自分の気持ちや考えを表現できる「素直」な子供を育む!教師のあり方と子供との関わり方

「子供が素直であってほしい」――ほとんどの先生方が願うことではないでしょうか。しかし、「素直」ということについて正しく捉えていますか? 素直な子供とは、教師にとって扱いやすい子供のことではありません。自由に自分の気持ちや考えを表現できる子供を言います。特別支援教育の視点を取り入れた学級経営や、愛のある言葉がけで定評のある山田洋一先生が、子供との関わり方について解説します。
執筆/北海道公立小学校教諭・山田洋一
目次
本来、素直になるということは……
多くの教師は、子供に素直であってほしいと望んでいます。しかし、その「素直さ」というのは、多くの場合、「教師の言うことを、黙って受け入れる」ということを指しているようです。つまり、「教師にとって扱いやすい子供」になることを、教師は望んでいるようです。こうした「素直さ」は、少し大胆に言うと「教師にとって都合のいい『素直さ』」と言えるかもしれません。
本来の素直さとは、「ありのままの気持ちや考えを表現できている状態」のことです。私がこれから書いていく素直さとは、まさにこの素直さのことです。屈託なく、恐れもなく自分の気持ちや考えを表現できる子供。そうなるために、子供と教師との関係性をどう築けばよいのかを考えていきます。
素直さは、どこにあるのか
子供が素直になることについて、教師は「子供の内面を変えることで身に付くものだ」と考えがちです。しかし、実際には素直さはそういう性質のものではありません。
例えば、わり算の筆算のように「覚えればどこでもできるもの」ではなく、素直さはその人との関係の中で育まれるものなのです。自分の経験を振り返ってみてください。「この人の前だと素直になれて、何でも話せる」と感じる人もいれば、「この人の前では本音を話しづらい」と感じる人もいるはずです。このことから分かるのは、素直さとは個人がもっている性質ではなく、人と人との関係の中で育まれるものだということです。
学校教育においては、ある人との良好な関係性の中から素直さが芽生え、そうして生み出された素直さが、ほかの人や場面でも発揮されるようになる環境を教師が整えるということが重要です。