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最初の授業で生徒に何を伝える?<中高教員の実務>

連載
中高教員の実務

創価大学大学院教職研究科教授

宮崎 猛

文京学院大学名誉教授

小泉博明

最初の授業では、授業の到達目標を示したり、家庭学習の方法を示したりして、生徒たちの学習意欲を高めていきましょう。

編著/小泉博明・宮崎 猛

【特集】中学校・高校教師 実務のすべて#37

新学期、新しく受け持つことになった生徒たちへの初めての授業。自己紹介のほかに、何か言っておくべきことはある?

1年の最初の授業は、その後の1年間を左右する大きな意味をもっています。単なる自己紹介にとどめず、生徒たちと一緒にどんな授業をつくっていきたいか、そして、どのような到達目標であるかを熱く語りかけましょう。

最初の授業ですべきこと

4月の最初の授業は、教師・生徒の双方にとって新しい出会いに胸躍るとき。この時間をどう使うかで、その後の授業が決まるといっても過言ではありません。授業をどのように展開していくのか、生徒たちにどのようなことを求めるのかを、きちんと説明しておく必要があります。

授業の到達目標を示す

その授業の最終的な到達目標を示すことで、1年後の自分たちの姿を夢見させ、希望をもたせます。「来年の3月には~ができるようになる」などと具体的なゴールを示すことで、生徒たちの学習意欲を高めていきましょう。あわせて、評価の観点についても説明しておきましょう。

授業への要望を書いてもらう

生徒の意見を聞きながら授業を進めていこうとする姿勢を生徒に示します。生徒の現状や、授業に何を求めているかを知ることによって、学習者の視点に立った授業を工夫していきます。

とくに、学年の途中から授業を受け持つ場合は、前年度の担当者がどのような授業をしていたのかを把握し、もし授業方法が違う場合は、生徒が戸惑うことのないよう、あらかじめ生徒に授業の進め方やその意義について、きちんと説明することが必要になります。

家庭学習の方法を示す

予習の必要性や、予習・復習のやり方などを具体的に示します。生徒に授業アンケートを取ると、「勉強方法が分からない」と答える生徒が結構いるものです。勉強への道筋をきちんと示し、それに従って勉強していけば大丈夫、という安心感を与えてあげましょう。

生徒との人間関係をつくる

生徒は新しく教わる先生がどんな先生か、どういう授業の進め方をするのかをとても興味深く見ています。「この先生は自分たちのために一生懸命に教えてくれる」「この先生についていけば大丈夫」という印象をいかに強く植えつけられるかが、その後の生徒との人間関係に大きく影響してきます。

最初の授業では、自分の思いや考えを一方的に語るだけでなく、生徒一人ひとりの声にもしっかり耳を傾け、よりよい人間関係を築くことをまずは意識しましょう。教師の熱意を十分感じてもらえる1時間にしましょう。

イラスト/タバタノリコ・畠山きょうこ

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