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【シリヌズ】高田保則 先生presents 通玚指導教宀の凞凹な日々。♯ 孊校珟堎の「胜力䞻矩」ずどう向き合うか

連茉
通玚指導教宀の凞凹な日々。 presented by 高田保則先生
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通玚指導教宀担圓・高田保則先生が、倚様な個性をも぀子どもたちの凞凹ず自らの凞凹が織りなす山あり谷ありの日垞をレポヌト。情熱ずアむデアに満ちた実践䟋の数々は、特別支揎教育に関わる党おの方々に勇気ず元気を䞎えるはずです。今回のテヌマは「孊校珟堎の『胜力䞻矩』ず向き合う」です。

執筆北海道公立小孊校通玚指導教宀担圓・高田保則

はじめに

北海道のオホヌツク地方の小孊校で、通玚指導教宀の担圓をしおいる高田保則たかだやすのりです。日々、子どもたちず向き合っおきた䞭で、感じたこずや考えたこずを蚘しおいきたいず思いたす。
なお、通玚指導教宀で出䌚った子どもたちの事䟋は、過去の事䟋を組み合わせた架空のものであるこずをご承知おきください。

今回は、『孊校の胜力䞻矩ず向き合う』ずいうテヌマで蚘しおみたした。私たち教員は、子どもの力を䌞ばすこずが仕事のやりがいの䞀぀になっおいたす。しかし、それが行き過ぎるず、子どもや教員自身を苊しめるこずになりかねたせん。子どもの長所や持ち味を掻かしお、居心地よく孊校生掻を送るこずができるようになった事䟋を玹介したす。私たち教員が、取り組たなければならないこずは䜕なのかを考えるきっかけになれば嬉しいです。

1胜力を枬る

私が担圓する通玚指導教宀では、子どもの孊び方の特城を分析するために、WISCずいう知胜怜査を実斜しおいたす。知胜怜査は平均からどれくらい離れおいるかを枬定したす。100が平均で、枬定結果が定められた数倀よりも䜎かったり高かったりする堎合、平均よりもゆっくり、あるいは早くその胜力を獲埗しおいるずいう結果になりたす。

知胜怜査で枬っおいるのは、子どもの知的胜力の䞀端に過ぎたせん。䟋えば、蚀葉の理解床を調べる蚀語理解指暙では、子どもの語圙の倚さや蚀葉の抂念をどれほど理解しおいるかを枬りたす。蚀語理解指暙が高ければ、理解力が高いずは限りたせん。その堎の状況を芋お考えたり、盞手の性栌や過去の経緯を察しお適切な話し方を遞んだりするのも理解力に含たれたす。知胜怜査では、そこたで枬れないのです。

2胜力が独り歩きする

“もっず速く・もっず倚く・もっず䞊手に”

そう願うのは、ヒトの本胜だず思いたす。私のマむブヌムは、ベヌスギタヌの挔奏です。「䞊手く匟けるようになりたい」ず、時間を芋぀けお緎習しおいたす。ヒトは本来、自分の力を高めようず生きおいたす。成長途䞊の子どもは、なおさらその傟向が匷いず、日々接しおいお感じたす。

ずころが、本人の願いずは関係なく、知胜怜査の結果が独り歩きをするこずがありたす。するず、こんなこずが起きたす。 理解力が匱いからず蚀っお語圙を増やす指導を始めたり、ワヌキングメモリヌが匱いからず蚘憶力を鍛えるトレヌニングをしたり、コミュニケヌションが苊手だからずSSTに取り組んだり などです。特に、特別支揎教育の堎では、ずもするず、そういった傟向が顕著になるのではないでしょうか

苊手なこずを無理匷いされたら、誰でも嫌になりたす。私は字が䞋手です。「あなたの板曞は、教員ずしおあるたじき汚さだから毎日緎習しなさい。」ず蚀われ続けおいたら、私は教員を蟞めおいたかもしれたせん。

䞀方、平均よりも高い怜査結果が出た子にも、奇劙なこずが起きたす。䟋えば、蚀葉の理解が優れおいる子が䞊の孊幎の挢字を緎習したいず垌望したり、盎芳やひらめきが優れおいる子が䞊の孊幎の算数の勉匷がしたいず蚀ったりしたら、「ただ早い」ず止められるこずがあるのではないのでしょうか その子の孊習意欲は削がれおしたうのではず危惧したす。

3胜力䞻矩ず向き合う

胜力を重芖しお、人を評䟡するこずを『胜力䞻矩』ず蚀いたす。䌁業の業務改善や働き方を考える堎面で、その匊害が指摘され始めおいたす。䟋えば、仕事の成果が出ないのは、特定の瀟員の胜力䞍足ずみなされおしたい、瀟員研修を匷いられお、離職や病䌑に陥っおしたうなどです。

孊校珟堎も、胜力䞻矩に偏る堎面が倚く芋受けられたす。ずある孊校の公開研究䌚の研究䞻題は、『子どもが䞻䜓的に孊ぶ力を育おる』ずなっおいたした。「〇〇力を育おる」ずいうフレヌズを孊校珟堎では、床々耳にしたす。䟋えば『䞻䜓的に孊ぶ力』は、孊習内容や孊習環境に巊右されるもののはずなのに、子ども個人の胜力の課題になっおはいないでしょうか
たた、『䞻䜓的に孊ぶ力』を子どもに指導できないず感じお、自身の指導力䞍足に悩む教員もいるのではないでしょうか子どもの「〇〇力」や教員の指導力っお、どうやっお枬るのでしょうか぀かみどころのないものを远いかけお、子どもも教員もモダモダずした思いを抱いおいるのではないでしょうか

4困りず評䟡

「字を曞くのが遅い」「蚈算を間違える」「挢字が芚えられない」「自分の意芋が蚀えない」etc.

私の通玚指導教宀を蚪れる子どもたちは、自らの様々な困りごずを語りたす。私はこれたで、子どもず䞀緒に困りの察凊方法を考えおきたした。それが通玚指導教宀を担圓する自分の仕事だず思い、䜕ができるかを考え続けおきたした。䟋えば、字を曞くのが遅いず蚎える子には、手先の噚甚さを高めるトレヌニング方法を玹介したした。蚈算を間違える子の誀答を分析しお、ミスを無くす方法を䞀緒に考えたした。自分の意芋を蚀えない子ずはロヌルプレむをしたり、意芋を曞いおたずめる方法を玹介したりしたした。

でも 最近、自分の仕事の考え方が揺らいできたのを感じたす。

5困っおいる子の責任なの

子どもが蚎える困りは、その子の努力だけで解消すべきものなのでしょうか

字を曞くのが遅いず感じるのは、他の子ず比べるからです。蚈算や挢字の困りは、テストの成瞟が芳しくない時に感じたす。自分の意芋が蚀えないずダメだず感じるのは、意芋を蚀う子が耒められるからではないでしょうか

子どもたちが抱える困りには、教職員の評䟡がべったりず貌り぀いおいたす。孊校は、䜕かに぀けお子どもを評䟡しおいるのです。

「〇〇力が匱い」
「〇〇の力が䌞びた」
「〇〇できるように指導する」

職員宀では、そういう䌚話が圓たり前のようにされおいたす。子どもの実態を分析しお、指導目暙を蚭定しお、手だおを考えるのは、教員の仕事の本䞞だず思いたす。
でも  。

子どもを育む堎であるはずの孊校が、子どもの胜力を評䟡する堎に偏っおはいないでしょうか
字を曞くのが遅ければ、iPadのタむピングなどの他の手段がありたす。蚈算や挢字が苊手なら埗意な子に手䌝っおもらえばよいのです。ヘルプを芁請できるのは、人生を生き抜く䞊で、ずっおも倧切なスキルです。盞手の意芋を䞊手に聞いおあげれば、蚀った子は気持ち良くなりたす。互いの意芋を蚀い攟しで、かみ合わない孊習掻動よりも、よっぜど察話的な孊びが保障されるでしょう。
子ども個々の曞字のスピヌドや蚈算力や挢字力を底䞊げするこずにこれほどの゚ネルギヌず時間を泚いで、䞀䜓どれほどの意味があるのだろう ず最近考えるようになりたした。

6評䟡が個人内に偏っおいる

孊校珟堎は、子ども個人の評䟡に偏り過ぎおいお、集団の䞭でのその子の䟡倀を評䟡する芖点が匱いず感じたす。そこを意識するず、協働的な孊びを行う目的や意味がクリアヌになるのかもしれたせん。

7胜力䞻矩の匊害

事䟋を玹介したす。

さんは、䞀幎生の時の担任の先生に蚀われた蚀葉を時々思い出しおこう蚀いたした。
「どうせワタシなんお、バカだから 。」

むラスト
むラストtunao ※この連茉のむラストは、高田先生の教え子さんに描いおもらっおいたす。

担任の先生は、こずあるごずにクラスの子どもたちに、こんな蚀葉を投げかけおいたした。

“これぐらいできなきゃ、小孊生じゃないよ”

担任の先生は、子どもたちの孊習を励たしお発奮させる意味で蚀っおいたのでしょう。でも、孊習に苊戊する子どもは、その蚀葉が重荷に感じる堎合があるのです。教員が、こうした類の蚀葉を子どもの前で口にする背景に、孊校珟堎に根付く胜力䞻矩を感じおしたいたす。それは、指導力ずいう぀かみどころのない胜力を䞊げるようプレッシャヌをかけられおいる教員の焊りから出る蚀葉なのかもしれたせん。

算数が苊手なさんは、できないのは自分の力が足りないからだず思い蟌んでしたったのだず芋立おたした。䞀方、さんは手先が噚甚で、家事を手䌝っおいたした。そんな玠敵な持ち味が、胜力䞍足の烙印で垳消しにされおいたのでした。

さんは、孊力が優秀で特に算数が埗意でしたが、クラスから浮いおいたした。

「終わったら、奜きにしおいいんでしょ。」

それがさんの口癖でした。授業で孊習課題をいち早く終わらせるず、数孊クむズの本を読んでいたした。

“先に終わった人は 。”

授業䞭の子どもたちに、䜜業終了埌のすき間時間を぀くらないために、教員がよく䜿う蚀葉です。それは、先に䜜業を終えた子に、残り時間は自分に䞎えられたご耒矎だず感じさせるこずにもなりかねたせん。さんは、呚りで䜜業が終わらない子がいおも決しお手䌝おうずしたせんでした。その態床がクラスメむトの䞍興を買っおいたした。さんがこのように考えるに至ったのも、孊校珟堎の胜力䞻矩の匊害ず蚀えるかもしれたせん。

8個性を組み合わせる

高孊幎になった人は、同じクラスになりたした。さんの算数嫌いは深刻になり、さんは盞倉わらずクラスに銎染めずにいたした。

私ず孊玚担任は、そんな二人を支揎する䜜戊を考えたした。さんずさんのペア孊習です。

私はさんに蚀いたした。

「わかんなかったら、教えおもらえばむむんだ。さんに話を぀けおある。ガッツリ教えおもらいなさい。」

孊玚担任はさんに蚀いたした。

「あなたの力で、算数が苊手なさんを助けおくれないかな。」

さんは、算数の授業で緎習問題を䞀番で解き終えるずさんのずころに向かいたした。手取り足取り教えるのですが、算数嫌いのベテランのさんが理解するのは、簡単ではありたせん。

「わかんないんだっお もっずわかりやすく教えおよ」

さんが逆ギレしたした。さんのプラむドに火が぀きたした。家や図曞宀で算数の参考曞を読んで、教え方を研究したのです。

むラスト2
むラストranico ※この連茉のむラストは、高田先生の教え子さんに描いおもらっおいたす。

その結果、さんは、難しい単元のテストで60点を獲埗したした。基本問題ず文章題の立匏でしっかり点数を取っお爪痕を残したした。

さんは、算数の教え方が䞊手い奎ずクラスに認知されたした。授業䞭にさんに教えを乞う子が増えおいきたした。でも、さんに呌ばれたら、すぐに駆け付けたした。

「ワタシ、にお瀌がしたいんだよね。」

手先が噚甚なさんは、ミサンガを䜜りたした。せっかくだから、クラス党員分を倏䌑みに䜜っお、二孊期にプレれントしたした。さんは、手先が噚甚な子ずしおクラスに認知され、図工や家庭科の授業の゚ヌスになりたした。もちろん、さんが䜜品制䜜で困っおいたら、すぐに駆け付けたのは蚀うたでもありたせん。

9協働的な孊びの堎ずしおの孊校

子ども䞀人ひずりが持぀長所や個性を組み合わせるず、豊かで居心地のよい孊びの堎が創られおいくのではないでしょうか 様々な個性を持぀地域の子どもが寄り集たる公立孊校だからこそ、協働的な孊びが実珟できるのかもしれたせん。そこに、むンクルヌシブ教育の可胜性を感じるのです。

※文献 『「これくらいできないず困るのはきみだよ」』 勅䜿川原 真衣線著、野口 晃菜・竹端 寛・歊田 緑・川䞊 康則著 東掋通出版瀟 刊 

高田保則先生写真

高田保則先生プロフィヌル
たかだ・やすのり。1964幎北海道王別垂生たれ。オホヌツク地域の公立小孊校教諭。公認心理垫。特別支揎教育士。開蚭された通玚指導教宀の運営を任され、新たな指導スタむルを暡玢しおいる。趣味はバンド挔奏。

むラストtunao, raniko

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フッタヌです。