小6社会「政治の働き・震災復興」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校主任教諭・吉岡泰志
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、東京都公立小学校校長・杉渕尚
目次
目標
自然災害からの復旧や復興について、政策の内容、計画から実施までの過程、法令や予算との関わりなどに着目して調べ、政治は、国民生活の安定と向上を図るために、大切な働きをしていることを理解する。

学習の流れ(8時間扱い)
問題をつくる(2時間)
○ 震災直後と現在の被災地の様子を比べて学習問題をつくる。
〈学習問題〉
災害からの復旧や復興に向けた人々の願いは、だれの、どのような働きによって実現されたのだろう。
○ 学習問題についての予想を基に、学習計画を立てる。

追究する(4時間)
○ 災害復旧に国や県、市がどのように取り組んだか調べる。
○ 復旧・復興に向け、国会や県、市議会がどのように取り組んだか調べる。
○ 復興に向けて、国や県、市、市民がどのように取り組んだか調べる。

まとめる(2時間)
○ 調べてわかったことを関連図に整理する。
○ 学習問題について自分の考えをまとめる。
導入の工夫
震災直後の被災地の様子を提示し、人々の切実な願いについて考えさせたうえで、現在の様子を提示し、学習問題につながる問いをもてるようにします。
この写真は、東日本大震災が起きたときに宮城県の気仙沼で撮影されたものです。
写真に写っている人たちは、どんな気持ちだと思いますか。

町が津波に流されて、どうしたらよいかわからなかったと思います。
地震から少し時間が経つと、自分たちの生活を元通りにしたいと思ったと思う。
この写真は、震災が起きてから7年後に同じ場所で撮影された写真です。
写真を見て気付いたことはありますか。

町がまたできています。奥の方に、同じような形のマンションがたくさん建っています。
地震で家をなくした人のために、建てたのかな? 手前には一軒家もあるね。
震災から復旧・復興するために、誰がどんな取り組みをしたのかな。
問題をつくる(1/8時間)
震災直後と現在の被災地の様子を比べて学習問題をつくります。
学習問題
災害からの復旧や復興に向けた人々の願いは、だれの、どのような働きによって実現されたのだろう。
学習問題について、自分なりに予想したことをノートに書きましょう。
2時間目は皆さんが考えた予想を交流しながら学習計画を立てます。
まとめる(7/8時間)
関係図を基に、学習問題について自分の考えをまとめます。
まとめ方の工夫
人々の願いや、国や地方公共団体の政治の働きについて、関係図にまとめたことを基に、学習問題について考えられるようにします。
住民はどのような願いをもち、議会や国、地方公共団体はどのような働きをしていたでしょうか。
住民は様々な願いを実現してもらうために、選挙を通して国会議員や知事、市長を選んでいました。
東日本大震災で大きな被害を受けた故郷を、よりよく復旧・復興して元の生活を取り戻したいという人々の願いを、国や県、市が政治の働きによって実現したものです。
関連図にまとめてみると復旧・復興したいという住民の願いをそれぞれの立場で、連携しながら実現しようとしていることがわかりますね。
単元づくりのポイント
本単元では、国民主権の考えの下、国民生活の安定と向上を図るための政治の働きについて扱います。その際、国や地方公共団体の取り組みについて、具体的な事例を取り上げて調べるようにすることが大切です。
また、地方公共団体の政治の働きを取り上げる際には、国の政治との関連を踏まえて指導することが求められています。
イラスト/横井智美、栗原清
『教育技術 小五小六』2020年1月号より