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よりよい合意形成を図る 話合い指導のポイント【自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ⑩】

連載
自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
【自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ】バナー

子供たちが自治的な活動を行えるようにするためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に特別活動の本流を踏まえて、学級活動の基礎基本を解説します。第10回は、多様なよさを生かす学級会の話合いについて解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章 

学級活動(1)学級会は、「合意形成」を目指して話合いを行います。多数決等による数の論理ではなく、多様な考えのよさを生かしながら、創意工夫して「自分もよく、みんなもよい」という話合いの収束を目指します。そこで、学級会の話合いで「合意形成」を目指すために、3つのキーワード「自分もよく、みんなもよい話合い」「少数意見を大切にする話合い」「実践に直結する話合い」でチェックしてみましょう。

CHECK① 自分もよく、みんなもよい話合い

学級会の話合いは、個人の好き嫌いで判断するものではありません。話合いの根拠であり、目的でもある「提案理由」に沿って話し合います。個人の考えが優先されるのではなく、集団の考えに個人の意見が埋没するのでもありません。キーワードは「自分もよく、みんなもよい」という合意形成を目指すことです。そのためには、まず互いに相手の思いや願いを理解することが前提です。互いの意見のよさを認め合い、生かし合いながら合意形成を目指していきましょう。

相手の思いや願いを確認しながら合意形成を目指します

学級会での話合いは、ディベートのような勝ち負けではありません。また、単に賛成や反対の数で決定するものでもありません。互いの意見の背景にある思いや願いを理解し合うことを通して、個々の意見についての「イメージの共有化」を図ります。この段階が適切に行われることが合意形成に向けた基盤です。まずは、互いの思いや願いを確認しながら合意形成を目指していきましょう。

CHECK②  少数意見を大切にする話合い

学級会の話合いは、意見の数の多少によって決定するものではありません。時には、賛成意見の多いものではなく、賛成意見の少ないものに決定することもあります。それは、どの意見が提案理由に沿っているかという目的を踏まえた視点があるからです。

特に、少数意見であっても、簡単に排除することなく、どのように生かしていくかを全員で考えるような話合いが求められます。学級の仲間が考えた意見を大切に扱うようにすることがよりよい合意形成に向けた指針の1つです。少数意見も大切にする話合いになるように指導していきましょう。

選定されなかった意見の扱いを明確にします

学級会では、選定された意見と選定されなかった意見に分かれることがあります。その際、選定されなかった意見の扱いが重要です。議題の選定と同様に、選定されなかった意見をどのように扱うかが、「個を生かす集団活動」の大切な指導理念です。

例えば、選定されなかった意見は、係の活動で行うとか、次回の集会で取り上げるなどの具体的な手立てを考えていくことです。このような配慮が、「自分もよく、みんなもよい」という合意形成を可能にします。選定されなかった意見の扱いを明確にして、どの意見も生かされるよりよい話合いになるようにしていきましょう。

CHECK③ 実践に直結する話合い

学級会は、学級の諸問題の解決を目指した具体的な実践活動を展開するために話合いを行います。ゆえに、可能な限り、学級会が終わった時点で、すぐに実践活動に移ることができるような話合いとなるようにすることが求められます。

「何をするか」は短時間で行い、「どうするか」を中心に話し合い、「誰がするか」という役割分担まで決めることが大切です。そのためには、実践活動から逆算した話合いにすることが求められます。時間内に終わる学級会を目指していきましょう。

話し合うこと①②③のそれぞれの時間配分について事前に説明をする司会

実践活動から逆算した話合いにします

学級会の話合いを時間内に終わらせるためには、実践活動から逆算した時間配分にする必要があります。どの段階の話合いでも合意形成を目指して行いますが、特に、話し合うこと②の「どうするか」の段階で多様な意見交換ができるようにします。その際、実践に直結するように具体的な意見を出し合い、「イメージの共有化」を図り、「意見の分類」をする中で提案理由を踏まえて合意形成を図ります。学級会は、実践に向けた話合いであることを再認識して、よりよい合意形成を目指していきましょう。

イラスト/池和子(イラストメーカーズ)

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