「変化を楽しむ」教師でいたい
連載|ayaya先生のすてきやん通信
板書や折り紙のアイデア、日々の仕事の葛藤と喜びを本音で綴るInstagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による連載。「どうして教師は変化を恐れる人が多いのか」 この言葉を聞いて、あなたならどう感じるでしょうかーー?
執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香
「どうして教師は変化を恐れる人が多いのか」
これは、校長先生 (元大阪教育大学附属池田小学校長・佐々木靖先生) の言葉でした。
私が直接、この言葉を投げかけられたわけではありませんが、とても心に残っています。 それは、そのときの自分が、「確かにそうだ」と感じて、はっとしたからでしょう。
私は、変化を恐れているのだろうか? だとすれば、どんな変化を恐れているのだろう…。
私は自分自身に投げかけてみました。
- 去年していたこと、今年もそのままやる?
- 去年した行事、今年も同じ内容でいい?
- 授業のスタイル、今までと変わらなくていい?
- 校務分掌、去年と同じところに所属するつもり?
- 学校のきまり、本当にそれ必要?
- 成績のつけかた、本当にそれでいい?
- 当たり前というけど、本当に当たり前?
- 誰にとって当たり前?
- 社会は変化しているのに?
- 学校文化は変わらない? 変えてはいけない?
「うまくいった方法で」「去年通りで」といったように、いつの間にか思考停止状態に陥っていたかもしれません。
これが「変化を恐れる」ということなのでしょうか。
そんな気づきがあって以来私は、同じ学年を担当しても、以前行った授業を繰り返すことをしなくなりました。うまくいった授業があったとしても、また別の方法を試してみたくなるのです。
学級づくりにおいて、学級目標は必ずつくるもの、朝の会・終わりの会はするもの、学級通信は必ず出すもの、と当たり前のように捉えていた考え方も変化しました。本当に「子供たちに必要なこと」だと思うのであれば実践すればいいし、必要がないと思えば無理にやらなくてもいいと思っています。
校務分掌においても、以前使った提案資料を日付だけ変えて提案するようなこともしなくなりました。もっと読み手がわかりやすく、提案内容がはっきりと分かるように考え、工夫しています。
働き方改革が叫ばれる中、今まで当たり前にしていたことを見直す動きは増えていますが、「楽にする」「簡単にする」という考えが根底にあると、結局教育そのものはよくならないと感じています。
よりよい教育をするために、 教師自身が 「変わっていくこと」が大切なんだと、校長先生の言葉によって気付かされました。決して楽をするためじゃなく、もっともっと教師として成長するために、変化する必要があるのだと。
変わるためには、苦しいことも、悩むことも、時間をかけないといけないことも、たくさんあるでしょう。
でも、私は、これからも変化を楽しめる教師でありたいと思います。
樋口 綾香
ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書)ほか。編著・共著多数。