高学年児童が活躍する生徒指導
高学年の子供たちが担う「生徒指導」について紹介します。教師が説明するよりも、高学年の子供たちが説明すると同じ子供目線の話になるので、自分たちの問題として捉えやすくなります。
執筆/福岡県公立小学校校長・野口博明
目次
生徒指導とは
社会の中で自分らしく生きることができる大人へと子供たちが育つように、その成長や発達を促したり支えたりする働きかけのことです。誰かに言われなくてもやがて自分自身でできるようになっていくことをめざします。
生徒指導の内容
日常生活での生徒指導
- 挨拶、言葉遣い、きまりを守ること等。
- 教師が当たり前のように行っている子供への働きかけのほとんどが生徒指導です。
※一部の内容を高学年の子供に担わせます。
授業中の生徒指導
- 授業中の約束事(学習規律)
学級活動(2)での生徒指導
- 自分自身で生活態度や言動を振り返り、望ましい方向に自分で決めていきます。
キャリア教育での生徒指導
- 将来のために、自分の生き方を考えます。
教育相談での生徒指導
- 自分の悩みを受け止め、次の一歩を踏み出せるようにしていきます。
非行防止での生徒指導
- 自他に危害をもたらすような行為に対して、反省し回避できるようにしていきます。
高学年が担うよさ
教師が話すより高学年の子供たちが説明するほうが同じ子供目線の話になるので、自分たちの問題として捉えやすくなります。また、よく知る上級生が説明してくれるので、興味深く話を聞いてくれます。
生活のめあて
年間計画を立てるときに、どの内容を高学年の子供たちに任せるかを教職員で協議しましょう。
そして、毎月の全校朝会の中で、担当する子供が説明できるように準備をしておきます。
月のめあてを各学級で実践した様子を紹介したり、集計結果をお知らせしたりする活動、新聞、放送、表彰、メダル渡しなど、高学年の子供たちの活動は多岐にわたります。
生徒指導 月のめあて
- 月の担当者は、全校朝会時に全校児童に向けてめあてについての話をする。
- 月のめあてについて学級で話し合い、「クラスのめあて」を決める。
- 「クラスの取り組み」について翌月の朝会で代表児童が発表する。
活動の実際
①4月「気持ちのよいあいさつ」(6年生)
- パネル担当3人、演示担当2人、司会1名
- 全校朝会の中で、子供が挨拶の手本を見せながら、説明していきます。
- 翌日から6年生が輪番で、朝の挨拶運動を行います。合わせてポスターも掲示すると挨拶を意識する子供が増えていきます。
②7月「もくもくそうじ」環境委員会
- テレビ朝会。紙芝居で説明します。
- 担任は、帰りの会の時に、4つのポイントを評価し、意欲づけを行います。
③夏休み前「夏休みのきまり」(児童委員会)
- 寸劇でわかりやすく伝えます。
- 毎年決まった指導をしていても、劇で説明すると楽しく学べるので、内容が伝わりやすくなります。
④8月「熱中症に気をつけよう」(保健委員会)
- 7月のうちに保健委員会で担当の先生とプレゼン資料の準備をしておきます。
- 全校朝会では、プレゼンで発表します。
⑤9月「安全に登校しよう」(6年生)
- 8月と同じようにプレゼンで説明します。
- 翌日から、下校時間が全校そろっている日に一斉下校をします。6年生は低学年の子供と一緒に安全を確認しながら帰ります。
⑥11月「本とふれあおう」(図書委員会)
- 図書委員会は、事前にとっていたアンケートを集約し、人気の図書を発表します。
- その日の昼休みから図書館で図書委員会のイベントを開催します。
⑦1月「給食を感謝して食べよう」(給食委員会)
- 12月、給食の先生にインタビューをしておき、担当教師がビデオの編集をします。
- テレビ朝会では、ニュースキャスター風に発表します。
生活指導を児童が行う場合の留意点
- 子供が楽しく理解し、実践できるように表現の仕方を工夫しましょう。
- 生徒指導上の大切な内容は、教師が補足するようにしましょう。
イラスト/ 菅原清貴
『教育技術 小五小六』2020年6月号より