最初の漕ぎ出しで学級経営はこんなに変わる! 早めに作ろう、学級づくりの黄金習慣【若手先生の航海図|学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#3】
人と人の出会いで、最も大きな要素となるのはお互いの第一印象。これは学級経営でも同じで、始めの3日間に1年間の見通しが凝縮されていると言えます。
しかし、若手教員からよく聞くのは、「とにかく必死で、何をしたか覚えていない」「気づいたらクラスが落ち着かなくなっていた」という声です。
そこで今回は、始業式の後の最初の漕ぎ出しで身につけておくべき習慣を、お伝えしたいと思います。これだけで、学級は驚くほど安定します。

執筆/環太平洋大学准教授・内田仁志
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目次
子どもへの対応は、まず「安心感」!
学級開き当初、まず何より大切なのは、子どもを安心させることです。医者と教師は、どちらも「先生」と呼ばれる仕事です。共通点は何でしょうか。それは、最初に相手を安心させることが仕事の出発点であるという点です。

笑顔と名前で迎える
朝、教室に入ってくる子どもたちを、ぜひ名前で呼んで迎えてください。
「○○さん、おはよう!」
それだけで子どもの表情は和らぎます。
名前を覚えるのは大変ですが、早ければ早いほど効果は絶大です。名札を見ながらでも構いません。「先生は、あなたをちゃんと見ています」という無言のメッセージになります。
「先生は味方だよ」を言葉で伝える
完璧な先生像を演じる必要はありません。むしろ、少し弱さを見せることが安心につながります。
「先生も、みんなと学べてうれしいけど、ちょっとドキドキしています」
失敗談を一つ話すのも効果的です。「先生も人間なんだ」と分かると、子どもは構えなくなります。そして、必ず伝えたい一言があります。
「困ったことがあったら、いつでも先生に言っていいからね」
この言葉は、後々まで効いてきます。
いじめ以外の注意や指導は二の次。まず観察!
初日から細かい注意はしません。まずは、子どもを見ることに徹します。ただし、一点だけ例外があります。それはいじめです。
「いじめは絶対に許しません。もし見つけたら、先生は本気で止めます」
これは最初に、はっきり宣言しましょう。安心と厳しさは、両立します。
希望で一日を終える!
一日の終わりは、必ず前向きな言葉で締めます。
「今日は、みんなに会えて本当にうれしかった」「いいスタートが切れたね」
これは子どもだけでなく、子どもの後ろにいる保護者に向けたメッセージでもあることを、忘れないでください。
自律のための行動指針を
大前提として、子どもは自分の取るべき行動を自分で決めることができます。
この力を引き出すためには、行動の指針を決めてあげ、よい行いを見逃さずほめて、子どもたちの承認欲求に寄り添ってあげることが大切です。
クラス開きのときこそ、この大前提をしっかりととらえましょう。
子どもたちの合言葉になるような学級目標を決めよう
まずは、子どもが簡単に覚えられ、行動に移せるような行動指針の合言葉をつくり、それを学級目標にします。
- 「自分で考える子」
- 「考えたら、やってみる子」
- 「やったら、ふり返る子」
などなどです。そして、最初のうちは、意識的に問いかけてみましょう。
「友だちを助けてあげたんだね。自分で考えて行動してくれて、とっても嬉しかったよ」
「今日は“ふり返る子”になれているかな?」
小さなことでもほめられることが最強の行動指針
人はみな、正当に承認欲求が満たされることで明るい方へ、正しい方へと自律していきます。
この学級開きの最初から、どんな些細なことでも見つけ出して子どもをほめる、という習慣をつけていきましょう。
実際の場面を取り上げて、なるべく具体的に、何に対してほめているのかを言葉に含みます。
「みんなの今の待ち方は静かで、先生がお話を始めやすくてとっても助かりました」
褒めるときには客観的に行動を評価してあげるだけでなく、その行いを教員がどう感じたか? という、感情も込めてあげると一層効果的です。
また、この機会に、あなたの価値観を自己診断してみましょう。
■あなたは、子どもたち同士を比較して、「あの子に比べてあの子はだめ」と考えたりしてませんか?
■「子どもはかくあるべき」といった基準を持っており、その尺度で子どもを評価していませんか?
■あなた自身が、これまでほめられた体験に乏しかったりしませんか?
一つでも当てはまった方、是非とも意識と行動を変えていきましょう。
子どもの安心が、保護者との関係性を良くする
学級経営の最初に意識したいのは、あなたの目前にいるのが子どもたちだけではなく、その後ろにいる保護者も一緒に相手をしているのだ、ということです。
低学年担任は特に、子どもに話していることは、保護者にも話しているという意識を持ちましょう。
クラスの様子は、すぐ家庭に伝わります。
「先生、なんか元気なかった」
「クラス、うるさかった」
子どもの口から語られる学校の様子は、その語彙数の少なさ故に、保護者が想像する余地が広いです。そしてその想像は、悪い方に膨らんでいくのが親心というものです。
さらに、きょうだいがいる家庭は敏感です。
「お兄ちゃんのクラスには配られているのに、うちの子にはない」
これだけで、不信感が生まれます。
本当の保護者対応とは、問題が起こらない関係を、先に作っておくことです。
そして、親が安心していることは、もちろん子どもにも伝わり、ひいては子どもたちの学級での振る舞いにも深く影響してきます。頼りない先生だ、などと家庭で保護者が子どもに言えば、学級でその子がよい振る舞いをするでしょうか?

保護者は3つの不安を持っている
保護者の先生に対する気持ちは、時代が変わってもほぼ同じです。
- クラスをきちんとまとめてくれるだろうか
- 勉強をきちんと教えてくれるだろうか
- (そして何より)我が子を大切にしてくれるだろうか
イラスト/しゅんぶん

内田仁志(うちだ・ひとし)。
環太平洋大学准教授。栃木県の小中学校で三十余年、子どもたちと向き合いながら学級づくりや国語科の授業に取り組んできました。現場にいる頃から大学や地域の研究会に関わり、先生同士が学び合う場づくりを続けています。現在は、その経験を生かして環太平洋大学独自の教員の実践力養成講座「青年教師塾」を中心に、学生や若手の先生方と一緒に成長できる学びの場を全国へ広げる準備を進めています。専門は国語教育・初等教育。著書に『国語教師のための「反論の技術」入門』(明治図書)、ほか共著も多数。現場の悩みに寄り添いながら、明日の教室で使えるヒントをお届けします。
