小2道徳 「ともだちやもんな、ぼくら」指導アイデア

執筆/大阪府東大阪市立池島学園・近藤千尋

指導項目

友情・信頼

身近にいる友達と仲良くして過ごし、助け合っていこうとする心情を育てる。

小2道徳「友情・信頼|ともだちとのこと」指導アイデア
イラストAC

趣旨

二年生にとっての友達とは

この時期の二年生は、自分の身の回りの事を自分でできるようになって、学校生活にもすっかり慣れて来ました。ですが、友達と遊ぶ、一緒に学ぶということはあっても、助け合うという意識がまだまだ低いように思います。

子どもたちにとっての友達とは、

・一緒に遊ぶ子
・話をする子
・泣いている時に声をかけてくれる子

のような感覚です。教材の最後に出てくる三人のように、ピンチを一緒に乗り越えて友情がさらに深まる様子などを、学習を通して感じてほしいと思います。 とは言え、この一時間の授業で、友達とは何か、友達とどう過ごすか、などを理解して生活できるようになるわけではありません。

日々の学校生活の中で、友達を大切にするという事について様々な場面で話し合っていくことが必要不可欠です。だからこそ、友情について考えるこの学習を、子どもたちにとって、友達とは何かを振り返るきっかけづくりにします。

まだまだ経験の少ない二年生ですから、主人公の気持ちを問うても考えることが難しい子もいます。また、いい事を言ってほめられたい!という面を強く持つ二年生は、「ピンチの場面では、友達を助けよう!」などの答えが出てきても、「でも、やっぱり……」という、本音を出しにくいこともあります。短い人生経験において、葛藤の場面に立ったことのない子も多いでしょう。

そのため、役割読みやロールプレイが有効だと感じます。自分で演じてみて、主人公の気持ちを疑似体験しながら、友達と、ああでもない、こうでもないと話しながら、より良い選択肢を探ったり、自分とは違う想いをする子がいる事を感じたりしてほしいと思います。

使用教材

「ともだちやもんな、ぼくら」

くすのきしげのり作(東京書籍 二年)

友達を置いて逃げてしまい、これでいいのか二人で考えている

この教材は次のような物語です。

主人公『ぼく』、マナブ、ヒデトシの三人が、かみなりじいさんの家の木に勝手に登って、カブトムシを捕る。かみなりじいさんに見つかってしまい、逃げ出す三人。でも、途中でヒデトシが転んでしまい、逃げたのは『ぼく』とマナブだけ。そこで、本当にこれでいいのか二人は考え、かみなりじいさんの元へ戻り、三人一緒に謝る。『よく戻ってきたな』とほめられて『ともだちやもんな、ぼくら』と、胸をなでおろし、清々しく終わる。

原作の絵本には、

・ヒデトシが一番に逃げる
・置いて来たヒデトシを思い、葛藤する
・かみなりじいさんの所へ戻るまで
・帰り道での三人の会話の様子

など、教科書にはない部分がたくさんあります。

また、二年生が話の内容を理解するために効果的な挿絵が、教科書には足りません。

そこで、本時では、教材文を絵本で読み聞かせしながら進めます。教科書は、自分で読み返すことができるように、準備はしておきます。子どもたちが体験したことのない状況を、物語を読みながら、ロールプレイで体験し、自分だったらどうかな?という事を考えられるようにします。

本時の展開

①友達とはどんな人かを聞く

「みんなにとっての友達ってどんな人?」と問いかけると、「一緒に遊んでくれる子」「一緒に帰る子」「困った時に助けてくれる子」などが出てきます。

②絵本を読み聞かせる

③「ぼく」とマナブの二人で、ヒデトシの事を考えながら話す場面で読むのを止め、そこまでの話を整理する

・かみなりじいさんの人柄
・三人が勝手に家に入ってカブトムシを捕っていた事
・ヒデトシが逃げ出し、一緒にみんなで逃げた事
・ヒデトシを置いてきてしまった事

ここで、これまでの話をしっかり理解していないと、学びが深まりません。

④絵本の挿絵を見ながら、「ぼく」と「マナブ」に別れてロールプレイをする

(ぼく)ヒデトシ、つかまったんやろか

(マナブ)あんなところでこけるからや

と、最初の部分を役割読みし、続きは自由に考えさせます。いきなり子どもたちだけでロールプレイを始めさせるのではなく、まずは教師が「ぼく」の役をやり、だれかと一緒にやって見せます。活動内容を理解できたら、子どもたちだけでペアで行います。

一通り活動を終えたら、どのように演じたのかを共有し、板書に整理します。怒られそうで怖いという気持ち、友達を助けたいという気持ちを、比較できるように板書していきます。

⑤物語の続きを読む

⑥どうしてかみなりじいさんが笑顔になったのかを考えさせる

正直に謝りに来たから

友達の事を思って戻って来たから

⑦最後に、帰り道での三人の様子について考える

今までの学習を振り返りながら、「ともだちやもんな、ぼくら。」に続くセリフを考えてワークシートに書きます。その後でみんなで発表し合い、板書にまとめます。

板書例

板書例
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評価

  • ヒデトシの事を思う「ぼく」の気持ちを考えることができたか。
  • 友達と仲良く過ごすために、より良い行動とはどんなことかを考えることができたか。

イラスト/小泉直子、横井智美

『教育技術 小一小二』2019年6月号より

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