宿泊学習で心がけたい安全指導のポイント
子どもたちの学校の思い出ランキング上位の宿泊学習。ねらいの再確認や安全対策など、指導者が配慮すべきことは沢山あります。今回は、福岡教育大学教職大学院教授の脇田哲郎先生に、宿泊学習に向けての安全対策について詳しく教えていただきました。
目次
安全対策は3つの方向から
安全対策には、どんなものがあるでしょうか。大きく3つの対策があります。ふだんの指導で心がけておくこと、事前の指導で配慮しておくこと、そして、当日に注意すべきことの3つです。
ポイント① ふだんの指導で心がけておくこと
- ほかのお客さんや友達のことを考えて、行動すること
- 交通ルールや公共マナーを守ること
- 礼儀を守ること
宿泊学習は学校外で行われる集団活動です。宿泊先の社会教育施設では、職員からの説明を受ける場面もあります。バス内でのマナーなど、公共マナーを身につけておくようにふだんから指導することが大切です。
ポイント② 事前の指導で配慮しておくこと
- 教師が事前に下見に行き、野外活動などの危険箇所を確認する
- 学校でもオリエンテーションを行い、危険箇所の指導を行う
- キャンプファイヤーの準備の確認、火の取り扱い方
- 持参物への記名、持参物の確認
- お風呂の入り方、ベッドメイキングの仕方
- 食事の仕方、包丁の使い方
- 乗り物酔いの児童への対処
- アレルギーを持つ児童への配慮と職員間で、共通理解を持つこと
- 体調が悪い児童への対応と職員間で、共通理解を持つこと
- 雨天の場合の準備
- 危機管理マニュアルの作成
ポイント③ 当日の確認
- ホイッスルやメガホン、救急箱の準備
特に事前の指導で必要と思われることに、特別支援の必要な子どもに対する配慮があります。
例えば、写真を見せながら持参する物を説明するようにします。家庭内で放任されている子どもがいる場合も考えると、学級参観の時間などを利用して、保護者への説明会を開くことも大切になります。保護者向けの宿泊学習のしおりをつくり、親子で参加する意欲を高めてもらうのです。酔い止めの薬を飲ませておくこともお願いできます。
危機管理マニュアルというのは、夜に火傷など事故が起こった場合に、どこへ連絡したらよいのか、連絡先(病院など)を考えておくということです。
バイキングなどの食事の指導などは、家庭科や学級活動(2)「エ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成」と関連した指導の時間に行うこともできます。さらに、入所時、退所時のあいさつを子どもに用意させることも事前の準備に入るでしょう。
取材・文/高瀬康志
『教育技術 小五小六』2019年5月号より