小6外国語:英文を書き写す際の指導のポイントは?教科書編集委員が解説します
英文をなぞってから書き写す際の指導のポイントは? 子供たちが自分で考え、英語でアウトプットすることができるようになるには? こんな疑問に、小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生が解答してくれました。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子
目次
Q1 英文をなぞってから書き写すところでは、どんなことに気を付けて指導したらよいでしょうか。
(学校図書『JUNIOR TOTAL ENGLISH』P.33・35)
A. 文字の縦の大きさや単語と単語の間のスペースなどに気を付けるように伝えましょう。
アルファベットを1文字、単語を1つ、2~3語のフレーズ…と、書く経験を積んできている子供たち。この段階では、「文をなぞって書く」「なぞった文を見ながら書き写すことができる」ということをねらいとしています。
子供たちは、文をなぞるときには4線のどの位置に書くのか、そんなに迷わずに書くことができます。また、単語間のスペースについても、そこまで意識せずになぞることができます。
しかし自分で文を書くとなると、なぞった文のすぐ下であったとしても、6年生の6月になっても、いろいろなことが紙面で起こります。
大きな文字になってしまう。4線があるけれど書く位置を間違える。単語と単語がつながって、どこがスペースかわからない。1つの単語の中にスペースがあるように書かれていて、2つの単語のように見えてしまうこともあります。
これらついては、いきなりできるようにはなりません。徐々にできるようになっていけばよいと考えてください。
大きくバツを付けて厳しく直しを求めたり、写しの正確さで点数をつけたりすることは、避けてほしいところです。
英語では単語間にスペースを空けるのだよ。1つの単語では文字の間隔を同じにして、くっつけて書くと見やすいよ
と丁寧に教えてあげましょう。
低学年児童が板書をノートに視写している時のように、おおらかな気持ちで向き合いたいところです。
文の初めは大文字、最後にはピリオドが付くんだ!
単語の間はスペースを空けるんだ!
と、書く経験を積み重ねていくことで、気付いていけるように支援をしていきましょう。
Q2 紹介したい国を紹介する活動では、子供に人気のある同じ国ばかりになってしまいます。初めから教師側でいくつかの国を挙げて、グループごとに振り分けたほうがよいでしょうか。
(東京書籍『New Horizon Elementary6』P.26・27)
A.同じ国でも伝える内容が異なれば、十分に学習になります。
子供一人ひとりが紹介したい国を選び、そして同じ国を選んだ子供同士で集まりグループをつくるとすると、子供に人気のある国ばかりが大人数になってしまうでしょう。そこで、あらかじめグループになり、そのグループごとにいくつかの国の中から選んで紹介するという取り組み方が考えられます。
そうした場合でも、教師側でグループごとに違う国を振り分ける必要はありません。例えば、イタリアを紹介したいというグループが複数あっても構わないのです。
発表準備をしている時点で、教師がそれぞれのグループを把握し、内容が重ならないように支援していけば問題ありません。同じ国を題材にしていても、伝える内容が異なっていれば、充分な学習効果があります。
なお、クラス内に、外国とつながる親戚をもつ子供がいる場合などもあります。その子が聞いたら悲しい気持ちになるような紹介文が出ないよう、全体で聞くことにふさわしくないと考えられるような内容が含まれていないか、事前に確認するようにしましょう。ここは、もう6年生だから任せて大丈夫!ではなく、教師がしっかり配慮すべきところです。
Q3 「Talk to Friends」では、「音声を参考にして、友達に伝える」とあります。ここでのポイントはどんなことですか?
(三省堂『CROWN.Jr6』P.32・33)
A.アウトプットの学習場面です。発表の型を暗記して言うのではなく、目的をもって友達とやりとりができるようにします。
ここでは、教科書に出ている子供たちの発表を音声で聞くだけでなく、それらを参考に自分の話をすることをねらっています。
教科書の音声を聞いている時点では、
行事について話しているんだな
学校の施設のことを話しているんだな
と、おおまかに分かれば十分です。その後で、「自分の学校のことや行事のことを話題にして友達と伝え合う」のが目的です。具体的には、「自分で言うことを決め、英語を考え、他者に伝える」という経験となります。
もし、子供たちが自分で決めたことを全く表現できず、発表の型を黒板に書かなければいけないような状況であれば、ここまでの授業計画を反省しなければなりません。丸暗記や反復練習ばかりしていたら、アウトプット場面で、子供たちの多くは、自分事として話をするような活動はできません。もしそんな状況であるならば、インプットの仕方を工夫して授業を進めていくように、意識を変えてみてください。
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長沼久美子
神奈川県公立小学校教諭。小学校英語教科書CROWN Jr. 編集委員。
(イラスト/本山浩子)
イラスト/横井智美