「学校に行きたくない」登校しぶりの子どもに保護者ができること

教育アドバイザー

多賀一郎

子どもが「学校に行きたくない」と言いだしたのですが、どうしたらよいでしょうか? あなたは、保護者からのこんな質問に答えられますか?

30年以上の現場経験があり 、現在は全国で教員育成とともに保護者からの相談にものっている多賀一郎先生。 著書『学校と一緒に安心して子どもを育てる本』より、 保護者から多く寄せられる相談と、それに対する具体的なアドバイスを教えていただきました。

執筆/追手門学院小学校講師・多賀一郎

「学校に行きたくない」と言っている子どもに保護者ができること
イラストAC

Q 子どもが学校に行きたくないと言いだしました。行きたくない時には行かせなくてよいとも聞きますが、どうしたらいいのでしょうか?

子どもが行きたくない時には、学校へ行かせないほうがよいという意見は、確かにあります。ぼくも、状況によっては行かないという選択肢もありだとアドバイスをすることもあります。

ただ、休むのには2種類あります。ちょっと休んで心の力を回復させる場合と、長期にわたって学校へ行かない場合です。ちょっとのつもりが長期になってしまうということもあります。

状況がとても悪くて心も疲弊しているときに、無理に学校へ行くと、心がぼろぼろになります。そんな時には「緊急避難」が有効です。

こういう場合に休むのは長くても3日です。そして、学校に行かないということではなく、お家で癒されてパワーアップする時間にしなくてはなりませんね。

その間に行きたくない原因を聞きましょう。解決できそうなことなら、先生と相談して大人が関与してなんとかします。子どもの力ではどうにもならない状況ってあるものですから。

長期にわたって休みだしたら、先のことを考えていかねばなりません。休み続けて結局行かなくなり、そのまま引きこもることもあります。もしそうなったら、いろいろな選択肢を考えていきましょう。

学校へ行かないという選択、フリースクールなど別の「場」も考えることもできるのですから。

ぼくの教え子にも、退学、転校、転地などを経験した子どもたちがいました。そして、今、しっかりと自分の足で人生を歩んでいる子たちがたくさんいます。学校という一つの路線からはずれたからと言って、人生がなくなるわけではありません。いろいろな道があり、胸を張ってそこを歩めばいいのです。


多賀一郎

●多賀一郎(たが・いちろう)。追手門学院小学校講師。神戸大学附属住吉小学校を経て私立小学校に30年以上勤務。「親塾」を各地で開いて保護者の相談に乗ったり、公私立小学校での指導助言や全国でのセミナーを通して教師を育てることにも力を注いでいる。 著書に『学校と一緒に安心して子どもを育てる本』(小学館)『危機に立つSNS時代の教師たち―生き抜くために、知っていなければならないこと』(黎明書房)『全員を聞く子どもにする教室の作り方』(黎明書房)他多数。

学校と一緒に安心して子どもを育てる本

『学校と一緒に安心して子どもを育てる本』

著/多賀一郎

定価:本体1100円+税 (小学館)

ひとりで悩まなくても、先生と一緒に子育てできるんですよ!

30年以上の現場経験を経て、全国で教員育成&保護者相談にあたる著者が、現代の小学生保護者が幸せな子育てをするために必要な知恵を伝授。小学校生活についてのあらゆる疑問から、家庭でのちょっとした悩みまで、きめ細かくユーモアたっぷりのアドバイスがあります。読めば読むほど、子育ては「学校と一緒にできる」ということに気がつき、子育てに閉塞感を感じている人はそこから解放されるでしょう。新一年生の保護者はもちろん、どの学年であっても、いま心の中にある不安を解消する手立てが見つかる本です。

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