【相談募集中】教師歴35年。指導が入らない子がいて自信をなくしています
指導が入らない子への対応に困っているという先生からの相談が「みん教相談室」に届きました。35年の教師経験があるのにうまくいかず、自信をなくしてしまっているようです。ここでは、元東京都公立小学校校長で現在は帝京平成大学教授である吉藤玲子先生からのアドバイスをお届けします。
目次
Q.指導が入らない子がいることで自信をなくしています。35年、教師をやっているのに……
35年間小学校教諭をやっているものです。ベテランなんだからそれくらい自分でやり遂げよ、と言われてもいいのかもしれません。同じようなことを今まで何度も何度も通り抜けて来ましたので、9月まで頑張ってきました。
小学校3年生の男子児童に指導が入らなくなって、4か月。 新学期早々はとても関係も良好で楽しかったのですが、2か月経った頃から、反発してくるようになりました。
ほとんどは、私の声かけに対しての回答でした。 「先生がそう言ったからやったのに、嘘つきだ」 「俺ばかり注意してくる」。また、一斉指導したときに、突然顔色が変わって、怒り出す。
個別に話すと聞き入れてくれました。「先生は、あなたのことを頼りにしているし、嘘もつきません。さっき言ったことも状況が変わることもあるので、言ったことと違ってくるかもしれないよ。それは分かってくれる?」 というような声かけで何とか関係をつないできました。でも、1時間経つと、また怒り始めます。
立ち歩き、椅子にまっすぐ座れない、ノートを取らない、手遊び、勝手に歌い始める、公共の場では言ってはいけない言葉を連呼するなど、指導しなければいけないことがたくさんなので、その都度、「やめましょう」「やりましょう」という言葉かけをしてきました。それがうざいのかもしれません。
今まで指導してきたことで立ち向かっていますが、もはや私の力量がないことが見透かされ、学校に行くのが悔しいですが辛くなってきました。言葉かけや対応の仕方を学校のコーディネーターの先生と協議していますが、 私にはその力がないのかもと打ちひしがれています。
(何とか頑張るビビアン先生・50代女性)
A.何か先生に対して分かってほしいことがあるのかも。4月はできていたのですから、絶対に解決の糸口はあるはずですよ
ビビアン先生、まずは、「ベテランだから」とご自分を責めないでください。今、学校現場の児童は多様化しています。今までの経験が生きる場合もあれば、新たに学ばなくてはいけない場合もあります。気持ちを切り替えましょう。
4月の初めは良好だった児童が2か月経った頃から反発するようになったということですが、何かこのことに対して思い当たる要因はありますか? 楽しかった関係がなぜ変わったのか、そこが問題の解決の糸口になると思います。
先生の方から「個別に話すと聞き入れてくれました」とありますが、なぜいろいろ反発するのか直接に児童に聞いてみたことはありますか? 私は、児童が何か先生に対して分かってほしいことがあるのではないかと思います。そのアピールで目立ちたい行動を取っているのではないでしょうか。
「Aちゃんは怒られなかったのになんで自分は怒られたのか」、「ちゃんとやろうと思っていたのにその前になんで先生は自分を注意したのか」など、児童なりの先生に反抗したい気持ちがあるはずです。昼休みや放課後でも時間をつくって、静かな場所でこの児童とじっくり話し合ってみてください。不安があれば学年の先生も一緒に立ち会ってもらってはどうでしょうか。
それもできないようでしたら、保護者に家での様子などを聞いてみて、とくに家庭内に問題がないかも確認してください。そして、保護者の協力も得て三者面談を設定してみてください。目につく児童の反抗的な行動ばかりを追っていても解決にはなりません。
児童の行動に対してではなく、児童の気持ちに寄り添ってあげてください。4月当初の頃はできていたのですから、絶対に解決の糸口はあるはずです。
学校に行くのが辛くなったとあります。でも頑張っている先生に大きな拍手を送りたいです。その児童にとっての担任は先生しかいません。応援しています。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。