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【特別活動】中学校生活でよりよい人間関係を育む子供たち

中学校での特別活動は大きな可能性があります。令和7・8年度に、埼玉県熊谷市教育委員会から「学習指導」の委嘱を、また、埼玉県特別活動研究会から研究委嘱を受け、特別活動の研究に取り組んでいる熊谷市立妻沼東中学校。学校研究課題は「よりよい人間関係や豊かな生活を創造する生徒の育成~『望ましい集団活動』を生かす指導の充実を通して~」です。ゼロから挑戦した特別活動の取組について、同校校長・森香明先生に話をうかがいました。

特別活動扉

自信をもって自分の思いを発信してほしい

――御校が特別活動に力を入れたいと思われたきっかけはどのようなことなのでしょうか。

 本校の生徒は、学校生活はもちろんのこと、学校行事においても本気になって取り組む姿が見られます。また、地域の方からも「とてもよくあいさつができる生徒で、素晴らしい」とのお褒めの言葉をいただくことがあります。

しかし、教科の授業の様子などを見ていると、自信のなさが原因なのか、分かってはいるけれど、なかなか自分から発言ができなかったり、市内の同じ中学生が集まる場所(部活動の大会など)で普段の力を発揮できなかったりしている多くの生徒の実態を目の当たりにしていました。
そのため、子供たち自身に自信をもたせるにはどうしたらよいかと考えたときに、特別活動(特に学級活動⑴)に力を入れて、生徒に人前で発言することのすばらしさ、学級全体で豊かな生活づくりについて話し合い、みんなで協力して事を成し遂げる自主的な集団活動のすばらしさを感じることが大切だという考えに思い至りました。そして、子供たちが自信をもって自分の思いや考えを発言できるようになってもらいたいとの願いが、特別活動に取り組むきっかけになりました。

――先生方が特別活動の授業をするに当たり、どのようなところから始められたのでしょうか。

 子供に人前で発言することのすばらしさ、学級全体で豊かな生活づくりについて話し合い、みんなで協力して事を成し遂げる自主的な集団活動のすばらしさを感じることができる特別活動の必要性を、まずは、校長から先生方に話しました。先生方は私の考えに賛同してくれました。

そして、令和6年度の夏季休業中に校内研修会を設定し、以前から特別活動や学級経営に関する指導をいただいていた元文部科学省初等中等教育局視学官・宮川八岐先生を指導者としてお招きし、先生方に理論ならびに実践的なお話をしていただきました

その後、定期的に学級活動の校内研修会(令和7年度:2回)や校内授業研究会(令和7年度:5回)を行い、宮川先生から指導をいただきながら、進めていきました。また、令和7年度当初に、議題箱や学級会ボード、柱の掲示、学級会ノートなど様々な学級活動のグッズを全学級分そろえ、実践ができる環境を整えました

校長の森先生
特別活動に力を注ぐ校長・森香明先生

まずは授業してみよう

――特別活動の授業をするに当たり、大変だったところはどのようなところなのでしょうか。それをどのようにして乗り越えられたのでしょうか。

 最初に大変だったことは、授業の進め方がイメージできないため、先生方が研究授業に躊躇したことです。そこで、校長が教諭時代に取り組んだ学級会の授業の動画をネットワークで共有できるようにしました。さらに、小学校の先生の学級会の授業での発言記録を先生方に配付し、小学校の実践を紹介するなどしました。

その後、校長が数名の先生に声をかけて、「授業がうまくできた、できなかったではなく、学級活動⑴の授業をまずはやってみて、先生方がみんなで同じイメージをもって宮川先生から指導をいただいて、それをまた次に生かしていこう」という話をしました。「うまくいった、いかなかったかではなく、実践すること自体が大事だ」ということを繰り返し先生方に話しました。また、「思い切って失敗していいよ」や「失敗と先生が思っているほど失敗ではないよ。うまくいっているよ」ということも伝えました。そして、その先生と校長が一緒になって、実践の準備などを行っていきました。

実践していくと、子供がいきいきと発言する姿が見られ、その子供の姿に先生たちは励まされ、さらに意欲が高まっていきました。

――特別活動の実践で子供たちの反応はいかがでしょうか。

 本校の子供たちは、小学校での学級活動の学習経験が少なかったため、最初は、流れやどう進めてよいのか、何を発言したらよいのか、こんなことを言ってよいのかなど、どちらかというと控えめなイメージをもって進めていました。

しかし、繰り返し取り組んでいくことで、みんなで協力して取り組むこと、みんなで話し合ってよりよいものを見いだすことのすばらしさを感じてきて、発言も増えていきました。また、「他学級でやっていた学級会の実践を自分たちの学級でもやりたい」という積極的な反応も見られるようになってきました。

――特別活動の学級活動(1)(2)(3)では異なる授業になると思います。どのようなところに留意されたのでしょうか。

 学校全体としては、教職員の意識をそろえるために、令和7年4月2日に研修会を実施(講師:宮川八岐先生)しました。その話の中で、学級活動⑴と⑵⑶の指導(ねらい・指導法)の違いを明確に指導していただきました。

そして、令和7年度当初に学級活動⑴で「進級お祝いの会をしよう」や「係を決めよう」などの実践を行い、学級活動⑶の授業で「中学〇年生になって」の授業を行いました。さらに夏休み前には、学級活動⑵の授業で「SNSの上手な使い方」などの授業も行っていきました。
授業の実践を通して、学級活動⑴と⑵⑶の授業の違いをはっきりと意識し、宮川先生から指導をいただきながら、進めていきました。子供たちについては、令和7年4月の早い段階で、全校オリエンテーションを行い、「自分もよくみんなもよく、学校生活をよりよいものにするように話し合って、実践していくんだよ」といったことを校長から話しました

特別活動の授業の様子

――特別活動の授業で、意見が言えなかったり、自分の考えがよく分からなかったりする子供たちについての支援はどのようにされているのでしょうか。

 例えば、学級活動⑴の授業であれば、事前のオリエンテーションの時間にその子に話を聞きます。意見が出てこないようであれば、伝え方のレベルを少し下げて、具体的なことも話しながら、伝えるようにします。

学級活動⑵⑶であれば、身近な内容を具体的に扱いながら、話をするようにします。どちらも教師がその子に話をするだけでなく、周りの子供からも声をかけることもします。無理に意見を言わそうとするのではなく、自分から言いたくなるような雰囲気をつくっていき、周りの子供からの声かけで意見が言えるようになることもあります。

自分の意見がまとめられなかったり、よく分からなかったりする場合は、学級活動⑴では、近くの人との意見交換の時間を設け、学級活動⑵⑶では、グループの中での意見交換の時間を使って、自分の意見をまとめられるようにしています。

学級会の中でも、挙手していない場合、時には「〇〇さん、どうですか?」と声をかけるなどしながら、無理をせず、徐々に発言ができるようになればと考えています。

人前で自分の意見を発言できる子供が増えた

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