小1生活「いちねんせいに なったよ」指導アイデア
執筆/神奈川県公立小学校教諭・髙田美里
編集委員/文部科学省教科調査官・渋谷一典、神奈川県公立小学校校長・二宮昭夫
目次
期待する子どもの姿
- 安心して自分の力を発揮している。
- 自分の思いをふくらませ、遊びや学びに夢中になっている。
- 友達や先生と関わりながら、楽しく安心して学校生活を送っている。
子どもの意識と指導の流れ
小学校に入学してくる子どもたちは、期待を抱いています。「わくわく」や「うきうき」といった気持ちで、一人一人が楽しく安心して学校生活を始められる「スタートカリキュラム」の実施が必要となります。
スタートカリキュラム
1.入学後しばらくは、10~15分の短い活動時間で時間割を組む。
2.他教科等とのつながりを意識し、合科的、関連的な指導を行う。
3.幼稚園や保育園での生活の様子や子どもたちの実態を踏まえて、学習内容を柔軟に設定する。
4.学習のまとまりで大まかに分け、弾力的な時間割を設定する。
なかよしたいむ
友達と関わることや安心感をねらいとした活動
…手遊び・歌・ゲームなど
わくわくたいむ
合科的・関連的な指導の生活科を中心とした学習活動
…はるとあそぼうなど
ぐんぐんたいむ
教科等を中心とした学習活動
…(国語)名刺づくり(体育)からだほぐしなど
第1週 いちねんせいに なったよ
●一日のはじめに歌や手遊びをする。

●友達と関わる活動をする。
(名刺交換ゲーム、自己紹介クイズなど)

第2週 がっこうの こと しりたいな
●小学校での一日の過ごし方を知る。

●学校のきまりや施設の使い方を学ぶ。

第3週 がっこうたんけんに いこう


第4週 みんなに つたえよう
●学校探検で見つけたことを友達に伝える。

●各教科と関連した学習をする。

幼稚園・保育園では
幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿より
健康な心と体

協同性

・絵や図などの情報が多い。

・活動に応じて、机と椅子を使用する。

・さまざまな活動の時間の区切りが緩やか。
自然との関わり・生命尊重

数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚

思考力の芽生え
活動のポイント1
遊び
慣れている遊びで安心感をもつようにしよう。
○ 手遊びや歌、読み聞かせ、簡単なゲームをする
•じゃんけん大会
•3択クイズ
•落ちた落ちた
•八百屋のお店
•本(ぐりとぐら、はらぺこあおむし、これはのみのぴこ など)

○ 体を動かしながら遊ぶ
•じゃんけん列車
•進化じゃんけん
•数集めゲーム
•風船バレー

○ 外遊びの時間を十分に確保する
遊具の使い方やルールを確認する時間を設け、安全に使えるよう見守りましょう。
活動のポイント2
環境
子どもたちの自立を促し、人との関わりを産む環境にしよう。
○ 片付けの仕方や学習のきまりなどを掲示する
写真や絵を使って、どの子もわかるようにしましょう。

○ 見通しがもてるように予定を示す
今、取り組んでいるものには矢印、終わったものには花丸などの印を付けるとよりわかりやすくなり、見通しがもてることで安心して過ごせるようになります。

○ 座席の配置を工夫する

活動内容によっては、机を使わずに、みんなで床に集まって座って話すこともよいでしょう。
活動のポイント3
経験・体験
子どもたちの思いや願いを生かした学びにしよう。
○ 子どもたちに問いかける
子どもたちは、保育園や幼稚園でさまざまな経験をしてきています。「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を意識して、今までの経験や知っていることを生かして学習を進めましょう。

○ 学びのきっかけを用意する
学習に関連する図鑑や絵本を置くことによって、興味をもったり、調べたりできます。季節に合った掲示物や植物を教室に用意することも効果的です。

○ 学びの足跡を掲示する
掲示板に、子どもの絵や文、プリントなどを掲示することで活動への意欲を高めます。
イラスト/熊アート
『教育技術 小一小二』2019年4月号より