小6算数「角柱と円柱の体積」指導アイデア
執筆/神奈川県公立小学校教諭・三上顕
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、島根県立大学教授・齊藤一弥

目次
本時のねらいと評価規準
[本時の位置 2/5 三角柱の求積]
ねらい
図形を構成する要素に着目し、三角柱の体積の求め方を見いだすとともに、その表現を振り返り、簡潔かつ的確な表現に高めることができる。
評価規準
三角柱の面積の求め方を、既習の計算によって体積を求める考えに帰着させて考えている。
問題場面

これまでに、どんな立体の体積を求めてきましたか。
直方体や立方体の体積を求めました。
四角柱の体積も求めました。
直方体や立方体の体積は、どのように求めてきましたか。
直方体は、縦×横×高さで求めました。立方体も、一辺×一辺×一辺で求めました。
底面積×高さとみても、求められました。
つまり、かけ算を使って求めてきましたね。今回の三角柱も、かけ算を使って求められるかな。
底面を見ると、1つ分の大きさが違うので、かけ算が使えません。
でも、面積の時と同じように、工夫すればできそうだ。
三角柱の体積も、かけ算を使って工夫して求めてみましょう。
本時の学習のねらい
三角柱の体積を求め、説明しよう。
見通し
〈方法の見通し〉
三角形の面積を求めたときと同じように、図形を切ったり組み合わせたりするとできそうだな。
〈方法の見通し〉
三角柱の場合も、四角柱と同じように「底面積×高さ」で考えることができそうだね。
自力解決
A つまずいている子
辺の長さを、やみくもにかけて計算している。
B 素朴に解いている子
四角柱の半分とみて、図形を切ったり組み合わせたりしながら求めている。
C ねらい通りに解いている子
四角柱での解決方法から類推し、「底面積×高さ」とみて体積を求めている。
学び合いの計画
体積を求めることができただけで終わりにせず、図形を構成する要素に着目し、三角柱の体積の求め方を見いだすとともに、その表現を振り返り、簡潔かつ的確な表現に高めていきます。
これまで面積等で公式をつくってきた過程を振り返り、言葉の式に置き替えていくことで、式と図形の構成要素を関連付けます。そこで、その式表現を振り返り、それぞれの解のよさを比較・検討することで、「底面積×高さ」という簡潔で的確な式に高めていきます。
そこから再度、式と図形を関連付け、「底面積×高さ」とみて、本当によいのかを問います。高さ1㎝の三角柱の体積を表す数と底面積を表す数は等しくなることに気付かせていきましょう。そのように考えることで、「四角柱と同じように解決できた」「他の角柱でも使えそうだ」といった、統合的・発展的に考えるよさを実感させていきたいものです。
本時のノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け


三角柱の解決策は、2つあるということでよいですか。
解決策がたくさんあると面倒なので、1つにまとめたいです。
それでは、どちらの解決策がよりよいと言えますか。
C1のほうが、面積の学習の解決の仕方と同じだからわかりやすい。
でも、切ったり組み合わせたりして考えるのが面倒だよ。ごちゃごちゃしそう。
そう考えると、いちいち切ったり組み合わせたりしなくてもよいから、C2のほうが簡単だね。
面積さえわかればよいので、速く求められるね。
でも、面積は厚みが0だから、かけても0になっちゃうんじゃないかな。
面積は0なのに、本当に「底面積×高さ」としてよいですか。
0だから、かけ算をしても0。0だと立体でなくなっちゃうからだめだよ。
底面積は、高さ1㎝の三角柱の体積を表す数と同じです。だから、0ではありません。
底面積を使えば、高さ1㎝の三角柱の体積がわかるんだね。
そのように考えたら、四角柱と同じになるから便利だね。
五角柱や円柱でも、その考えは使えそうだね。
評価問題

子供に期待する解答の具体例
底面積は、高さ1㎝の三角柱の体積を表す数と同じだから、「底面積×高さ」とみて、計算で求めることができます。
5×4÷2×6=60 60㎤
または、4×5÷2×6=60 60㎤
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
「底面積×高さ」とみて、計算で面積を求め、その意味を説明している。
感想例
- 「底面積×高さ」とみると、四角柱の場合と同じに考えられるから、便利だと思いました。
- 「底面積×高さ」とみると、五角柱や六角柱や円柱でもできそうだと思いました。
イラスト/横井智美
『教育技術 小五小六』 2019年7/8月号より