進路選択の保護者面談ではどんな点に注意する?―― 一人ひとりの個性を生かす進路指導②<中高教員の実務>
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中学3年生の進路指導・進路選択は将来の生き方にかかわる大きな一歩。「自分」「職業」「多様な生き方」を考えさせる進路指導を行いましょう。
編著/小泉博明・宮崎 猛
【特集】中学校・高校教師 実務のすべて#32
将来を大きく左右する中学3年生の進路指導。保護者面談ではどんなことに注意して対応したらいいの?
あくまで面談の主役は生徒ですので、教師と保護者だけで話を進めないようにしましょう。進路指導の前にあらかじめ生徒の情報をつかんでおくことも生徒が納得のいく進路を勧めるために重要です。
目次
将来の生き方にもかかわる中学3年生の進路指導
中学3年生の進路指導・進路選択は、生徒にとっても保護者にとっても初めての経験であることが少なくありません。将来の生き方にもかかわる大事な第一歩ですから、生徒を支援する立場に立って、生徒自身が納得する進路選択を支援していきましょう。
高校進学は進路選択のひとつ
中学校生活のゴールを高校合格に置くケースがよく見られますが、あくまでもそれは一通過点であって、進路選択のひとつであることを確認しましょう。とはいえ、大半の生徒が高校に進学をするというのも現実。以下に、高校進学をベースにおいて、中学3年生における進路指導の注意点を述べておきます。
1.多くの情報を得ること
世の中には多種多様な高校や職業があります。担任として、生徒個々の適性に合った進路を一緒に見付けてあげられるよう、より多くの情報を得ることは重要です。
高校は各都道府県が出す公立学校の選抜要項や高校入試(公立・私立)に関する情報誌、また、高等専門学校や専修学校、サポート校などは学校ごとの資料、就職については各地域のハローワークなどから情報を収集しましょう。
2.面談の主役は生徒です
生徒を差し置いて、教師と保護者が一方的に面談を進める場合があります。しかし、進路選択の主役はあくまでも生徒。生徒の興味や関心、将来の夢や希望などを加味して、進路先を決定していくプロセスは絶対に欠かせません。

また、保護者の前では本音を言いにくい生徒もいます。日常の会話の中から、生徒の情報をつかむことも大事です。
3.実際に行かせる、見させる
「見たり、聞いたり、体験したり」することは、自分の適性や興味を確認したり、具体的な進路情報を得るのに役立ちます。
いくら机上で考えていても、「百聞は一見にしかず」です。高校などの説明会、見学会には積極的に参加させましょう。また、生徒同士だけではなく、保護者と行くようにもすすめます。
進路先で「思っていたのと違った……」と中退してしまうケースが増えています。未然に防ぐには、自分の適性や将来に合った進路なのかを、実際に見て考えさせることが必要です。
4.先輩教師の進路指導を聞いたり、相談したりしよう
とは言っても、なかなか進路相談はうまくいきません。もし判断に迷ったり、即答できなかったりするときには、「調べて連絡します」などと断ってから、周囲の先輩教師や進路担当主幹、学年主任などに相談しましょう。知ったかぶりでいいかげんな返答をすることは厳禁です。
こんなケースはどうする?
1.成績不振で悩んでいる子がいたら……
まずは、粘り強く学習支援していくことです。学習のどこでつまずいているかを見直し、補習などで徹底的に反復学習したうえで、進路に希望をもたせることが大事です。
イラスト/タバタノリコ・畠山きょうこ
