小5社会「寒い土地のくらし」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・小野優
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
目次
目標
寒い土地とそこで暮らす人々の生活について、気候の様子などに着目して、寒い土地で暮らす人々の生活を捉え、その他の地域の気候の様子と比較して考え、人々は自然環境に適応して生活していることを理解できるようにします。

学習の流れ(6時間扱い)
問題をつくる(1時間)
○埼玉県と北海道の写真、雨温図等を比較し、自分たちが住む地域との生活の違いについて考え、学習問題をつくる。
追究する(4時間)
○寒さや雪対策で、行っていることについて調べる。
○寒さや雪、夏の涼しい気候を生かしていることについて調べる。
まとめる(1時間)
○北海道の「PR大使」になり、北海道の生活をPRするポスターを作成する。
導入の工夫
埼玉県と北海道の写真や雨温図を比べることを通して、北海道の人々の生活や産業の様子について問題意識をもつことができるようにします。
埼玉県と北海道の雨温図を比べて、どのようなことが言えそうですか。

埼玉県と比べて、北海道は平均気温が低いです。平均気温が0度を下回る月もあります。
雨の降る量も違うね。寒いから、雪がたくさん降るのかな。
北海道の家には、どのような特徴がありますか。

北海道の家は、屋根が平らで低い。どうしてなんだろう。
窓が二重になっています。玄関も二重になっています。寒さに備えるためだと思います。
家以外にも、雪や寒さに備えるための工夫がもっとありそうです。

毎年2月に行われる、札幌市の雪まつりを知っています。雪や寒さを生かした工夫もあると思います。
問題をつくる
埼玉県と北海道の生活の違いについて考え、学習問題をつくる(1/6時間)
学習問題
寒い土地に住む北海道の人々は、どのような生活をしているのだろうか。
追究する
北海道の人々が、寒さや雪、夏の涼しい気候を生活や産業に生かしていることについて調べる(4/6時間)
資料活用の工夫
「北海道を訪れる観光客数」を基に、どうして夏に観光客が多く来るのか、冬の観光客が増えているのかを考えることができるようにする。
観光客数に関する2つのグラフから、気付いたことを話し合いましょう。


観光客は、8月が一番多いです。夏の涼しい気候めあてに観光する人が多いそうです。
とても寒い1~3月は、夏に比べると観光客が少ないようですが、年々増えていることがわかります。


「観光客数の増加」のグラフとこれまでの学習を関連付けて、北海道の人々の生活や産業について考えることが大切です。
北海道の人々は、雪や冬の厳しい寒さ、夏の涼しい気候を暮らしや産業に生かしています。
単元づくりのポイント
問題をつくる段階では、住宅の資料や雨温図等を活用し、寒い土地であることを十分に捉えることができるようにします。追究する段階では、寒さや雪に適応しながら工夫して生活したり、寒さや雪、夏の涼しい気候を生かしながら産業を営んだりしている、それらの2つの側面を具体的に学習できるようにすることが大切です。
イラスト/栗原 清、横井智美
『教育技術 小五小六』2019年5月号より