小5国語科「夏の夜」全時間の板書と指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小5国語科「夏の夜」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立けやき小学校校長・前田元
執筆/東京都西東京市立田無小学校・金子嘉良
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元は、子供たちが元来もっている「自然や美しいものに感動する心」を再認識していく単元です。現代の子供たちの実生活を想像してみてください。疑似的、間接的な体験が増え、人やもの、自然に直接触れるという体験活動の機会が少なくなってきており、「自然や美しいものに感動する心」が育ちきっていないように感じる人も多いのではないでしょうか。
この単元で大切にしたいことは、「美しいものを美しいと思える心」は誰しもがもっていることに気付かせていくことです。夏に関する優れた表現を教えるだけでなく、「どうして、この表現になっているのか」「この表現の何が素晴らしいのか」を意識させていくことで、子供たちが書く文章の中身に少しでも深まりが出るように指導を進めていきます。
2. 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴
この単元では、夏らしいものや様子を文章に書いていきます。
一見すると単純な言語活動ですが、例えば、①「夏らしいものや様子を書く」→「夏らしいものってどんなもの?」と考え、それを知るために「夏に関する用語を知る、書籍を読む」などして知識を深めていくこと、②「様子を書く」ためには、用語を覚える(語彙を広げる)だけでなく、そのことがどのように伝わるのかを考えることも大切です。
また、①、②の両方を押さえた上で、それらを③文章に書いていきます。文章の中で、単語そのものがどのような役割を果たすのかまで考えたほうがよいでしょう。
というように、「やってみるとよいこと」がたくさんあり、工夫のしがいがあることがこの単元の特徴です。
4. 指導のアイデア
教科書に書かれている文章、表現を声に出して読み、確認していきましょう。現代語訳と見比べながらで構いません。すると、あることに気付く子供が現れます。それは、原文に「よい」という表現がないということです。
例えば、「夏は夜」の現代語訳として「夏は夜がよい」と書かれています。清少納言はなぜ「よい」と書かなかったのでしょうか。何らかの理由があるはずです。「なぜ、よいと書かれていないのだろう」と子供たちが考えるところから授業を始めてみてください。「言わなくても伝えたいことが分かるから」なのか、「全体の文章を見たときのリズムにこだわったから」なのかなど、様々な考えが生まれてくるのではないでしょうか。正しい答えはありませんが、子供が感じていることを表出することはとても大切です。これが読み手の意識です。このような書き方をするとどのように相手に伝わるか、相手に〇〇と思ってもらうためには、どのような表現をすればよいのか、等を考えるきっかけになります。
1時間の単元です。我々教員が季節を表す言葉をたくさん用意して、それを子供たちに伝えていく方法もありますが、子供たちが考える時間を確保し、どのようなことを意識してその言葉を使ったのか、相手にどのような思いになってほしいのかということを重視して授業を展開していきましょう。
そのようにすると子供たちは楽しく「夏」を表すことができるはずです。
5. 単元の展開(1時間扱い)
単元名: 季節の言葉 「夏の夜」
【主な学習活動】
第一時
・自分が「夏」を感じた経験や夏の好きなところを想起し、単語や文章で簡単にノートに書き、発表し合う。
・本時のめあてを確認する。
・「夏は夜」を音読し、清少納言の「夏」への見方や感じ方、表現された季節感などを味わう。
・夏の言葉や俳句、写真から、様子を想像する。
・自分が感じる夏を文章で表し、交流する。
・学習を振り返る。
6.全時間の板書例・ワークシート例・端末活用例と指導アイデア
イラスト/横井智美
令和6年度からの国語科新教材を使った授業アイデア、続々公開中です!
