小3国語科「四まいの絵を使って」全時間の板書&指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小3国語科 「四まいの絵を使って」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:四まいの絵を使って(光村図書・国語 三下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/神奈川県横浜市立東汲沢小学校校長・丹羽正昇 
執筆/神奈川県横浜市立美しが丘東小学校・門倉麻莉

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、四枚の絵の様子を想像し、絵と絵のつながりを考えて一つの話を作ります。
活動を通して内容のまとまりを理解し、段落を作ったり段落相互の関係に注意したりして、文章の構成を考える力を育んでいきます。

3年生では、これまでの「書くこと」の学習で、内容の組み立てについて学んでいます。
しかし、物語文を書く際には自分の想像から広げて作るため、想像が膨らみ、思い付くままに書き進めてしまうことがあると思います。

本単元を通して、説明文だけでなく物語文を書くときも、内容を整理し、話のつながりに注意しながら文章の構成を考えると、より自分の想像した世界が伝わるというよさを感じられるようにしていくことが大切です。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、4枚の絵を使って紙芝居を作るという言語活動を設定しています。
それらは、絵の様子を基に内容のまとまりをつくったり、段落同士のつながりに気を付けたりして文章の構成をしていく資質・能力の育成につながると考えます。

子供によってはキャラクター設定に想像を膨らませたくなりますが、そのような子供には主人公のキャラクター設定を生かしながら、絵と絵につながりをもたせてストーリーを作るように指導するとよいと思います。子供に寄り添いながらも、文章構成を十分意識して、場面の移り変わりに焦点を当てた学びにしていきましょう。

次に、教科書に掲載されている4枚の絵から想像できる世界について例を示します。

〈パターン1〉
① 猿がお気に入りの帽子を被って嬉しそうに座っている。
② しかし、鳥がその帽子を持って行ってしまった。
③ そこで猿は、帽子を持っている鳥をよく見て、奪い返すタイミングを窺っている。
④ 満を持してジャンプし、帽子を取り返す。

〈パターン2〉
① 猿の大事な帽子が飛んでいってしまった。
② その帽子を通りすがりの鳥がキャッチした。
③ 優しい鳥は猿の頭に帽子を被せてくれた。
④ 帽子が戻ってきた猿は、大事な帽子が戻ってきて安心した。

上記のものはあくまで一例です。どの絵からストーリーを始めるかによって物語の印象は変わります。子供たちも多種多様な想像をすることかと思います。児童が作った物語の具体例はこの記事の末尾で紹介しています。

ストーリーを作る際には、1枚1枚の絵を内容のまとまりとして意識することで、段落や段落相互の関係に注意することができます。文章の構成をする際に有効な手段の一つとなるでしょう。

4. 指導のアイデア

絵を並び変えて物語を作る活動自体、楽しく気軽に取り組める単元ですが、さらに主体的に取り組んでみたいという思いをもてるように、本授業アイデアでは「四枚の絵を使って紙芝居を作る」ことを提案します。

2時間の単元のため、文章の間違いに注意し表現を工夫しながら物語を書くことよりも、絵と絵のつながりを考えた文章構成を考えることに焦点を当てて学習します。
学習にあたっては、書くことに苦手意識がある児童への支援として、端末の音声出力機能を活用することも考えられます。苦手な子も活動に入りやすくなり、主体的に取り組みやすくなるでしょう。
また、一つの作品を作った子供が、同じ絵を使って違う作品も続けて作れるようにすると、「他のストーリーも作ってみたい!」というさらなる意欲につながることでしょう。

この単元の学習時期は、学校によっては個人面談や授業参観がある時期かと思います。ここで作った紙芝居をお家の方に見せることを決めておくと、相手や目的が明確になり、「どうやったら自分が考えたお話の流れが伝わるかな。」「それぞれの絵の内容が基本的な組み立てに合っているかな。」というように、内容や構成をより丁寧に検討する姿が見られるようになるのではないでしょうか。

対話的な学びを機能させるため、お互いの考えた内容について相談し合う場面を設定することも考えられます。
自分の中では伝わると思っていた内容や表現が、他の人に伝えた際に理解されない場合があります。
紙芝居として見せ合う前に、物語について友達と相談する場を設けることで、「ストーリーがつながっているのか」といった文章構成や内容について、より深く吟味することができるでしょう。

5. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 四まいの絵を使って 

【主な学習活動】
第1時
① 4枚の絵を1枚ずつ見て、物語の構成に興味をもつ。
② 4枚の絵を基にした紙芝居を見て、単元のめあてを確認する。
※「三年とうげ」がどのような組み立てになっているのかを参考にする。

第2時
① 全体で4枚の絵がそれぞれどんな様子かを想像する。
② 友達と相談しながら、絵の順番や内容を決定する。〈 端末活用 〉
③ メモを基に、友達と紙芝居を見合う。
④ 学習を振り返る。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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