教員給与【わかる!教育ニュース #71】

先生だったら知っておきたい、様々な教育ニュースについて解説します。連載第71回のテーマは「教員給与」です。
目次
給特法成立で、教職調整額が2028年1月から毎年1%ずつアップ
どれほど残業をしても、時間外手当(残業代)は出ない。代わりに、月給の4%を一律で上乗せして支給。教員給与に独特の「教職調整額」が、半世紀ぶりに見直されます。
このほど、改正教員給与特別措置法(給特法)が成立し、教職調整額を2026年1月から毎年1%ずつ上げ、31年に10%にすることにしました。教育委員会に対し、教員の業務量を適切に管理する計画づくりと公表も義務付けています(参照データ)。
見直しの背景には、改善が進まない教員の長時間労働と、なり手不足があります。人材確保策の一環として処遇改善を中央教育審議会が議論し、「定額働かせ放題」と批判のある教職調整額の見直しも、検討されました。昨年8月の答申では、「少なくとも10%以上に」と提言。文部科学省は13%の引き上げを掲げましたが、財務省と折衝の末、昨年末に10%で合意し、改正法案の提出にこぎつけました。
でも、現場には制度そのものの廃止を訴える声がやみません。仕事が減らないままでは、実際に働いた分に見合う残業代が出るわけではないからです。国会でも論戦の結果、制度を残す一方、改正法の付則に、29年度までに月の時間外在校等時間を「30時間程度に削減する」という数値目標を盛り込みました。教員1人あたりの授業時数の削減、不当な要求をする保護者の対応支援、部活動の地域移行に対する財政援助に、政府が取り組むことも明記しています。