「コミュニティ・スクール」とは?【知っておきたい教育用語】
コミュニティ・スクールとは「学校運営協議会制度」を導入している学校のことです。この制度は学校と地域との連携・協働関係の強化を通じて、より質の高い教育を実現しようとする制度であり、現行の教育振興基本計画では、2022年度中にすべての公立学校において導入することが目指されています。
執筆/沖縄国際大学准教授・照屋翔大

目次
「地域」として学校を支える
1980年代後半以降、日本の教育政策は「学校―家庭―地域」の関係強化を図ってきました。当初は、保護者や地域の教育力の活用(例えば、学校ボランティアなど)に力点が置かれていましたが、1998年の中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」以降は、保護者や地域住民を学校運営に参加・参画させることへの政策的関心が高まります。
2000年には学校教育法施行規則が改正され、地域住民が学校の運営に関して「校長の求めに応じて意見を述べることができる」学校評議員制度が導入されました。
そして2004年、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下、地教行法)」の改正によって、「学校運営協議会制度」が学校評議員制度とは異なる意図をもって新たに導入されます。コミュニティ・スクールとはこの学校運営協議会を置く学校のことであり、学校運営のかじ取りにおける保護者や地域住民の権限を、学校評議員制度と比べてはるかに強くするものでした。
促進のねらいは「学校の支援」
コミュニティ・スクールという制度設計は、2000年の『教育改革国民会議報告―教育を変える17の提案』が「新しいタイプの学校(“コミュニティ・スクール”等)の設置を促進する」と提案したことを契機とします。これは、当時先進的な取り組みとして知られていたチャータースクール(米国)や学校理事会(英国)の例を念頭に、学校のガバナンス(統治)における保護者や地域住民のプレゼンスを高めようとする政策意図を強く持つものでした。
しかし、2017年の地教行法改正(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)によって、学校運営協議会に対する役割期待は、「学校と保護者や地域住民との間の目的共有を促し、学校における教育活動をサポートする仕組み」へと大きく転換されました。現行の地教行法第47条の5第1項が、学校運営協議会を「当該学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する機関」と定義づけているように、学校運営協議会の取り組みは学校にとっての支援を主眼とするものなのです。
文部科学省のまとめによると、学校運営協議会には主に次のような役割が求められています。
●校長が作成する学校運営の基本方針を承認する(必須)
●学校運営について、教育委員会又は校長に意見を述べることができる
●教職員の任用に関して、教育委員会規則で定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる