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「困難さの要因」に目を向ける~中央教育審議会の動き~|インクルーシブ教育を実現するために、今私たちができること #20

連載
インクルーシブ教育を実現するために、今私たちができること

ノートルダム清心女子大学人間生活学部児童学科准教授・インクルーシブ教育研究センター長

青山新吾
インクルーシブ教育を実現するために、今私たちができること #1 執筆/青新吾

「インクルーシブ教育」を通常学級で実現するためには、どうすればよいのでしょうか? インクルーシブ教育の研究に取り組む青山新吾先生が、現場の先生方の悩みや喜びに寄り添いながら、インクルーシブ教育を実現するために学級担任ができること、すべきことについて解説します。

執筆/ノートルダム清心女子大学人間生活学部児童学科准教授・インクルーシブ教育研究センター長・青山新吾

インクルーシブ教育とは何か

野口晃菜(2022年)は、「インクルーシブ教育」の対象は虐待をされている子ども、外国にルーツのある子ども、貧困状況にある子ども、性的マイノリティの子ども、障害や病気のある子ども、不登校の子どもなどのマイノリティ属性の子どもを含むすべての子どもたちであるとしています。そして、すべての子どもたちを包摂する教育を目指すプロセスがインクルーシブ教育であり、そのためには、これまでの教育システムを変えていくことが必要だとしています。本連載では、インクルーシブ教育を実現するためには、通常学級の教育が変わっていくことが求められているという前提に立っています。

今回は、次期学習指導要領の改訂に向けた中央教育審議会の議論を踏まえて、インクルーシブ教育を進めていく際に必要な「最初の一歩」について考えます。

今、中教審で議論されていることー「困難さの要因」に目を向ける

現在、次期学習指導要領改訂に向けた「論点整理」を踏まえて、17のワーキンググループがつくられ、活発な議論が展開されています。私は【特別支援教育ワーキンググループ】の委員として、この議論に参加しているところです。

特別支援教育ワーキンググループでは、子どもの困り方を表面だけで見ないことが重要だという議論がなされています。2025年11月25日に行われた第3回ワーキンググループにおいて、事務局(文部科学省特別支援教育課)から重要な提案がなされました。それが以下の図1に示す「困難さの要因」に目を向けるという考え方です。

【図1】小・中学校に在籍する障害のある子供たちの学習活動の充実に向けた方策(中教審特別支援教育ワーキンググループ第3回資料6)より「学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法に関する改善イメージ」図
【図1】小・中学校に在籍する障害のある子供たちの学習活動の充実に向けた方策(中教審特別支援教育ワーキンググループ第3回資料6)より「学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法に関する改善イメージ」図

この資料では、表面に見える困難さへの対応だけでは不十分であり、その背景にある要因を踏まえて手立てを考える必要があると提案されていました。そこで、「困難さの状態」に対して、その「困難さの要因」に目を向けた上で、「指導上の工夫の意図」と「手立て」を設定していくことが重要になるわけです。

ある小学校の通常学級で

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