小5理科「振り子の運動」指導アイデア
執筆/大阪府公立小学校教諭・金川弘希
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、大阪府公立小学校校長・細川克寿
目次
単元のねらい
振り子の運動の規則性について、振り子が1往復する時間に着目して、おもりの重さや振り子の長さなどの条件を制御しながら調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、振り子が1往復する時間に関係する条件についての予想や仮説を基に、解決の方法を発想する力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。
単元の流れ(三次 総時数 6時間)
一次 振り子の振れ方(1時間)
①グループでターザンロープを使用したり、ブランコをこぐ体験をしたりして、30秒間で何往復できるのかを競争する。
体重が重い人のほうが、速く往復できるはずだよ。
高い位置からスタートさせたら、勢いがついて速いはずだ。
②気が付いたこと、調べてみたいこと、疑問に思ったことを整理する。
いろいろな条件が混じっていて、なぜ1往復する時間が変化したのかわからなかったな。
「流れる水の働きと土地の変化」の学習のときと同じように、条件について考えないといけないね。
条件を1つだけ変えて、それ以外の条件をそろえて実験をしないといけないな。
二次 振り子が1往復する時間の変化(4時間) 【活動アイデア例】
①振り子の長さ、振れ幅等の定義を統一し、実験計画を立てる。
②実験を行い、振り子が1往復する時間の変化を調べる。
三次 まとめ・活用(1時間)
体育館2階の手すりからロープを垂らして振り子をつくり、1往復する時間の違いを体験する。
振り子の1往復する時間を体感してみよう。
単元デザインのポイント
●量的・関係的な見方を働かせる
本単元は「エネルギー」を柱とした領域に位置付けられており、子供が自然事象を、主として「量的・関係的」な見方を働かせて追究することが重要です。
・一方の量(振り子の長さ)が変化すると、それに伴ってもう一方の量(1往復する時間)も変化することに気付かせる。
・一方の量(おもりの重さなど) を変化させても、もう一方の量(1往復する時間)は変化しないことに気付かせる。
・結果をグラフに表し、変化する量としない量に気付かせる。
●考え方(条件制御)を働かせる
本単元は、ターザンロープを使用したりブランコに乗る体験をしたりして、生活に基づいた振り子の使用場面を観察します。
実験の際には、振り子の長さやおもりの重さ、振れ幅など1つずつ条件を変えて実験していくようにします。
・変える条件と変えない条件を制御しながら実験を行うことにより、実験の結果を適切に処理し、考察できるようにする。
・条件を制御するという考え方を働かせながら問題解決を行うことで、資質・能力の育成につなげる。
単元の終わりに、期待される振り返り
メトロノームはおもりの高さを変えることによって、テンポを変化させているんだね。
振り子の長さを変えると、1秒で1往復する振り子をつくることができるね。
活動アイデア
子供の日常生活と振り子の振れ方を結び付けて授業を行うことで、生きて働く知識・技能の習得、未知の状況にも対応できる、思考力・判断力・表現力等の育成を目指しましょう。
授業の展開例
イラスト/高橋正輝、横井智美
『教育技術 小五小六』2020年3月号より