい関係をつくるための準備や対応策をご紹介します。
学校や先生へのクレームが来たとき
保護者から「去年までは、○○でした」や「どうして、隣のクラスと違うのですか」などの意見を言われる背景には、学校や先生への不信感があると考えられます。次のような点に気をつけ、誠意を伝えることが大切です。
他の子や保護者へのクレームが来たとき
保護者から、一方的な訴えがある場合があります。確かな事実であれば、担任にとっては大切な情報となりますが、そうでない場合もありますので、注意深く聞くことが大切です。
また、このとき担任として軽率な見解や判断をするのは、後々大きな誤解にもつながるので控えましょう。
事実確認をしっかり行った上で、適切に対応しましょう。
給食費などへのクレームが来たとき
金銭に関する対応は、担任だけで行うには難しいものがあります。管理職や同学年の先生、事務職員などと協力して対応しましょう。
いじめや問題行動に対して気をつけること
いじめや問題行動など、デリケートな事象に関する保護者対応については、細心の注意を払って対応することが不可欠です。
次のようなことに気をつけ、対応するようにしましょう。
「いじめや問題行動での留意点」
- 当事者からよく聞き取りを行い、事実確認をしっかり行う。
- 聞き取ったことをもとに、事象について、細かく保護者に伝える。その際、「誰が悪い」ではなく、「何が悪かった」のように、当該行為について話す。
- 終わった事象でなく、これからの改善策について、保護者と相談するようにする。
- 今後も連絡を取り合い、保護者の方と一緒に考え、ともに対応していく姿勢で、話合いを行う。
誠意と熱意で保護者を味方に
どの保護者も、我が子のことを大切に思う気持ちは、教師と同じです。
先生の子供たちへの熱意を伝えることや、保護者へ誠意を持った対応を心がけることで、保護者とよりよい関係づくりが期待できます。
イラスト/北澤良枝
『教育技術 小五小六』2020年7/8月号より