小5算数「帯グラフと円グラフ」指導アイデア《帯グラフや円グラフを使った統計的な問題解決の方法》

執筆/横浜市立霧が丘義務教育学校前期課程・宮入優佳
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一
島根県立大学教授・齊藤一弥

目次
単元の展開
第1時 単元の導入
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第2時 グラフや円グラフの仕組みを理解し、データの特徴を読み取る。
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第3時 帯グラフや円グラフのかき方を理解する。
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第4時 複数のグラフから情報を適切に読み取り、データの特徴を読み取る。
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第5時(本時)帯グラフや円グラフを使った統計的な問題解決の方法について知り、身の回りの統計的事象の問題解決に生かす。
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第6時 学習の内容の理解を確認する。
本時のねらい
単元の学習の活用を通して、事象を数理的に捉えて論理的に考察し、問題を解決する。
評価規準
データの特徴や傾向に着目し、問題の結論を考え、その結論について多面的に考察したり、学習内容を生活に生かそうとしたりしている。
本時の展開
本単元では、「学校のみなが満足できるようなたてわり活動にするにはどうしたらよいか」という目的のもと、統計的問題解決学習を行います。来年度、自分たちが6年生になったときのたてわり活動を考えていくにあたり、まずは現状を知るために、「現在のたてわり活動に満足することができているかどうか」について、全校児童を対象にアンケートを行います。アンケートは、「とても満足」「まあまあ満足」「あまり満足ではない」「満足ではない」の4択です。
前時では、その結果を見て、みなが満足していると言えるかどうか話し合います。回答数を見ると、多くの人が満足していることが分かり、現在行われているたてわり活動と同じようにすれば、みなが満足することができるという結論に至ります。しかし、「高学年と低学年では感じ方が違うかもしれない」ということで、高学年と低学年にデータを整理し直して考えると、それぞれの人数に差があるため、単純に人数だけで見て判断してはいけないことに気付きます。
基準量が異なる場合は割合で見る必要があるため、Numbersで帯グラフを作成し、結果を多面的に考察します。それを通して、「低学年は満足しているようだけれど、高学年はあまり満足していないからみなが満足しているとは言えない」という結論を出します。「どうしたらみなが満足できるのか」を考えるためには、もう少しくわしく実態を知る必要があるため、前時と本時の間に、たてわり活動でどんな遊びを「やりたいか」「できればやりたくないか」のアンケートを実施します。
■前時に作成した帯グラフ


どうしたら、みんながもっと満足できるたてわり活動になるのかな。
たてわり活動に満足できているかどうか、全校へのアンケートの結果を見ながら話し合って、結論と、新しく調べてみたいことが出ましたね。まず、どんな結論になりましたか。
低学年は満足している人が多いけど、高学年はあまり満足していないという結論になりました。
だから、今のままではみんなが満足しているとは言えないという結論にもなりました。
どう考えて結論を出しましたか。
それぞれの項目の回答数で見たときは、結構満足しているように感じたけれど、低学年と高学年に分けたらそうではないことが分かりました。
低学年と高学年は人数が違うから、割合で見たら分かりやすかった。
結局、今のたてわり活動だと高学年が満足できないままになってしまうよね。
みんなが満足できないなら、目的に合わないね。
高学年が満足していないことは分かったけど、だからどうしたらよいのかは判断することができないな。
どうしたらよいか考えるために、アンケートした結果を、低学年と高学年に分けて見てみたい。高学年が満足できるようにしたいよね。
この前みたいに帯グラフだと比べやすい。
どうしたらみんながもっと満足できるのか、それが新しく調べたいことでしたね。みなさんが行ったアンケートの結果を見てみましょう。帯グラフという意見があったので、ひとまず、黒板にはこちらを掲示しますね。
※たてわり活動でやりたいこと、できればやりたくないことについてのアンケート結果を提示する。
全校だと、やりたいことは、ボール運びが多いね。
49%だから約半分の人が選んでいることになるね。
でも約[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の人は長縄をやりたいみたいだよ。
満足している低学年はどう考えていて、満足していない高学年はどう考えているのか考えたほうがよさそう。
データを共有するので、必要に応じて使ってください。
※Numbersで作成したグラフを共有する。表とグラフを共有し、各自が使いたいものを選択する。
これがあれば、どうすればよいのか考えられそう。
では、時間をとります。データを見ながら、まずは自分なりに結論を出してみましょう。どうしてその結論になったのか説明できるようにしましょう。



学校のみなが満足できるたてわり活動にするためにはどうしたらよいか、アンケート結果を多面的に捉えて結論を出し、その理由を説明しよう。
見通し
表にある人数だけでなく、割合に注目して考えることが必要になりそうだね。(方法の見通し)
みんなが納得できる結論を出すためには、1つのデータだけでなく、複数のデータを関連付けて、様々な視点から分析する必要がありそう。(方法の見通し)
全校のみんなが満足するためには、ボール運びをするとよさそうだね。高学年の中に、やりたい人もいるけど、やりたくない人が多い長縄よりは、全校で見てもできれば避けたいという人が少ない室内レクを取り入れるのがよいかもしれないね(納得解の一例)。(結果の見通し)
自力解決の様子
A つまずいている子
割合ではなく、回答数が多い項目のみを見て結論を出そうとしている。
B 素朴に解いている子
低学年と高学年、それぞれがやりたいこととそうでないことについての回答を割合で見て、結論を出している。
C ねらい通り解いている子
満足度の高い低学年と満足度の低い高学年という認識をもち、本時のグラフに加え、前時のグラフなど、複数のデータを関連付けながら結論を出している。
学び合いの計画
本学習では、統計的な問題解決の方法について知り、問題について数学的表現を用いて考えた過程をふり返りながら多面的に考察し、今後の学習や生活に生かそうとする態度を養いましょう。
本単元は、本時をむかえるまで、次のように展開していきます。まず、導入で、自分たちのたてわり活動のふり返りを基にしながら、現状のたてわり活動について、「みんなが本当に満足できるたてわり活動になっているか確かめよう」という問題設定をし、確かめるための計画を立てます。そして、全校児童が満足しているかどうかアンケートを実施し、帯グラフや円グラフの仕組みを理解してデータの特徴を読み取り、実際にグラフに表して、そのかき方を理解します。さらに、複数のグラフから情報を適切に読み取って判断し、結論を得ます。その結論や過程を多面的に考察し、ふり返ることで、新たなデータの必要性に気付きます。
本時は、その新たに集めたデータを基に再度分析をし、より目的に合った納得解を創り出す場面です。納得解を見いだすために、最も人数が多いものや、グラフの割合が最も大きい部分だけ見て判断して結論を出すのではなく、目的に応じてグラフを選択したり、複数のグラフを関連付けながら考えたりしている子供を積極的に価値付けましょう。そして、1人1台端末を用いて、それぞれが自分なりに出した結論や考えた過程について子供同士で考えを交流し合えるようにしたり、全体で共有したりすることを通して、多面的に考察するよさや必要性に気付かせましょう。また、納得解を示すだけでなく、その結論に至るまでにデータのどのような傾向や特徴に着目し、どのように考えたのか、思考の過程を子供一人一人が説明できるようにしましょう。そのため、分析する際に、データを手元で細かく見たり、必要に応じてグラフをつくり変えたりすることもできるよう、Numbersを使ってデータを共有します。
学び合いの最後には、それまでの問題解決の過程をふり返って整理し、統計的な問題解決の方法を知ってそのよさを味わい、定着へとつなげましょう。さらに、実生活に生かすという点では、本学習で見いだした納得解を基に、自分たちが最上級生となったときに、リーダーとしてどのようなたてわり活動を計画していきたいか考える機会にしていけるとよいでしょう。
ノート例
A つまずいている子

B 素朴に解いている子

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
※C1、C2、C3のそれぞれが発表をする。
C1
外レクをしたらよいと思います。「ボール運び」をまたやりたいという人の割合が49%、「長縄」をまたやりたいという人の割合が27%なので、約[MATH]\(\frac{3}{4}\)[/MATH]の人が体を動かす活動がしたいのだと考えられるからです。
C2
低学年は、今のたてわり活動を楽しんでいるから、どれでもよいのではないかと思います。できればやりたくないことについての回答で、39%が「分からない」という選択肢を選んでいます。選ぶものがなくて困ったのかもしれません。だから、高学年の69%がやりたいと回答している「ボール運び」がよいのではないかと考えました。
C3
やりたいものを見ると、「ボール運び」か「長縄」がよいと思います。ただ、満足度の低い高学年が満足できるようにするためにはどうしたらよいか考えると、高学年のやりたくないものを見る必要があると思います。59%が「長縄」と回答しているので、「長縄」よりは「室内レク」がよいです。「長縄」はやりたくない人の割合が大きいです。
3つの考えを聞いてみなさんはどう思いましたか。3つの考えに似ているところや違うところはありますか。
イラスト/横井智美
