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授業開始5分間の常時活動で、学習の土台を築く技術

連載
新人教員のための即効型『学級安定実践』13選
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熱海 康太

新人教員のための学級安定実践13選②

第2回となる今回は、毎日の授業冒頭5分間を活用した「常時活動」についてご紹介します。多くのルーキー先生が直面する「子どもの学力差」「学級の落ち着かなさ」「学習への動機づけの難しさ」といった課題を、この短時間の積み重ねが確実に解決へと導いてくれます。常時活動は単なる時間つなぎではありません。子どもたちの学習意欲を高め、基礎学力を底上げし、学級全体に学習への前向きな雰囲気を作り出す、「5分間の技術」なのです

執筆/私立小学校教諭・熱海康太

常時活動の本質

常時活動とは、授業の冒頭5分程度で行う全員参加型の活動です。5分という時間設定だからこそ集中力が持続し、毎日継続することで確実な積み重ね効果が期待できます。重要なのは「冒頭」「全員参加」「感覚を育成する」という3つの要素です。特に、全員が参加できる活動であることが最重要です。授業の冒頭は、どんな段階の子でも参加できることが約束されているのであれば(そして、その時間にがんばりを認められるのであれば)、学級の雰囲気は大きく変わります。そして、各教科の基礎的な感覚を育成することで、その後の本格的な学習への土台を築くことができるのです。

学級課題を解決する常時活動の力

常時活動によって、学級経営上の問題の多くが解決の方向へ向かいます。例えば、なかなか時間通りに着席できない子がいるとします。「あ、から始まる言葉探し」の常時活動を行い、できたことを大いに褒め認めることで(「あ」から始まる言葉は誰でも1つくらいは探せるので)、次の時間は「い」から始まる言葉を授業の前から考える子になります。また、それを見た子どもたちが真似をして、授業のスタートがスムーズになるだけでなく、すでに積極的に意見が出るようなポジティブな雰囲気を作ることができるのです。

国語で育む言葉の感覚

国語の常時活動では、言葉に対する感覚を豊かにすることを目指します。「あ、から始まる言葉探し」では、五十音の感覚と語彙力を同時に育てることができます。子どもたちは頭文字を意識しながら知っている言葉を探すことで、自然と音韻意識が高まります。

「リズム読み」は、詩などの文章をリズミカルに先生に続いて読む活動です。文章のリズムや間合いを体感する活動です。教科書の一部を様々なリズムで読むことで、文章の流れを身体で感じ取ることができます。また、「なぞり書き」では、美しい文字への意識を高めながら、集中力も養うことができます。

「しりとり」や「同じ意味探し」といった活動は、言葉のつながりや多様性を学ぶ絶好の機会です。子どもたちは遊び感覚で取り組みながら、語彙を増やし、言葉に対する敏感さを身につけていきます。

熱海康太

著者:熱海康太(あつみこうた)
一般社団法人日本未来教育研究機構 代表理事
大学卒業後、神奈川県内の公立学校、私立学校で教鞭を取る。
大手進学塾の教育研究所を経て、現職。
10冊以上の教育書を執筆し、全国10,000人以上の先生方に講演を行うなど、幅広く活動している。

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