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小5国語「人物の心情をとらえて音読しよう」指導アイデア

2020/3/31

教材名:「だいじょうぶ だいじょうぶ」(東京書籍)

指導事項:C読むこと イ
言語活動:イ

執筆/福岡県公立小学校教諭・副島 康平 
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・城戸祥次

みんなで話し合い
イラストAC

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

登場人物の心情について、描写を基に捉えて読む力を育成します。

②言語活動とその特徴

本単元では、「物語を読んで捉えた人物の心情を音読する」という言語活動を位置付けます。

音読には、自分がより深く内容を理解したり、自分が理解したことを表出したりする働きがあります。

また、自分が理解したことを音読で表出することは、他の子供の理解を助けることにもつながります。 その点で、「思ったり考えたりしたことを、表現性を高めて伝える」ことに重点のある朗読とは異なる性質をもっています。

ここではこれまでに身に付けてきた声の大きさや抑揚、速さや間の取り方といった音読の技能を生かし、何度も音声化することを通して繰り返し行うことで、「ぼく」の「おじいちゃん」への思いについて想像を膨らませるなど、読みの理解を促すようにします。

客観的なものの見方ができ、他者の心情などへの理解が次第にできるようになってくるこの時期の子供は、本教材を興味をもって進んで読んだり考えを話し合ったりすることが期待できます。

そこで、前学年までの音読経験を生かし「人物の心情について想像する」という言語活動は、本単元で育成を図る資質・能力「登場人物の心情について、描写を基に捉えること」(C「読むこと」 イ)の育成にふさわしいと考えます。

単元の展開(4時間扱い)

主な学習活動

第一次(①時)
①人物の気持ちを想像して読んだ学習の経験を振り返り、これまでの音読経験や日常の音読の取り組みなどと結んで単元を設定し、学習計画を立てる。
→アイディア1 主体的な学び
【単元】
人物の心情をとらえて、音読しよう

第二次(②~③時)
②音読を通して「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」という言葉に込められた意味や思いを考えて、よりよい読み方について話し合う。
→アイディア2 対話的な学び

③「ぼく」と「おじいちゃん」の思いを想像したことを生かして、音頭する。
→アイディア3 深い学び

第三次(④時)
④音読を聞き合い、互いの音読について感想を伝え合って、本単元を振り返る。

アイディア1 既習や体験から問いを生み出す単元の設定

主体的な学び

人物の気持ちを想像しながら読んだり音読したりした経験を想起させた上で、本教材「だいじょうぶ だいじょうぶ」と出合わせます。感想や話合いから「自分にも同じような経験はあるけれど、作品中の『ぼく』はどのような思いをもっていたのだろう」といった、追究価値のある問いを生み出すようにします。

「問い」を見いだし、読みの視点や目的を明確にした単元を設定することで、「なんとなく読む」といった受け身の学びから、主体的な学びへの足掛かりとします。

また、教師の範読の際には、あえて「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」の部分を抑揚や強弱を付けずに読んだり、「だいじょうぶ?」と語尾を上げて読んだりすることで、子供の思考をゆさぶる発問として機能させます。そうすることで、「どのように音読すれば人 物の思いが伝わるのだろう」と、子供がよりよい音読の仕方について問いがもてるように仕組みます。

学習の流れ
クリックすると別ウィンドウで開きます

アイディア2 登場人物の心情を捉えて話し合うワークシート

対話的な学び

物語全体の構造や内容を把握し、登場人物の心情を捉えるために、ワークシートを使って子供の話合いを促します。

ワークシートには、①登場人物、②過去・現在を表す文、③最初と最後の「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」に込められた思い、④「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」は誰の言葉か(矢印)、何の不安に対してのことかを記述させます。それらを基に話し合うことで、時間の経過や「ぼく」と「おじいちゃん」の対比の構造、人物の心情について、子供が捉えることができるようにします。

●物語の内容や構造と人物の心情を捉えて話し合うワークシート

物語の内容や構造と人物の心情を捉えて話し合うワークシート
*クリックすると別ウィンドウで開きます

※矢印の方向は、「ぼく」と「おじいちゃん」のどちらがどちらに、「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」と行ったのかを表している。

アイディア3 言葉への見方や考え方を働かせ、音読に生かす教師の働きかけ

深い学び

物語の内容や構造、人物の心情について捉えたことを音読に生かします。この場面では、「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」という短い言葉に込められた思いが、音読の①速さ、②間の取り方、③強弱によって、どのように聞き手に伝わるのかを、教師の発問や子供相互の伝え合いによって気付くことができるようにします。

読む速さが速すぎると、どうでしょう。遅いときはどうでしょう。

読む速さが速すぎると、台詞みたいになって気持ちが伝わりにくいな。ゆっくり読んだほうが、じっくり語りかけている感じが出るね。

間を空けたときとそうでないときは、聞き手の受ける印象にどんな違いがあるでしょう。

間を空けると、その次に読む言葉が強調される感じがするね。大切な言葉の前に間を取ると、よいかもしれないよ。

強弱によって印象はどう変わるでしょう。どの言葉を強めたり弱めたりすれば、気持ちが伝わるでしょうか。

全部を強く読むと、弱いところがないから変化がないように聞こえるね。弱く読むところがあるから、力強さも引き立つんだね。

  • 自分の音読を録音して、聞き返す。
  • 学級やグループで音読を聞き合って、感想を伝え合う。
  1. 自分の音読を録音して、聞き返す。
  2. 学級やグループで音読を聞き合って、感想を伝え合う。

読み方の違いによって、同じ言葉でも聞き手が受ける印象は大きく変わることを意識させて、言葉の意味をよく考えたり、一つずつの言葉をどのように読めば聞き手に伝わるかを工夫させたりするなど、音読をしようとする意識を意図的に高めます。

イラスト/横井智美

「教育技術 小五小六」2019年4月号より

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