「〇年〇組かるた」を作ろう|子供たちの可能性を引き出す!学級経営&授業アイデア#11
自ら考え、活動したり学習したりする子供たちの可能性は無限大。そうした子供の内に秘めている可能性を引き出すための「学級経営&授業アイデア」を紹介する連載です。『教室ギア56』(東洋館出版社)などの著書をもつ鈴木優太先生が、学級活動、教室環境、授業アイデアなどの中から、毎月1本厳選して解説します。第11回は、学級オリジナルのかるた作りの実践を取り上げます。
執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太
目次
学級オリジナルのかるたを作ろう
学級オリジナルの「〇年〇組かるた」を作りましょう。
「〇年〇組かるた」は、単なる遊び道具ではありません。学級目標達成のための強力なツールになります。連載第1回「育てていきたくなる3D学級目標」で提案したように、学級目標は子供たちと一緒に育てていくものです。
かるたといえばお正月遊びというイメージがありますが、1年を通して楽しめる活動です。低学年~高学年まで、どの学年の子供たちも、グループで作る、大型かるたを作る、デジタル機器を活用して作るなど、実態に合わせて様々なアレンジが可能です。
今回は、2年生での実践事例を紹介します。東京書籍の新しい国語2年下「むかしからつたわる言い方」で「いろは歌」を学習した際に実施しました。
まずは「いろはかるた」や「ことわざかるた」や「郷土かるた」など、かるた遊びをたっぷり楽しみます。中には、かるた遊びの経験が少ない子供もいるため、この体験はとても重要です。
これらのかるたは、学校に教材として置かれていることも多いですが、無料でダウンロードできるサイト(例:江戸いろはかるたなど)もたくさんあります。
かるた遊びを通して、オリジナルのかるたを作るイメージを膨らませた後、クラスでオリジナルの「〇年〇組かるた」を作ります。
45分で完成する「〇年〇組かるた」の作り方
今回紹介するのは、45分間で作る最もシンプルな作り方です。
47字を、1人1~2文字ずつ分担します。出席番号順に機械的に割り振り、2文字目は希望制にしました。
以下の型紙をダウンロードしてご活用ください。A4サイズで8枚分となっています。学年や子供の実態に合わせて、拡大・縮小してお使いください。
自分の担当した文字から始まる言葉で、クラスのいいところを表しましょう。
「〇年〇組のいいところ」をテーマにするのがポイントです。低学年でも考えやすくなります。一人一人が「これだ!」と思う文言を考えます。ABCペア(Aペア…隣の座席、Bペア…前後の座席、Cペア…斜めの座席)とのペアトークを通して、アイデアを膨らませましょう。学級目標や、そこにしたためた願い、子供たちや教師が繰り返し口に出してきた言葉が必ず出てきます。
いろんなアイディア出てくるよ
ろうそくみたいにひかる30人
はっきり答える2年1組
にじのようにすてきな2年1組
ほっこりやさしい2年生
へいわな30人いつもえがお
ともだちみんながやさしい30人
先生は関所役になって、文言を考えた子の読み札を一度チェックするようにしました。五七五の俳句形式も紹介し、言葉の響きにも気を配るように促しましたが、ほとんど修正は加えませんでした。子供たちの言葉は、学級への素直な思いや願いがそのまま表れていて、とても素敵だと感じたからです。もちろん、時間を掛けて話合い活動を行い、学級みんなで決めてもよい題材です。
読み札に合う取り札のイラストを描いて完成です。
完成したかるたの原画は、掲示板に数日間貼っておきました。壮観です。
かるたとして遊ぶために、スキャナーで読み込み、厚手の紙にグループの数分、印刷します。裁断機で一気に裁断する際は、1セットの境目に色紙を挟んでおくと、セットごとに切り分けをしやすくなります。この方法を使うと、作業効率がアップし、間違いも減らすことができます。
作成した「〇年〇組かるた」で遊ぼう
完成した「〇年〇組かるた」で遊びます。
子供たちは、かるた遊びを通して、学級目標から想起するよい言葉やよい行動を何度も目にします。何度も口にします。かるた遊びをしている内に、学級目標で目指す学級の姿に自然と近付いていくのです。
雨の日などの休み時間には、かるた遊びが楽しい過ごし方の一つになります。読み札の内容をジェスチャーで表現するなど、アレンジを加えて遊ぶこともできます。年に2回、3回と新しいバージョンを作るのもおすすめです。
「〇年〇組かるた」を作ることは、学級全体で目標達成に向けて協力するよい機会となります。アイデアを出し合い、言葉を選んだり、イラストを描いたりする過程で、クラスの仲間との一体感が深まります。それが、学級目標達成の大きなモチベーションにつながるのです。
子供たちが楽しみながら、目標に向かって進んでいけるよう、ぜひ学級オリジナルのかるた作りに取り組んでみてください。学級オリジナルのかるた作りを通して、抽象的だった学級目標の解像度が上がります。願いを込めて作った学級目標が、子供たち一人ひとりの心に具体的に、そして深く根付いていきますように。
鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア56』『教室ギア55』(共に東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)など、著書多数。
参照/鈴木優太『教室ギア56』(東洋館出版社)、鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)、鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)、多賀一郎監修、鈴木優太編、チーム・ロケットスタート著『学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク』(明治図書出版)
イラスト/イラストAC 図版作成/木村旨邦
【鈴木優太先生 連載】
・自治的な学級をつくる12か月のアイデア(全12回)
・子供同士をつなぐ1年生の特別活動(全12回)
・どの子も安心して学べる1年生の教室環境(全12回)
【鈴木優太先生 ご著書】
教室ギア56(東洋館出版社)
教室ギア55(東洋館出版社)
「日常アレンジ」大全(明治図書出版)
学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク(明治図書出版)