アドバンス、1学期を終えて <探究のすすめ方・小学校3年生アドバンス始動編>


社会科という「教科」を意識しながら社会・実生活の中にある多くの情報を整理・再構成して、自分の言葉で発信していく力を育てる授業「アドバンス」。この取り組みも、1学期の終わりを迎えました。
【連載】探究のすすめ方 ~小学校編~ <アドバンス・3年生>
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◆3年生の探究学習が始まる! <探究のすすめ方・小学校3年生アドバンス始動編>
目次
1学期最後の活動
前回示した年間指導計画に沿って、夏休みを目前に控えた7月には、地域のスーパーマーケットを見学し、働く人へのインタビューを行う活動が実施されました。これは、社会科で扱われる「地域に見られる生産や販売の仕事について」の学びとも深く関連したものです。 当日は猛暑の中、学校から徒歩10〜15分のスーパーマーケットを訪問しました。そして、売り場の様子を観察し、店長にも直接インタビューを行いました(図1~3)。活動前、多くの児童は「お菓子やお肉が一番売れている」と予想していましたが、実際には「牛乳が一番の売れ筋」であるということなど、販売状況に関する意外な事実に驚かされていました。また、そうした販売状況の裏にあるさまざまな「意外」にも直面していました。特に、店長の話からは、単に「モノを売る」ことだけでなく、「お客さんが気持ちよく買い物できるようにする環境づくり」が重視されていることを知り、児童たちにとって大きな気づきとなりました。商売とは「売ること」がすべてだと考えていた児童たちにとって、買い手の立場に立った工夫や配慮が日々の仕事に込められていることを知ったことは、見方の大きな転換につながったようです。こうした発見は、児童たちの振り返りレポートにも具体的に表れていました。



授業づくりに欠かせない「仕込み」
このような活動を充実させるには、やはり事前段階での丁寧な準備、すなわち「仕込み」が重要となります。今回の実践では、次のようなことがなされていました。
インタビュー項目の精選
まず、どのような質問をするかをクラスで話し合い、児童たち自身の関心や目的を踏まえてインタビュー項目を絞り込む活動が事前に行われていました。このプロセスによって、児童一人ひとりの問いの質が高まり、主体性ある取材へとつながりました。
買い物体験の促し
児童によっては、日常的に買い物に同行する機会が少ない場合もあります。そこで、事前に「おうちの人と一緒に買い物に行ってみよう」といった働きかけが行われ、観察や気づきのきっかけが用意されていました。
ちらしを見る経験の提供
新聞をとらない家庭が増え、スーパーマーケットの「ちらし」を見たことのない児童も少なくありません。そこで、教員自身が日頃からちらしを収集・保存し、授業中にそれを活用して、児童に実物のちらしをじっくり見る経験を提供していました。