小6算数「分数÷分数」:数直線・面積図・関係図で攻略②【動画】

【トモ先生の算数チャンネル】第6回
小学校の算数の授業づくりをお手伝いする『トモ先生の算数チャンネル』。今回は、6年生の「数と計算/分数÷分数」編です。トモ先生こと髙橋朋彦先生が、学習指導要領に基づいた授業のポイントを解説します。
このシリーズでは、小学校高学年の算数を専門とする髙橋朋彦先生が、小ネタや道具に頼らずに、基本を大切にした質の高い授業づくりができるアイデアをお届けしていきます。
目次
分数の学習で大切なこと
学習指導要領、読んでいますか? ⋯なかなか読む時間を取るのは難しいですよね。そこで、算数チャンネルでは、私が読み込んだ学習指導要領のポイントをみなさんにお伝えしていきます。
さて、6年生の分数÷分数ですが、学習指導要領解説算数編(H29年6月告示)にはこのように書かれています。
〔算数的活動〕(1)
小学校学習指導要領解説 算数編(H29年6月告示)より
ア 分数についての計算の意味や計算の仕方を、言葉、数、式、図、数直線を用いて考え、説明する活動
分数÷分数の学習は、どうしても「計算の正確性」に目が行ってしまいます。
ですが、「なぜその計算になるのか?」を、図を使いながら理解することが大事です。
そして、それを子供が説明できたら素敵ですよね!
なので、子供が説明できるようになる前に、教師がこれらの図について理解することが大切です。

3つの図で理解しよう

数直線・面積図・関係図――この3つの図を使うと、難しい「分数÷分数」を、それぞれ別の角度からイメージしやすくすることができます。
【問題】
13dLで35㎡塗れるペンキがあります。このペンキ1dLでは何㎡塗れますか?
この問題を例にして、一つずつ見ていきましょう!
1. 数直線:割合で考えて⋯戻す!
数直線は、「割合」の考え方を身に付けるのに重要です。
具体的な使い方を説明します。

数直線上には、問題にある「13dLあたり35㎡塗れる」と「1dLのとき」が示されています。
⋯あれ? 何㎡塗れるのかわからないですね。
このように「1のとき」を求める問題は「わり算」です。詳しく説明しましょう。
13dLで35㎡塗れるそうです。
「1dLのとき」がわからないので、逆から考えていきます。
数直線上の1dLから13dLへ行くとき、何倍しているでしょうか?
1から13というのは13倍=「×13」しているのですね。それを「1のとき」へ戻します。「×13」を戻すので「÷13」になります。
1dLから⇒13dLへ ⋯ ×13
▼
1dLへ戻すには ⋯ ÷13
同じように、塗れる面積についても考えていきます。
数直線上の空白部分「1dLで塗れる面積」から35㎡へ行くには、ペンキの液量と同じで13倍=「×13」ですね。
では、35㎡から「1dLで塗れる面積」に戻るには?
⋯そうです! 「÷13」になります!
このように、この問題を解く式は「35÷13」になる、という考え方ができます。
2. 面積図:「わり算でも増える」がわかる!
面積図は、「単位分数いくつ分か」という考え方を身に付けるのに役立ちます。
また、わり算と聞くと減るイメージがあるのですが、面積図を使うと増えるパターンについてもイメージしやすくなります。

具体的な使い方です。
まず、「13dLあたり35㎡塗れる」を表しているのが左側の面積図です。単位分数15が3つあります。
この問題の答えを求める式は「35÷13」でしたが、それを右側の面積図で表すと⋯⋯
「1dLのとき」になるまで、13dLあたり、23dLあたり、33dLあたり⋯と図を描き足していき、これだけの面積が塗れることになります。
13dLで塗れた面積の3つ分=単位分数 15が9個ということで、「わり算だけど増える」ということがイメージできるようになります 。
3. 関係図:「1のとき」の関係性から立式
関係図は、「式の関係性」について理解するのに役立ちます。

「1dLあたり何㎡塗れるかわかりません」が左側、「13dLあたり35㎡塗れます」が右側に示されています。
これも、「1のとき」から考えます。1dLから⇒13dLは何倍でしょうか?
⋯「×13」ですね!
そこから1dLに戻すには、「÷13」となりますよね。
1dL×13=13dL
▼
1dL=13dL÷13
そして、面積についても同じ関係性をあてはめます。
35㎡に「÷13」すれば、この空白の四角=1dLで塗れる面積が求められ、式が35÷13になることがわかります。
?㎡=35㎡÷13
「1あたり」を求めるときはわり算!
分数÷分数はすごく難しいです!
ですが、ポイントは『1』のときいくらか?と聞く問題が多い、ということです。
なので、「1あたりを聞かれているときはわり算」として考え、このような図を使うとイメージしやすくなるでしょう。

「1あたり」を求めるときは「わり算」!
みなさんの授業づくりのお役に立てたら嬉しいです!
トモ先生の「ポイント」と図の理解で、難しい「分数÷分数の立式」のコツがわかりましたね! 3つの図は、第5回「分数×分数」のときと同じですが、わり算では「1のときから考えて(かけ算)⇒1あたりに戻す(わり算)」とプロセスが一つ加わりました。難しい単元ですが、図の使い方をしっかりマスターして、「わかるから楽しい」算数の授業づくりを目指してみませんか?
算数チャンネル第5回「分数×分数」編も必見!⇒ 小6算数「分数×分数」:数直線・面積図・関係図で攻略①
トモ先生の「ちょこっと学習指導要領」全3回で学習指導要領の軸となるテーマを押さえましょう!
●Part1『主体的な学び』編 ⇒ 学習指導要領のポイント①『主体的な学び』は5ステップ!
●Part2『対話的な学び』編 ⇒ 学習指導要領のポイント②『対話的な学び』のポイントは3つ!
●Part3『深い学び』編 ⇒ 学習指導要領のポイント③『深い学び』のキーワードはコレ!

髙橋朋彦●1983年千葉県生まれ。第55回わたしの教育記録特別賞を受賞。教育サークル「スイッチオン」「バラスーシ研究会」に所属。共著に『授業の腕をあげるちょこっとスキル』『学級づくりに自信がもてるちょこっとスキル』(共に、明治図書出版)がある。算数と学級経営を中心に研究中。
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