「教師としての今後のキャリアアップは?」ぬまっちの答えは…

国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

独特の実践が注目を集め、数々の書籍を出版。テレビや雑誌などでも日々ひっぱりだこのカリスマ教師、沼田晶弘先生。
今回は、「ぬまっち先生は、教師として、今後のキャリアアップをどう考えていますか?」という質問に答えていただきました。

撮影/下重修

管理職を目指すより、自分の世界を広げていきたい

ボクは、管理職を目指してはいないかな。
正直ボクは、将来のビジョンというのをあまり持ってないんだ。

「今、できることを一生懸命やる」ということをずっと続けてきたし、今後も継続していきたいと思っている。授業も学級経営も、楽しいし難しい。だから全力でやりたい。

本を書いたり、取材を受けたり、講演会をしたりするのも、自分の世界が広がるから楽しいけれど、「もっとできたはずだ」という課題も残る。そして、その課題を乗り越えるために、時間が許す限りさらにやり続けたいと思う。

だからいまは、管理職への階段を上るというよりも、自分のスキルを上げ、教師としての仕事を極めながら、自分の世界を外に広げることに興味があるんだ。

多業種の人との関わりを通し、自分の引き出しを増やす

例えば、テレビに出演することも、教師として学ぶことがたくさんある。スタッフのディレクションも非常に明確なときもあれば、「臨機応変にご自由にどうぞ」といった柔軟性の高いもののときもある。常にその場に応じて変わるから、とても刺激になる。

MCの人に関しても、話し方はもちろん、ゲストの人のコメントの拾い方、トークの間合いの取り方、話が広がったり逸れたりしたときのまとめ方なども本当にためになるし、自分の仕事にも生かせるところはたくさんあると感じる。

とくに生放送は、とても緊張するし、現場ではいろいろと予想外のことが起こるけれど、その時のスタッフやMCの対応を見ていると、「この業界の人はこういう場面では、こう捉えてこうやって解決に向かわせているのだな」などと勉強になるから、課題解決のアイディアの選択肢が広がるんだ。

だからこれからも、もっといろんな世界の人と関わりながら、自分の知らない世界をたくさん見てみたい

まさに、「リアル友達百人できるかな?」だよね(笑)。

キャリアアップより、人脈のネットワークを広げたい

ただ、いろいろな業界の人と会うときには、やっぱり自分の軸がちゃんとしていたほうが、より深く話ができるし、信頼関係を築きやすいことは確かだと思う。

「自分にとっての学びになる」だけではなく、相手に対しても学びを与えるような存在にならなくては意味がない。ギブ&テイクの関係になるのが理想だよね。

そのためにも、自分の教師としてのスキルアップや、自分ならではの授業実践の積み重ねはとても大事だと思っている。

近い将来で言うと、今後ボクは教育指導のプロとして参加し、そのほかには全く別業界のプロフェッショナルの技術者や、各分野の専門家が参加しているようなチームで、何かプロジェクトができれば面白いなって思っているんだよね。

自分の知らない世界の人にたくさん会い、何かを一緒に成し遂げる経験を通して、子供たちに還元できることは無限にあるはずだ

だからいまボクが求め、自分に期待している未来は、「キャリアを上げること」よりも、教師としての軸を中心に「ネットワークを広げること」、なのかもしれない。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)他。
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取材・構成・文/出浦文絵

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