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1年生の探究授業・ベーシックアドバンスがスタート! <探究のすすめ方・小学校1年生ベーシックアドバンス始動編>

連載
探究のすすめ方 ~小学校編~

仲野 純章

奈良育英グローバル小学校では、独自の探究的な授業カリキュラムを実践しています。その方法は、探究学習に悩む全国の先生方の参考になるのではないかと思います。同校では、1年生の探究的授業を「ベーシックアドバンス」と呼び、2年生から4年生までは、これを発展して「アドバンス」と呼びます。ここでは、1年生のベーシックアドバンスに焦点を当てて、取り組みを追っていきます。

【連載】探究のすすめ方 ~小学校編~ <ベーシックアドバンス・1年生>

◆3年生の実践<アドバンス始動編> もご覧ください。

1年生のベーシックアドバンスでは、茨木恭子先生のクラス(図1)に密着して、取り組みを追っていきます。

(図1)

ベーシックアドバンスについて

ベーシックアドバンスは、児童自らが自発的に持ってきた「みんなに伝えたいこと・教えてあげたいこと(以下、発表物)」の発表と、それに対する他の児童からの質問や意見、あるいは教員からの派生的な話などが展開される授業で、週3時間設定されています。発表物は、季節感のある「自然物」が望ましいとされますが、必ずしもそれに限定せず、幅広く許容されています。発表する児童は、発表物の様子や特徴、見つけた場所、知っていること、調べて分かったことなどを全員に向かって話し、必要に応じて発表物現物の回覧もします。聞き手となる児童は、質問や意見を言うだけでなく、話を聞いたり実際に触ったりして知ったこと・感じたこと・分かったことを「がっこうノート」という授業専用のノートに記録していきます。

授業では、こうした活動を通じて、児童の興味・関心・知識を大きく広げることが目指されています。これに加え、「立ち方」「発表の仕方」「座り方」「話の聞き方」「記録・意見の書き方」など、探究的な学び、さらにはその他のあらゆる教科の学びでも必要とされる基本的態度の育成も目指されています。

何人の児童がどのようなものを持ってくるかは当日にならないと分からない、といった授業の特性上、ベーシックアドバンスでは、「年間授業計画」を明確に立てられない難しさがあります。そのような中、日々、臨機応変に対応しながら授業運営がなされています。

授業運営においては、「教員は引っ張るが、あくまで主体は児童」ということが意識されています。そのため、例えば、仮に発表物についてそれほど場が盛り上がらない場合でも、教員が意図的に盛り上げようとすることは避けられています。一方で、上述のような基本的態度を養う指導は細やかになされています。例えば、単に「きれいだった」ではなく、どんなふうにきれいだったのか、といったように、発表・表現の仕方を学ばせたり、「先生に答えを教えてほしい」となりがちな場面では、「(先生ではない)他者に聞きましょう」や「自分の力で調べましょう」などと自分で情報を収集・調査する力をつけさせるように促されています。

なお、授業づくりの大前提として、「何を発表してもよい」「どのような質問や意見を言ってもよい」といった雰囲気づくりも大切にされています。そのため、場合によっては科学的に間違ったことや事実と異なることなどが話されてしまうこともあります。そうした場合には、後々の学びに影響しないよう放置せず、「みんなで調べようね」などといった指導で正しい知識・理解に繋げる努力もなされています。

1学期のはじまり:ある日の授業

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